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オ・ヤツハ・カール=ハインツ・シュトックハウゼン卿の4機のヘリコプターをめぐる冒険と野望#1

 
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当面の問題は家に帰り着くことだ。その余の問題は、この際、すべてどうでもいい。しかし、ただ帰還するだけでは問題解決の糸口にさえならない。4機のヘリコプターとともに、戦略墜落型ボーイング・バートルV-22オスプレイ4機とともに帰らなければ。明け方に。暁の輝く朝に。シェールが輝く月に見とれすぎて惰眠を貪っている静寂が支配する朝に。

私は戦略的戦術的に最終の大江戸線の先頭車輌にいた。あたかも夜明けのエニグマ・スメグマ・スペルマ・シュティグムのような風情を漂わせて。私はいくぶんかは風変わりな風体だったかもしれないとは思う。

なにしろ、私が車輌に乗り込んでほどなく、近くの乗客のうちの数人が顔を見合わせてこっそり笑いはじめたからだ。笑いを噛み殺してうつむいていたDK-NYのTシャーツをこれ見よがしに来た女などは、私が放屁した途端にここぞとばかりに笑い転げだした。まったくもって、DK-NYを来た女には注意しなければならない。経験的にろくなことはない。DK-NYのTシャーツを着た女と関わると。

異変に気づいた運転手がちらちらとこちらを見はじめた。次第に地下鉄の車内に他人の小さな不運に遭遇できた喜びのたぐいの笑いが広まっていき、ついに乗り合わせた人々全員が腹を抱えて笑いはじめた。私は恥ずかしくて右の頬と左の耳たぶと右膝と左肘が燃えたばかりか、ビッグフェイス・ガジン・フロム・アプリコットアイランドからもらったP!NKの『The Truth About Love』のCDを食べてしまったほどだ。

私が物心ついたときから後生大事に抱えつづけてきたアウフヘーベン・アウスレーゼ・クライスレイアーナの小塊がポケットの中でもぞもぞと蠢きはじめたのは麻布十番駅の腑抜けたホームが見え始めたときだった。私はたまらず下車した。残った乗客たちはいかにも名残り惜しそうに私を見送っていた。

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芋洗い坂を目指して急ぎ足で十番商店街を抜けた。あべちゃんにも浪速屋総本店にも十番温泉跡地にも豆源にも幻の魚屋にも目もくれずにだ。すれちがう者たちがみんな、あきれ顔で振り向き、声を上げて笑った。

私はよっぽど、「おまえら! なに見てんだよ! 4機のヘリコプターを背負ってるのがそんなに珍しいか? 面白いか?」と言ってやろうかと思ったがやめた。彼らが笑うのはもっともだ。グレイ・フランネルの高級スーツを着た男が4機のヘリコプターを担いで ── しかも、悪名高き戦略墜落型ボーイング・バートルV-22オスプレイ4機! ── 夜ふけの麻布十番商店街を血相を変えて急ぎ足で歩く人物にはそうそうお目にかかれるものではない。

今から思えば、私は完全に「酷寒のミル・プラトー」に立っていたのだと思う。ビッグフェイス・ガジン・フロム・アプリコットアイランドの助けが必要だったが、ビッグフェイス・ガジン・フロム・アプリコットアイランドは西伊豆戸田村の御浜岬の鈎状砂嘴をフィールドワーク中だ。どうにもならない。

仕方なく、けやき坂麓のTSUTAYAに寄ってジョン・ケージの『4分33秒』とカールハインツ・シュトックハウゼンの『4機のヘリコプターと弦楽のための四重奏曲』を試聴した。私が試聴しているあいだも戦略墜落型ボーイング・バートルV-22オスプレイ4機は低い唸り声のようなローターの回転音をあげつづけていた。長く男日照り、下砂漠のつづく40女の嘆きの声のようにも聴こえた。

あらゆることが私の意志に反して動いていた。戦略墜落型ボーイング・バートルV-22オスプレイ4機はその象徴にすぎないことを知るのはオ・ヤツハ・カール=ハインツ・シュトックハウゼン卿の登場まで待たなければならない。オ・ヤツハ・カール=ハインツ・シュトックハウゼン卿の冒険と野望についての物語を聴くまでは。

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by enzo_morinari | 2013-07-18 12:01 | TOKYO STORIES | Trackback | Comments(0)

GRIP GLITZ#7 ハンク・モブレーが「Work Out!」と叫ぶ夜

 
GRIP GLITZ#7 ハンク・モブレーが「Work Out!」と叫ぶ夜_c0109850_3311599.jpg

 
そもそも世界に「答え」など存在しない。なぜなら、初めから世界のどこにも「問題」が存在しないからだ。「答え」が欲しいなら「問題」をつくるしか手はない。「問題」をつくりたいなら「答え」を探せ。探しているうちに「問題」は出来あがる。それがこの世界の明瞭にして精緻な「仕組み」である。 E-M-M


「で、ケムリにしたいのは何人なんだ?」
「全部で11人」
「そいつはちょいとお高くつくぜ」
「はい」
「全部まとめてがいいか? それとも一人ずつ仕留めるか? おれのところの料金表では、全部まとめての場合は逆スケール・メリットだ」
「全部まとめてでお願いします。カネに糸目はつけません」
「わかった。標的のリストを今から言うアドレスに送れ。以後、おれとは一切コンタクトを取るな。いいな?」
「わかりました」
「おれとおまえは会ったことも口をきいたこともない。互いの存在すら知らない。いいか? わかったか?」
「すべて仰るとおりにします」
「決行は9月11日。図体のデカい空飛ぶ金食い虫がニューヨークの悲劇を起こした日だ。おまえさんはその日、日本を離れていろ。いいな?」
「わかりました」
「不自然はいかんぜ。なにごとも。日本を離れる理由も辻褄が合うように今から段取りしておくんだ。わかるな?」
「はい」
「11人のお客さんの死に際の写真はどうする? 動画、音声付き音声なし、ただの画像。なんでもござれだ。ただし、別料金。音声付きの動画は高えぜ」
「音声付きの動画でお願いします」
「わかった。みるためのアドレスもあとで知らせる。パスワード付きでな。ダウンロードはできないからな。みるのも1回だけだ。おまえさんが見終わると同時にサイトそのものが消滅する。証拠の消去だ」
「了解です」
「最後にこれだけは言っておく。おれを裏切るような真似だけはするんじゃないぞ。いいな? おれは裏切り者をゆるさない。断じてだ。わかるな?」
「もちろんです」
「聞き分けのいい坊やだ。じゃあな。もう会うこともない」

雨が降り出した。痛い雨が。ラジオではハンク・モブレーがしきりに「Work Out!」と叫んでいる。ジムに行く時間だ。
 
by enzo_morinari | 2013-07-18 03:32 | GRIP GLITZ | Trackback | Comments(0)

天才の正体#1 天才は死なない。

 
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 天才は死なない。自殺などしない。天才は強いからだ。 E-M-M


 目にするたびにうんざりする。「夭折の天才」「早世の天才」「天才の早すぎる死」等々。
 天才は死なない。自殺などしない。天才は強いからだ。ピカソをみてみろ。レオナルド・ダ・ヴィンチをみてみろ。ダリだって岡本太郎だってバッハだって長生きだ。天寿まっとうの爺様がただ。強いものはそう易々とは死なない。しぶとい。めげない。どのような分野、領域であれ、天才は強く、しぶとい。
 生きること、生死にかかわることの「強さ」「強かさ」があってこその才能だ。その意味で天才とは生きる才能に恵まれた者だ。生きとし生けるすべてのものは生き抜くこと、生き延びることがその誕生のときから課せられた絶対命題である。有無はない。是非もない。神の設計図であるDNA, 遺伝子に書き込まれている数々のことのなかでも、「生き抜くこと」「生き延びること」が最上位にある。これに反するものもこともすべて天然自然の理に反する。繊細だのナイーヴだの神経質だのという耳ざわりのいいことどもはたわ言の類いにすぎない。
 つまらぬことですぐに弱音を吐き、しょぼくれ、泣きを入れ、落ち込み、弱り、病み、死んでしまうヘナチョコ、ヘッポコ、スカタン、青なり、ウラナリは天才などではない。ただ才気走っただけの、鼻持ちならぬポンコツである。
 
by enzo_morinari | 2013-07-17 19:00 | 天才の正体 | Trackback | Comments(0)

世界トム会議#1 TTCとTPPとTTPとHTTPと鳥取砂丘の堕落した観光フタコブラクダ

 
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世界トム会議出席主要メンバー
聖人トマス(トム者の総意に基づいて「世界トム会議」の象徴となった)
トム・ソーヤー(名誉会長)
トマス・アクィナス/トンマーゾ・ダクイーノ(名誉顧問/「世界トム会議」にアリストテレス的ドミニコ的シチリアーノ・マフィア的コーザノストラ的理念と血の掟と手法を導入)
トム・ハンクス(会長)
トム・ウェイツ(副会長)
トム・スコット(西海岸を本拠地として親しげな訪問販売で財をなした者/見る影もなくファットマン)
トム・クランシー(「今、そこにある危機」担当/愛国者遊戯開発者/紅い10月追跡者/対日本主戦論者/恐怖の総和論者)
内田吐夢(記録並びにPV担当/大菩薩峠ポイント並びに森と湖の祭り及び人生劇場的宮本武蔵的飢餓海峡警備担当)
トム・ブラウン(ファンキー喇叭吹き/開幕ファンファーレ担当)
トムヤムくん(民族的異国的汁っけたっぷりな小間使い1)
オトマトペ(オノマトペの親戚だが出席理由はバリバリムリムリペモペモに不明。大方、祇園遊びに感けるのが関の山)
ブラザー・トム(業界人気取り好きにして相棒切り捨て者)
トム・スペクター(デーブ・スペクターの双子の弟にしてCIAマーカー/ジェームズ・ボンドの仇敵/「国家叛逆罪」で北朝鮮に亡命中)
山師トマ(黒糖ブローカー/貝殻亭亭主/児童幼児嫌悪家)
謎の男トマ(顔も貌も正体も居住地も国籍も不明の男/アノニマス担当)
その男トム(謎のトム者)
建築探偵トマソン(赤瀬川と藤森の密偵にして昼行灯)
刑事ニコタマ(出席理由不明)
刑事トマ(ドラマ打ち切りのため暇を持て余したようである)
トマホーク(巡航ミサイル同盟代表)
機関車トーマス(常軌を逸した蒸気者だが上機嫌のときは無期限無札乗車させる)
トム・トム・クラブ(小間使い2/ニギヤカ師1)
米米クラブ(起死回生を狙うオブザーバー/小間使い3/ニギヤカ師2/「あの河童は今」利益代表)

世界トム会議を後援・協賛する企業と団体
ドムドム・バーガー/トムス/童夢/タカラトミー/苫米地英国人企業集団公司/ハックルベリー・フィン友愛協会/マーク・トウェイン・ファウンデーション/サミュエル・クレメンズ・ミシシッピー蒸気船会社


トム・ハンクス会長のBIGな挨拶
いまや世界中のどこを探しても、スモーキー・ロビンソンのように歌える者はみつからない。同様に、ボブ・マーリーのように音楽と言葉を武器にして世界と戦える兵士はいない。まともな者は全滅だ。せいぜいが、腑抜けたリズムとメロディーに合わせて歯の浮くようなたわ言をならべるのが関の山だ。生き残っているのはどいつもこいつもおべんちゃらきれいごとおべっかおためごかしに精を出すしか能のないポンコツボンクラヘッポコスカタンばかりである。世界に冠たるトム者は彼らとはリーマン幾何学的に一線を画さねばならない。

おべんちゃらきれいごとおべっかおためごかしに精を出すしか能のないポンコツボンクラヘッポコスカタンは歌うな。踊るな。おべんちゃらきれいごとおべっかおためごかしに精を出すしか能のないポンコツボンクラヘッポコスカタンによる歌舞音曲は全面禁止である。

さて、マシンガン・タイプライターでもある吾輩がトム・トム・クラブの『おしゃべり魔女』になにがしかのシンパシーを持つのは当然として、TPP, すなわち、Trans-Pacific Partnership乃至はTrans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement, 環太平洋戦略的経済連携協定にはどうしようもなくむかっ腹が立つのは如何ともしがたいのである。トム・トム・クラブの『おしゃべり魔女』は聴いているうちに内股をペンチで捩じり上げてやりたくなる衝動にかられる。ムカムカムカムカとラピュタのムスカの野郎の声をやった寺田農の下衆外道男のしたり顔にはドリアン・ペーストを塗りたくり、シュールストレミング・ジュースをすり込んでやりたい。文句ある? セローニアス?

そのような次第で、先ほど来からTom Tom Clubの『おしゃべり魔女/Wordy Rappinghood』と『Genius of Love』が交互にエンドレスでかかりっぱなしのトム・トム・クラブハウス貴賓室の吾輩である。

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『おしゃべり魔女/Wordy Rappinghood』の出だしは実にいい。タイプライターの打鍵音を効果音として使っているところはマシンガン・タイプライターである吾輩としてはよしとしなければなるまい。しかし、使っているタイプライターがよろしくない。スミス・コロナ社製のタイプライターではないじゃないか! 使っているのはレミントン社製の安物だ。まったくもってよろしくない。吾輩の慧耳炯耳を欺くことはできない。

鮭のケイジはうまい。実にうまい。1万匹に1匹。1億匹に1万匹。1京匹に1兆匹。1那由他匹に1阿僧祇匹。1無量大数匹に1不可思議匹。1万回万引きして1回しかつかまらないなら「こざっぱりとした大事なものだけ詰まったカバンを持つ空っぽ人間」と「こざっぱりとした大事なものだけ詰まったカバンを持つ空っぽ人間」に同調する別の空っぽ人間を除いた全人類が万引きを生業とするはずだ。ケータイ複数台使用仕様のインチキマヤカシペテンには目をつぶるとしても、「こざっぱり」と宣言した段階ですでにして野暮天の極みであることに気づかぬ田舎者丸出し加減には法定減刑も情状酌量減刑もなしに、即、刑の執行である。上訴不可。まことに不可思議精妙なる鮭のケイジである。

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色々のことが鎌首を持ち上げる。TPPが「Tom Tom Partnership」の略称であるというなら多少なりともクスリとできる。(クスリはいけないよ。建前論的に。)米米クラブがトム・トム・クラブのパクリであることにも目をつぶる。南麻布の白亜の豪邸に一人淋しく還暦後の人生を生きる朝まで生コキーユ男には野辺送りの歌を歌う。

しかし、トム・トム・クラブの『おしゃべり魔女』を聴きながらTPP問題について考え、「横須賀火力発電所の正門前で、トム・トム・クラブの『おしゃべり魔女』を聴きながら「環太平洋戦略的経済連携協定」について考えることの整合性について」の論考をはじめると、これがどうにもこうにもいけない。「Wordy Rappinghood, Genius Of Love」と愛の天才/愛の守護神が耳元で喧しい。さらには、「愛の天才/愛の守護神は如何にしておしゃべり魔女と恋に落ち、悪魔のラブソングを歌うようになったか?」というビッグフェイス・ガジン・フロム・アプリコットアイランドに丸投げしたくなる問題までもが立ち現れるという寸法だ。まったくもって困り果ててしまう吾輩である。

レコーディングのために作ったバハマのコンパスポイント・スタジオにある施設名がトム・トム・クラブから米米クラブ、果てはダイジダイジ・クラブ、カバンカバン・クラブ、アズカバン・クラブに変更されたとしても、吾輩は炎の中心から一歩も動けない。それが吾輩に課せられた運命である。

信頼できる第三者機関を踏台にしてパキスタン・タリバーン運動に入れあげたのも束の間、アデノシン三リン酸とチミジン三リン酸のちがいもわからずに血栓性血小板減少性紫斑病に罹患した元TTTech社社員のおしゃべり魔女は悪魔のラヴソングを歌いながらTPP問題とTTP問題とHTTPのハイパー・プロトコル風吹かした胡乱に思いを馳せたはいいが、いまでは鳥取砂丘で堕落した観光フタコブラクダを引きながら、いつの日かトライ-トリビュート・プロジェクトにいっちょかみしようと虎視眈々である。

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愛の守護神
MUSHOを出たあと あんたはなにするつもり?
あたしはたっぷり楽しむつもりだけど
あんたにとってのオタノシミはなに?
ホンキでタノシメるコトってあんの?

あたしは笑ってばっかりいるカレと天国にいる
この世界には始まりも終わりもないんだよ
時間なんてものはさ もともと“ナイモノ”なんだよ
あたしたちが歩いたり駆けまわったり走りまわったりする時にはね

あたしは変わりつづけるファンク・マスターと一緒に天国にいる
ブーツィー・コリンズのようなクリントンのミュージシャンたちがwktkさせてくれる
だれもスモーキー・ロビンソンのようには歌えないんだよ
だからさあ ボブ・マーリーの音楽に合わせて歌い踊ろうよ
レゲエはスライ・アンド・ロビーとともに世界中に広まっていくのよ

週末になるとさ いつもカレはあたしがいなくて寂しがってたよ
あたしも本当にカレがいなくて寂しいし カレのあったかい腕と抱きしめ方が恋しいヨ
コークでドーズしたときはどーしよーもなくぶっ飛んじゃったヨ

カーティス・ブローのリズムに合わせてステップを踏みながら
“Hiditihi”と“Hipitiho”といっしょにあんたが脚を動かせば
なんにも考えなくてイイのよ J-B

もしもあんたがカレに会うなら
アンラッキー・ボーイフレンドのカレに思い出させてやってよ
カレは愛の守護神だってね
カレは感情についてチンシモッコーする
カレは愛の守護神 カレはすっごくディープでドープなドゥービー・ブローよ
 
by enzo_morinari | 2013-07-17 13:08 | 世界トム会議 | Trackback | Comments(0)

Mondrian Epicurean#1 ブライアン・イーノで迷宮遊びする。

 
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ブライアン・イーノは音楽家ではない。彼の作品は音楽ではない。ブライアン・イーノは建築家であり、彼の作品は建築物だ。 E-M-M


ブライアン・イーノの作品を体験(いわゆる「視聴」ではない)していると、インスタレーション・アートの森やランド・アートの砂漠に身を置いているような錯覚に屢々とらわれる。そこに「音」はない。あるのは引き延ばされ、再定義され、再構築され、再び解体された「沈黙」である。1970年代にブライアン・イーノあるいはブライアン・イーノ的なるものが解き放たれたことによって、現代人はそれまでおぼろげだった不安と焦燥をじかに、手づかみで、背負う運命を生きることとなった。このことが悲劇なのか幸福幸運なのか。いまのところはわかっていない。どちらでもいいことだ。いずれにしても、もはや別の緑の世界はどこにも用意されてはいない。
 
by enzo_morinari | 2013-07-16 21:51 | Mondrian Epicurean | Trackback | Comments(0)

気がつけば、ミルプラトー高原で夕陽に染まっていた。

 
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 気がつけば、ミルプラトー高原で Porsche356 Roadster とともに夕陽に染まっていた。


 街を出たのは昼下がりだった。 Porsche356 Roadster のイグニッション・キーをまわしたときは目的地はなかった。初めのうちぐずっていた空冷水平対向4気筒OHVエンジンが軽快にして粘りのある4拍子を奏でながら回りだすと虚空から声が聴こえてきた。

 南南西へ。太陽が沈むのとは逆の方向へ。国境の南、太陽の西へ。まだ見ぬ言葉の祖国へ。

 どの道を通ったのか、どこを走っているのか。時間はどれくらい流れたのか。記憶はない。気がつけば太陽は空を、大地を赤く染めていた。ミルプラトー高原の麓だった。眼にみえる世界のすべてが、 Porsche356 Roadster が、自分自身が燃えあがりそうなほど夕陽に染まっていた ── 。
 
by enzo_morinari | 2013-07-16 08:25 | Sun Goes Down | Trackback | Comments(0)

THE KWAIDAN IN 2013 SUMMER#2 西伊豆戸田村の怪#2

 
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「おれにも飲ませろよ、ガン公!」
「立場上、ぼくからすすめることはできないよ。ただ夜の海岸は見通しが悪いから色々なものを落としてしまう。ぼくはもうすぐビールとウィスキーを落とす。ドンブリも落とす」
「モクも落とせよ」
「ぼくはタバコを吸わないので、本来、落としようがないけど、なぜか、ほら、そこにショート・ホープが二箱落ちてるよ」
「ガンちゃんもそこそこ気が利くようになったじゃねえか。おれ様のおかげだな」
「さあ。おふざけはこれくらいでさっさと乾杯しようよ」
「だな」
 吾輩とガンさんはビールをドンブリにあふれるほど注ぎ、戸田の海と御浜神社と非業の死を遂げた漁師たちに乾杯した。ガンさんはソニーのポータブル・カセットデッキを持ってきていて、ガンさんお気に入りの曲ばかりをいれたテープをかけた。
 見姿風体からはとても想像できないが、ガンさんはすごく音楽センスがよかった。ジャズ、クラシック、ブルーズ、ポップス、ロックを始めとして、幅広いジャンルの音楽がTDKのカセットテープにチャンプルで録音されていた。吾輩ほどではないにしても、音楽に関する知識は中々のものだった。特にマイルス・デイヴィスに関しては一家言を持っていて、世界と人間に起こるすべての現象、事象、事態はマイルス・デイヴィスの音楽で説明できると、まるで吾輩のようなことまで言った。もちろん、ガンさんのレコード・コレクションのほとんどは吾輩がいただいた。何遍も返還を求められたが、吾輩は「返して欲しければ返還請求訴訟を起こせ!」と夜郎自大なことを抜かして返さなかった。ガンさんの部屋に行くと吾輩がくすねたLPレコードが新品で補充されていた。まことにけっこうなことであった。
「森鳴さんは将来はどんな方向にいこうと考えているんですか?」
「まだ決めてない。来年の夏までには決める」
「そうですか。やっぱりあれですか、大学は東大ですか?」
「さあな。学生運動でドンパチ大騒ぎなら東大もいいけどな。安田講堂のてっぺんから演説ぶつなんてイカすじゃねえか」
「学生運動も全共闘運動も内部はひどいもんですよ。権力闘争ばかりで。正義も公正も理念もない。自分たちが闘っている相手とおなじことばっかりやってます。本当にひどい。内ゲバの巻き添えで、ぼくは友だちを3人失いました。むごたらしい死にざまでしたよ」
 ガンさんを見た。じっと見た。見ているうちに泣けてきた。湿っぽいのをまぎらわそうと、ビールとウィスキーを交互にがぶ飲みしたが、余計に気持ちが昂って涙が止まらなくなった。ガンさんも肩をふるわせて泣いていた。青春ドラマのワンシーンみたいだった。さすがに抱き合うことまではなかったが。
 ガンさんと吾輩は酔いつぶれて、けっきょく小舟の浜に寝てしまった。寄せ返すさざ波の音が心地よくて、子守唄みたいだった。夜明けまでもうすぐだった。ガンさんが駿河湾側で日の出を見ようと言うので松林を抜けて灯台を目指した。小さな灯台に寄りかかり、日の出を待った。日の出を見るのは好きだったが、駿河湾を昇ってくる太陽を見るのは初めてだった。
 太陽が水平線を赤く染め、その顔を少しのぞかせたとき、一群のカモメが頭の上をものすごいスピードで飛んでいった。吾輩は思わず叫んでいた。
「おれたちも飛ぼうぜ! ジョナサン・リビングストンみたいに!」
「そうしましょう!」
 後にも先にも、あれくらい気分が昂揚した日の出はない。

(つづく)
 
by enzo_morinari | 2013-07-16 04:51 | THE KWAIDAN | Trackback | Comments(0)

THE KWAIDAN IN 2013 SUMMER#1 西伊豆戸田村の怪#1

 
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 1974年7月20日土曜日の夜である。
 吾輩は高校1年生で、1学期の終業式をサボタージュして西伊豆の戸田村に来ていた。戸田村の漁港を天然の良港とするのに重要な役割りを果たしていた御浜岬の鈎状砂嘴をフィールドワークするためだ。翌日には神々がさんざめくといわれる大瀬崎をフィールドワークする予定になっていた。

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 地学の新米非常勤講師(ガンさん/「岩石」から吾輩が命名した。先頃、無事定年退職を果たしたが、それまでずっと「ガンさん」の愛称はイマジナシオンのない愚かな後輩どもによって脈々と受け継がれた)が戸田村の出身で、1学期の最初の授業で自己紹介がわりに戸田村の地学的地質的特質を話す中に「鈎状砂嘴/かぎじょう・さし」という言葉が出てきたのを吾輩は聞き逃さなかった。
 カギジョウサシ? なんだそりゃ? 聞いたこともないぞ。平凡社の大百科事典が愛読書であり、すでにして3回にわたって読破していた吾輩にとっては誇りに関わる問題だった。おかしい。俺様としたことが見逃したか。授業終了後、吾輩はガンさんに詰め寄った。
「カギジョウサシがみたいんだが」
「へ?」
「カギジョウサシだよ、カギジョウサシ!」
「ここにはないよ」
「なきゃ、持ってこいよ」
「持ってこられるもんじゃない」
「持ってこれないような厄介なものを授業中に口にすんなよ。まぎらわしい!」
「ひでえ!」
「ひどかねえよ!」
「どうしたらいい?」
「連れてけよ」
「戸田に?」
「うん」
「いいよ」
 ガンさんはあっさりOKした。
「でもよ、ガンさん。おれんち貧乏でカネねえんだ」
「いいよ。それは心配しなくていい。ところで、”ガンさん”って?」
「あんたのことだ」
「なにそれ?」
「あんたの得意分野は地学だろ? だから岩石のガンさんだ」
「ああ。なるほど」
「それに都合よくも、あんたの苗字は岩崎じゃねえかよ」
「あ。そういえばそうだ!」
「あんたの脳味噌はオガクズでできてんのか? それとも大谷石か?」
「うへへ。その両方」
「言ってやがらあ!」
 このようにして、こと地学にかかわることに関してはガンさんが吾輩の教師となり、文学思想哲学数学音楽美術ナンパ不良に関しては吾輩がガンさんの教師となった。吾輩は180cmになんなんとする大男の偉丈夫、ガンさんは160cmそこそこの小柄で痩せっぽちで気の弱そうな小男。しかも、吾輩はフケ顔、ガンさんはとっちゃん坊やヅラ。だれがみても吾輩のほうが歳上だった。実際、吾輩がガンさんを「あれやれこれやれ」と小間使いのように扱うことが職員会議で問題になったことは一度や二度ではなかった。そのたびにガンさんは「彼を調教しているのです。彼を調教できるのはこの学校には私しかいません」と弁明し、なおかつ吾輩を弁護してくれた(と、吾輩シンパの他の教師から教えられた)。

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 夏休み前日に吾輩はガンさんとともにガンさんの実家に来ていた。訝しがるガンさんの両親に、ガンさんは「都会の学校は田舎の学校とはちがうんだ。なんでも早い。夏休みも早く始まるんだ」とわけのわからぬ言説で答えた。
 コンビニなどない当時、ガンさんはビールとウィスキーを酒屋でこっそりと調達し、生きのいい地魚の刺身を山ほど漁港近くの食堂で調達して吾輩を夜の御浜岬に連れ出した。
「明日の夜、とても不思議なことが起こる。あす、7月20日は終戦直前、米軍機によって機銃掃射されて戸田の漁師が何人も死んだ日でもあるんだ。毎年、7月20日になるとその漁師たちの魂が戸田に帰ってくる」
 そう言って、ガンさんはドンブリになみなみとついだビールを音も立てずに飲みほした。人っ子一人いない御浜岬の小舟の浜の渚には寄せる波の音が幽かにするだけだった。(つづく)

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by enzo_morinari | 2013-07-15 23:32 | THE KWAIDAN | Trackback | Comments(0)

ガンスリンガー・ガールを探して#2

 
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 女の亡骸を埋めてすぐに崩壊した時間を追いつづける男、蝿の王/ゴールディー・ベルゼビュートがやってきた。
「まただれか死んだのか?」
「そうだ」
「どうした? 人が死ぬのは当然だし、死ぬことなんか、この街では空き缶とおなじくらいにどこにでも転がっている話じゃないか。そんな深刻な顔になるほどのことではないだろうが」
「昔々の大昔に一緒に暮らしていた女だ」
「ほうほう。その話のつづきには崩壊した時間は登場するか?」
「さあね。ひょっとしたら、おまえさんが探し求め、追いつづけている崩壊した時間とやらがみつかるかもしれないな」
 蠅の王が身を乗り出す。
「詳しい話を聴かせてくれよ。話の続きを」
「ガンスリンガー・ガール」
「なに?」
「ガンスリンガー・ガールだ。拳銃無宿のお嬢さん」
「おもしろそうだな」
「つきあうか?」
「ああ。ここのところ、つまらぬ死体ばかりで退屈していたところだ」
「おまえさんらしいな」
「屍体はあるんだがな。死体がない。完璧な死をまとった死体が」
「これから山ほどお目にかかれるだろうさ」
 焚火にかけていた小鍋からドッグフードの空缶で煮詰まったコーヒーをすくい、蠅の王に差しだした。
「ありがてえ」
 蠅の王、ゴールディー・ベルゼビュートが相好を崩して糞まずいコーヒーを飲むのを見ながら、次の一手を考えた。まずは女の遺品をあらためることからだ。
 
by enzo_morinari | 2013-07-15 18:11 | ガンスリンガー・ガールを探して | Trackback | Comments(0)

ガンスリンガー・ガールを探して#1

 
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「ガンスリンガー・ガールを探して」と女は言って息を引き取った。昨夜のことだ。女は骸骨同然に痩せていた。人体の骨格標本に薄皮を一枚かぶせたような有様だった。女の唇は乾いてひび割れ、眼は黄色く濁っていた。女が口を開き、絶え絶えにうわ言のような言葉を吐き出すたびにひどい悪臭がこぼれ出た。女はすでに肉体の中心部から腐りはじめていた。どんなに手をつくそうが悪あがきしようが、もはや女の首を死神が刈りにくるのを止めることはできなかった。耐えがたい悪臭と無惨な姿。女から顔を背けるのを我慢して女を介抱した。クロノスの大鎌を振り上げる死神が間近に迫っているのは十分にわかっていたが、それがかつて愛し、深く傷つけた女への償いであるように思えたからだ。ガンスリンガー・ガールとはだれだ?
 
by enzo_morinari | 2013-07-15 08:37 | ガンスリンガー・ガールを探して | Trackback | Comments(0)