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カテゴリ:Aloha 'Oe Days( 1 )

Aloha 'Oe Days/Aloha 'Oeをささやくように口ずさみながら海上の道をたどってまだ見ぬ南の島ニライカナイを目指す。

 
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Aloha 'Oe. わが愛をあなたに。Queen Lili'uokalani

遠い島影はニライカナイ

名も知らぬ遠き島より流れ寄る椰子の実ひとつ

Quō vādis? われわれはどこから来てどこへ行くのか?

帰りたいと思い、憧れ、恋い焦がれてきた南の島には帰りつけないだろうし、どこにあるのかもわかるまい。当然に、ニライカナイにはたどり着けない。しかし、それでも私にはわかる。南の島もニライカナイも私の血の中に、私の心の大海原にすでにたしかにあるのだと。絶えることなく波音は聴こえると。潮騒はさんざめいているのだと。

ハワイ王国最後の女王Lili'uokalaniとヤキ族のCecilio D Rodriguezが夢枕に立ち、告げた。Aloha 'Oeと。


ずっと遠い昔から、帰りたいと思いつづけていた。やみくもに、ただひたすらに帰りたいと。どこに? 南の島に。遙かなる海の向こう側、水平線の果てのさらにその先にある南の島ニライカナイに。

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浜辺に流れついた椰子の実の芳醇馥郁たる白い果肉を目の当たりにしたとき、すべてわかった。自分がどこから来たのか。何者か。遺伝子の乗り物にすぎないのか。そうではあるまい。椰子の実の芳醇馥郁として香り立つ白い果肉に原日本人、原自分を確かにみた。

400万年前のアフリカの青い空を見上げて目を細めたルーシーから始まったミトコンドリア・イブのThe Human Journey/The Great Journeyはジャワ島に至り、北京に至り、ついには洞窟に日々の暮らしを描き、生の痕跡を残した。その間、400万年。そこからいったい何世代を経て私になったのか。世代時間にはそれぞれ桁のちがう差があるし、個体差もある。数秒で世代交代する微生物もいるから一概にいうことはできないが、もっと遡り、原核生物/真核生物の単細胞生物、多細胞生物からでは10の13乗/10兆世代にもなる。私のアンセスターたちはカンブリア大爆発/Cambrian Explosionのスペクタクルをどうかいくぐり、生き延びたのか。ミトコンドリア・イブの乗る船をどのように操舵したのか。

長い旅のあいだ、私のアンセスターたちは寒さにふるえただろう。ひもじい思いもしたろう。闇や目をぎらつかせて唸る獣や狼の遠吠えはさぞやこわかったろう。心細かったろう。不安だったろう。荒野や雪原や大海原や海上の道や激流の中に放りだされた幼な子。彼らは数知れない困難と困憊の中で産み、増やし、耐え、生きぬいた。それを思うと無性に泣けてくる。かわいそうでいとしい御先祖様たち…。

帰りたいと思い、憧れ、恋い焦がれてきた南の島には帰りつけないだろうし、どこにあるのかもわかるまい。当然に、ニライカナイにはたどりつけない。しかし、それでも私にはわかる。南の島もニライカナイも私の血の中に、私の心の大海原にすでにたしかにあるのだと。絶えることなく波音は聴こえると。潮騒はさんざめいているのだと。

そのとき、どこからか、おそらくはまだ見ぬ南の島から、Tia Carrereの歌うAloha 'Oeがいまにも消え入りそうなほどちいさな音で聴こえてきた。かなしいほどなつかしい歌声だった。涙はあふれてとどまることがなかった。

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Aloha 'Oe - Tia Carrere (Hawaiiana/2007)
 
by enzo_morinari | 2019-06-05 21:31 | Aloha 'Oe Days | Trackback | Comments(0)