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カテゴリ:Skid Roadのうた( 1 )

Skid Roadのうた/立ちん坊人生味なもの 通天閣さえ立ちん坊さ 竹田の子守唄、チューリップのアップリケ、山谷ブルース。釜ヶ崎人情。すべては終わりぬ。魂に楔を打ちこみたいときに繰り返し聴く。

 
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その昔、『竹田の子守唄』を歌っていた赤いチューリップのアップリケがついたスカートを穿いた女の子はいまでは泪橋を渡って橋のない川のほとりで『山谷ブルース』を歌って泣きながら酔いどれる。


20代の半ば頃、山谷、釜ヶ崎、寿町に3ヶ月くらいずつ暮らした。日本の西部/Skid Row/ドヤ街。日雇い労働も経験した。 ツルハシとスコップをふるい、疲れ果て、飲んだくれ、バカっぱなしをし、取っ組み合い殴り合いのケンカをし、なにも残らなかった。左の顎の下にナイフで抉られた疵痕が残ったくらいだ。立ちん坊人生が味なものだと気づくには若すぎた。

小学校5年生の秋に岡林信康の『山谷ブルース』を聴いてからだがふるえるほどの衝撃を受けて以来、いつかは山谷で暮らしたいと思っていた。中学生となり、高校生となり、大学生となって、地元横浜の寿町、大阪西成の釜ヶ崎の成り立ちや意味や歴史を知ってそれらの街で暮らしたいという気持ちはいよいよ強くなった。そして、実現した。山谷/釜ヶ崎/寿町暮らしを通じてわかったのは「どうにもならないこと」「抜け出せないこと」「脱出不能」があるという厳然とした事実だった。きれいごとはもちろんのこと、善意では回収できない生々しいリアルがあるのだと。

竹田の子守唄、チューリップのアップリケ、山谷ブルース。そして、釜ヶ崎人情。さらには、スティーブン・フォスターのすべては終わりぬ/Hard Times Come Again No More. 心と魂に楔を打ちこみ、鞭をくれてやりたいときに繰り返し繰り返し聴く。聴きつづける。そのたびに、ECHIRÉの無塩バターを練りこんだクロワッサンの朝めしやスカイツリーやディズニーランドやクリスマスやヴァレンタイン・デイやハロウィーンやハッピー・ニューイヤーのお祭り騒ぎバカ騒ぎ空騒ぎや仲良しごっこでは決して回収することのできない強固巨大な岩盤岩塊があることを思い知る。

だれだって、ひもじい思いも凍える思いもうだるような思いもみすぼらしい思いもみじめな思いもしたくない。したくないに決まってる。したいはずがない。だが ──。

ひもじい思い、凍える思い、うだるような思い、みすぼらしい思い、みじめな思いをしているから不幸か? 飢えて、凍え、スミロドン(サーベルタイガー)やホラアナハイエナやショートフェイスベアやダイアウルフに追われ、マンモスや鹿やイノシシを追いかけ、木の実をひろって食べ、着の身着のままその日暮らしをしていたわれわれの先祖は不幸か? そうではあるまい。その先の答えをみつけたいがみつかるまい。どうにもならないこともある。

そもそも、答えなんかありゃしねえ。いいさ。いいさ。山谷の立ちん坊。世間恨んでなんになる。あとは焼酎をあおるだけ。どうせ。どうせ。山谷のドヤ住まい。ほかにやることありゃしねえ。だれもわかっちゃくれねえか…。


すべては終わりぬ/Hard Times Come Again No More written by Stephen Foster

1.
Let us pause in life's pleasures/人生の歓びのさなかにあってもひととき立ち止まり
and count its many tears,/流されたたくさんの涙の数をかぞえよう
While we all sup sorrow with the poor;/晩ごはんのあいだ、貧しき人々と悲しみをともにしよう
There's a song that will linger forever in our ears;/永遠にわたしたちの耳に鳴り響く歌がある
Oh, Hard times come again no more./「あぁ、つらい時なんてもう二度と来ないで。すべては終わりぬ」と

(Chorus)
'Tis the song, the sigh of the weary,/この歌は疲れ果てた人々の漏らすため息
Hard Times, hard times, come again no more/「あぁ、つらい時なんてもう二度と来ないで。すべては終わりぬ」と
Many days you have lingered around my cabin door;/長いあいだ小屋の扉のまわりで鳴り響いていた
Oh, hard times come again no more./「あぁ、つらい時なんてもう二度と来ないで。すべては終わりぬ」と

2.
While we seek mirth and beauty/わたしたちが享楽や美女を追いかけまわしているあいだも
and music light and gay,/陽気な音楽を求めているあいだにも
There are frail forms fainting at the door;/小屋の扉のまわりでは疲れ果てた人々が倒れかけている
Though their voices are silent, /かれらの声は沈黙に支配されているけれども
their pleading looks will say/かれらの訴えかけるような眼差しは言っている
Oh, hard times come again no more./「あぁ、つらい時なんてもう二度と来ないで。すべては終わりぬ」と

(Chorus)
'Tis the song, the sigh of the weary,/この歌は疲れ果てた人々の漏らすため息
Hard Times, hard times, come again no more/「あぁ、つらい時なんてもう二度と来ないで。すべては終わりぬ」と
Many days you have lingered around my cabin door;/長いあいだ小屋の扉のまわりで鳴り響いていた
Oh, hard times come again no more./「あぁ、つらい時なんてもう二度と来ないで。すべては終わりぬ」と

3.
There's a pale drooping maiden/蒼い翳を宿した顔をうなだれている娘がいる
who toils her life away,/つらい仕事をずっとつづけ
With a worn heart whose better days are o'er:/たのしかった日々は過ぎ去り、疲れた心を抱えている
Though her voice would be merry, /彼女の声が明るくあればいいと思うけれども
'tis sighing all the day,/彼女は人生の日々にため息をついている
Oh, hard times come again no more./「あぁ、つらい時なんてもう二度と来ないで。すべては終わりぬ」と

(Chorus)
'Tis the song, the sigh of the weary,/この歌は疲れ果てた人々の漏らすため息
Hard Times, hard times, come again no more/「あぁ、つらい時なんてもう二度と来ないで。すべては終わりぬ」と
Many days you have lingered around my cabin door;/長いあいだ小屋の扉のまわりで鳴り響いていた
Oh, hard times come again no more./「あぁ、つらい時なんてもう二度と来ないで。すべては終わりぬ」と

4.
Tis a sigh that is wafted across the troubled wave,/荒波の彼方から漂ってくるのは深々としたため息
Tis a wail that is heard upon the shore/岸辺に聴こえるのは嘆き悲しむ人の声
Tis a dirge that is murmured/つぶやくように死者を悼む哀歌が
around the lowly grave/墓場のあたりから聴こえてくる
Oh, hard times come again no more./「あぁ、つらい時なんてもう二度と来ないで。すべては終わりぬ」と

(Chorus)
'Tis the song, the sigh of the weary,/この歌は疲れ果てた人々の漏らすため息
Hard Times, hard times, come again no more/「あぁ、つらい時なんてもう二度と来ないで。すべては終わりぬ」と
Many days you have lingered around my cabin door;/長いあいだ小屋の扉のまわりで鳴り響いていた
Oh, hard times come again no more./「あぁ、つらい時なんてもう二度と来ないで。すべては終わりぬ」と

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チューリップのアップリケ 岡林信康 (1968)

山谷ブルース 岡林信康 (私を断罪せよ/1969)

竹田の子守唄 赤い鳥 (1969)

釜ヶ崎人情 三音英次 (1967)

Hard Times Come Again No More - Mavis Staples
 
by enzo_morinari | 2019-04-26 14:14 | Skid Roadのうた | Trackback | Comments(0)