人気ブログランキング |

カテゴリ:バグダッド・カフェ閉店( 1 )

Bagdad Caféは閉店しちまうし、サボテン・ブラザースは行方不明だし、荒野にいるときより孤独だから、わらの犬とガルシアの首と戦争のはらわたの煮込みをつくったけど、喰う?

 
c0109850_22024945.jpg

「夏がはじまるまでにエンゾ・マイオルカ・モリナーリの背中を持ってこい」とウォーレン・オーツ似の大ボスが怒鳴った。雷が1ダースほどもまとめて落ちたような声だった。


ゲラウェイついでにわらの犬とガルシアの首と戦争のはらわたの煮込みをむさぼり喰っていた早春の午後だ。

日頃から、ネイティヴ・アメリカンの血を受け継いでいることを自慢たらたらの北京パーことサミー・ディヴィス・ベッケンバッハがやってきて、ダブル・ジョパディ茶会事件の最終弁論中にいきなりワイルド・パンチを叩きこまれた。鼻血が5tばかり出た。だが、鼻血5tくらいどうということはない。毎日毎日、塩味のダイヤモンドはその倍は流している。古今東西の人間の罪業をすべて引き受けて流す塩味ダイヤモンドだ。

北京パーが言うには、「バイオレンスが足りねえ! コロシはもっと足りねえ!」だとよ。どうする?


エンゾの背中

c0109850_20401321.jpg

 
「夏がはじまるまでにエンゾ・マイオルカ・モリナーリの背中を持ってこい」とウォーレン・オーツ似の大ボスが怒鳴った。雷が1ダースほどもまとめて落ちたような声だった。小ボスどもは一斉に縮みあがった。もちろん、俺もだ。なぜなら、俺がエンゾ・マイオルカ・モリナーリ本人だからだ。だが、この街の連中は誰一人として俺がエンゾ・マイオルカ・モリナーリだとは知らない。

「エンゾの背中の肉をひとかけらでも俺の眼の前に持ってきた奴には100万ブッサリーノくれてやる。キャッシュでな。いいか? キャッシュでだ。ただし、肉は腐っていてはいかんぞ。なにせ、俺はエンゾ・マイオルカ・モリナーリの背中の肉を食わなきゃならんのだからな」

大ボスは言い終えるとテーブルのシャトー・ムートン・ロッチルドの1958年を大ぶりのグラスになみなみと注ぎ、あかりにしばし透かしたあと、喉をゆっくりと動かしながら飲みほした。口の端からこぼれたワインは俺の血のように思えた。背中がぐきりと痛んだ。夏がはじまるのは2週間後だ。

c0109850_05142686.jpeg

Bagdad Café (I'm Calling You)
Paris, Texas - Ry Cooder (1984)
 
by enzo_morinari | 2019-04-06 05:38 | バグダッド・カフェ閉店 | Trackback | Comments(0)