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カテゴリ:天使の落書き( 1 )

天使の落書きをした9歳のカトリーヌは20歳になり、いくつかの恋をし、いくつもの夢をみたけれども、今でも9歳の夏休みに北の国の強い王子様といっしょに遊園地で木馬やシーソーに揺られたことを夢見ている。

 
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カトリーヌあなたが九つで あの子は十二の夏休み
おぼえているでしょ遊園地 木馬やシーソーが揺れていた

あなたがブランコを漕ぎ ブロンドがなびくと
あの子は頬を染めてあなたを見つめた

カトリーヌ あの子はその夜にあなたの夢を見てたのよ
あの子が北の国の強い王子で あなたは西の国の可愛い王女様
ふたりでペルシャの馬に乗り 砂漠を越えて行く夢を

カトリーヌあなたはもう二十歳 あの日のブランコも今はない
けれどもあの子はあの日から今日まであなたに恋をしてるのよ



夢はこどものときに砕け散る。粉々に砕け散るのだ。例外はない。しかし、夢がとっくの昔に砕け散っていたことに気づくのに何十年もかかる。気づいてからのちは、粉々に砕け散った夢のかけら、断片をひとつひとつひろい集め、つなぎあわせ、頬ずりし、そっと口づけ、数知れぬため息をつき、夢の墓場に埋め、あきらめきれずに掘り起こし、さらに埋めもどし、そして疲れ果ててゆく。成熟するというのはそういうことだ。


Catherine/カトリーヌ - Daniele Vidal/ダニエル・ヴィダル (1970)
 
by enzo_morinari | 2019-03-27 14:00 | 天使の落書き | Trackback | Comments(0)