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カテゴリ:ナポレオン・フィッシュに手頃な日( 1 )

ナポレオン・フィッシュに手頃な日/イソギンチャクの数の子天井三段締めカズコによるプロローグ

 
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人生はたいせつなことを待つには長すぎ、たいせつななにごとかを成しとげるには短すぎる。


バナナ魚の紹介で知り合ったナポレオン・フィッシュの口ぐせは「余の地所に不知火海はない」だ。趣味はダイバーを飲みこむことである。実益もかねている。人間の頭蓋骨は海賊に高く売れるからだ。ハンマーヘッド・シャークとは犬猿の仲/犬猫の争い/海水魚の交わり/木と魚の間柄であり、つねに覇権を争い、撞木で叩きあっている。IUCN Red Listでは"EN" (Endangered/絶滅危惧)と評価されているが、喰うと死ぬ死ぬもっと突いてもっと突いてと叫んでしまうほどマイウー/My Udon部部長だ。ゆうべも喰いすぎて吐いた。

ナポレオン・フィッシュはいっさい反省も後悔も悔悟も改悛もしない。反省やら後悔やら悔悟やら改悛やらをするのは愚かな人間だけである。ナポレオン・フィッシュにかぎらず、野生動物/Wild Life/草花/樹木は反省やら後悔やら悔悟やら改悛やらという無駄なことをしているヒマがない。生き延び、遺伝子を受け継ぐものをつくることに忙しいからだ。

人間はしばしば反省やら後悔やら悔悟やら改悛やらの言葉を口にするが本心ではあるまい。本当に反省やら後悔やら悔悟やら改悛やらをしているなら、みずから首をくくるか腹を切るからだ。そうしないのは反省やら後悔やら悔悟やら改悛やらをしていないからだ。なぜそのような無駄なことをするのか? Wild Lifeはそのような無駄をいっさいしない。人間は弱ちょろく甘っちょろく愚かだから本心でもない反省を口にして、「反省している自分」にみせかけるのだ。みせかけ、反省を口にする者は同情を買おうとしているだけである。

突然だが、スペンサー・トレイシーによく似た年老いたメキシコ湾のカジキ漁師の夢に出てきた年老いたアフリカのライオンはスペンサー・トレイシーによく似た年老いたメキシコ湾のカジキ漁師の夢を見ていた。サバンナの棘々したブッシュを乾いた風が吹き抜けたとき、年老いたライオンは永遠の眠りについた。おなじころ、スペンサー・トレイシーによく似た年老いたメキシコ湾のカジキ漁師もまた死の影に身を委ねた。死んで四大に還って初めてふたりは出会うことができた。このことから学ぶべきことは、人生はたいせつなことを待つには長すぎ、たいせつななにごとかを成しとげるには短すぎるということである。
 
by enzo_morinari | 2019-03-21 11:52 | ナポレオン・フィッシュに手頃な日 | Trackback | Comments(0)