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カテゴリ:艫綱をといて、非在の彼方へ( 1 )

艫綱をといて、非在の彼方へ 雪原の墓標

 
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艫綱をといて、非在の彼方へ


北の国の荒涼とした雪原に脆弱な朝陽が射す。悪意あるいは冷酷の階。レンブラント光線/天使の梯子/天国への階段が降りる。凍結寸前の朝陽を浴びるトウヒノキは、殺され、汚染され、屠られ、虐げられ、棄てられ、忘れられた者たちの墓標である。

彼らはレンブラント光線を登ることはできない。彼らにとって、レンブラント光線は天使の梯子でもなければ天国への階段でもない。彼らは微動だもせずにただそこにいて、黙し、黙示し、憤怒し、憎悪し、忘却という2度目の死を迎え、非在の彼方へ去ってゆく。

何者も彼らの憤怒と憎悪を鎮めることはできず、彼らの黙示録を読みとることはできない。彼らに鎮魂歌は聴こえず、届かず、意味を持たない。トウヒノキだけが彼らとただともにある。

トウヒノキはいずれ倒れるだろう。雪原の墓標であるトウヒノキが倒れ、失われたことにだれも気づかないだろう。あるいは見て見ぬふりをされるだろう。あとには荒涼とした雪原を風が縹渺と吹きすぎるだけである。


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by enzo_morinari | 2019-02-24 05:40 | 艫綱をといて、非在の彼方へ | Trackback | Comments(1)