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カテゴリ:帰らざる日々( 1 )

帰らざる日々/さらば、戦友よ。静かに冥れ。

 
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イマ、ココハ、戦場ダと意志の中心にメタルを持つ男は言った。
もう飛ばなくていい。年老いた翼を静かにたたんでやすめるときだ。


またひとり、戦友が逝った。酒豪。熱血漢。好漢。毒舌辛口。剣呑にして狷介。きれいごと/お愛想/おべんちゃら/なれあい/A( )C/セコい/みみっちい/しみったれ/臆病姑息/陰でコソコソ/野暮を忌み嫌った。ほっかぶり/知ったかぶり/知らぬ存ぜぬ/見て見ぬふりは金輪際しなかった。歯に衣着せず、気は心/心映えを知り、面倒見のいい男だった。いくつか年下だったが、学ぶところの多い男だった。敵も多かったが味方はもっと多かった。孤立無援をおそれなかった。気合いの入った眼をしていた。私と面とむかって視線をそらさぬ数少ない者たちのうちのひとりだった。その眼で世界を撃ちぬき、数知れぬ修羅場を駆けぬけた。戦友の眼と声がよみがえり、響く。

悲しい酒も楽しい酒も苦しい酒も怒りの酒も涙の酒も飲める男だった。いつか、冬の夜、湯豆腐などつつきつつ、二人きりで静かな酒を飲みたいと思っていた。だが、もうそれはかなわぬ。またひとつ、夢が消えた。

女子高生コンクリート詰め殺人事件をめぐるアカハタどもやらドーワモンやら裏街道の連中との裏の丁々発止は長く語りつがれるべきいい仕事だった。「野獣に人権なし」と断じて実名報道に踏みきったことの何倍も。腰抜け腑抜けの花田は愚劣醜悪だった。

生きて、生きつづけていい仕事をすべきやつだった。そのような者が死に、とっとと死んだほうがいいポンコツボンクラヘッポコスカタン木偶の坊の下衆外道/まやかしピンボケまみれのツラの皮の厚い恥知らずなドサンピン三下奴/沈香も焚かず屁も放らぬような糞の役にも立たない輩がうまうまのうのうぬけぬけと生き延び、蔓延る世界。どうかしてる。いまにはじまったことではないが、世界は本当にどうかしている。

いつの日か開高健を乗りこえようと誓った横浜のバー「クラーク」の夜。そして、マラッカ海峡に轟々と沈みゆく巨大な太陽を眺めながら飲んだ生ぬるく糞まずいバドワイザーの味を忘れはしないぞ、戦友よ。おまえと共同戦線の隊列を組んで秋元康一味と秋元康的なるものを根こそぎ完膚なきまでにぶっ叩きまくりかったぞ。おれより先におまえが逝っちまうとはな。ますます、いい奴は死んだ奴ばかりになっていきやがるなあ、カツよ。

饒舌漢を装いつづけた古き悪しき戦友の勝谷誠彦よ。小川洋子とのことも、その他のもろもろのことも見事に墓場に持っていったな。いい幕引きだ。

戦友よ。舌をたたみ、口にチャックをして、ただ静かに冥れ。深い沈黙を知るおまえの出自/レーゾンデートル/撒き散らされし者たちの血がおまえに書かせた『ディアスポラ』の続編/完結を読めなかったのはかえすがえすも残念だが、すべてに都合よく終/了/The End/Finは用意されてはいない。人は皆、途中で死ぬものだ。

飛ばないただの豚は喰われるのを待つだけだが、おまえは世界のインチキまやかし誤魔化しを喝破しつづける空飛ぶ河童だった。しかし、もう飛ばなくていい。年老いた翼を静かにたたんでやすめるときだ。おまえが翼をたたんでやすみ、眠っても、だれも異議申し立てなどしない。

今頃は地獄の釜のへりに鴨志田穣とならんで腰かけて、天上極楽極上のトム・ヤム・クンを肴に般若湯がなみなみとそそがれた盃を何杯も何杯も飲みほしているんだろう。鴨志田の『火垂るの墓』の節子話をこれでもかというくらいに聴かされながら。

飲め。あびる優が改心し、心を入れかえるくらいに浴びるほど飲め。もはや、おまえを縛りつけるなにものもありはしない。おまえたちの盃におれの塩味のダイヤモンドを垂らすから、甘露を飲みほすように飲みほし、喉を鳴らせ。

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さらば、戦友よ。酒神バッカスとともに逝け。そして、ただ静かに冥れ。ただし、おれとおまえと鴨志田穣の3人分、天上極楽極上の般若湯ととびきりのトム・ヤム・クンの用意を怠るな。おれはきょうはわが人生の同行者に強がりをほざきつつ、グレープフルーツ・ムーンを眺めながら塩味のダイヤモンドの酒を飲む。塩味のダイヤモンドがこぼれかけるけれども、しょんぼりしかけるけれども、おまえたちと会えるのももうすぐだ。だから、だれにも塩味のダイヤモンドはみせない。天下御免のタフ&クール&ハードボイルドなおれは、顔でぎこちなく笑って心で塩味のダイヤモンドを流す。それがおれの流儀だ。そのことはおまえもよく知っているよな、カツ。

わが友、勝谷誠彦よ。酔いどれの月で会おう。そして、尽きることなき友情の盃を酌み交わそう。それまで、しばしのお別れだ。

Adieu! Adios! Amigo!


弾(さけ)、込め! 捧げ筒(さかずき)! 撃て(のめ)!


しばらく、酒がにがいぞ、カツ…


── こちら、シエラ・インディア・ゴルフ・ノヴェンバー・インディア・フォクストロット・エコー! ノヴェンバー・アルファ・パパ・アルファ・リマ・マイク! ノヴェンバー・アルファ・パパ・アルファ・リマ・マイク! ビクター・シエラ・フォクストロット・アルファ・シエラ・タンゴ! キロ・ユニフォーム・ロメオ・オスカー・ノヴェンバー・エコー・キロ・オスカー・ノヴェンバー・オスカー・タンゴ! 援軍! 援軍! 応答せよ! ナパーム! ナパーム! こちら、シエラ・インディア・・・ ── ── ゴル・・ストロ・・・リ・・ ── ──────


帰らざる日々 (マルコとジーナのテーマ)/久石譲

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by enzo_morinari | 2018-11-28 16:00 | 帰らざる日々 | Trackback | Comments(0)