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カテゴリ:荒野のダンシング・ベイビー( 1 )

荒野のダンシング・ベイビー#001 宇賀チャカは歌い、踊り、撃つ。

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「ウガチャカ ウガウガ ウガチャカ ウガウガ」と歌い、踊りながら宇賀チャカは現れた。腰にはコノリー革のホルスターに収まったゴールドの巨大なコルト・ピースメーカー(Colt Single Action Army/SAA)。

コルト・ピースメーカー。荒野、砂漠、馬とともに「ウェスターン・ムービーの代名詞」とまで称される銃。しかも、2丁。Dual Pistols. 2丁拳銃。16インチの長銃身。バントライン・スペシャルだ。バレルには美しい彫刻と象嵌がほどこされ、グリップは滑り止めのための彫刻がなされた本象牙のものに交換されている。

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「あしたのことなんかわからない。あしたのことなんかあてにはできない。あしたなんか見たこともないし、見たくもない。あしたは保証するものじゃなくて、追悼するものよ。だから、わたしにあしたなんてない。わたしにとってあしたは狙撃するもの、撃ち落とすものよ。あした、世界が滅びるとしても、きょう、林檎の苗は植えるけどね」

宇賀チャカは涼しげな顔で微笑みさえ浮かべながら言って、左右の腰に装着されているネイビーブルーのコノリー革のホルスターからコルト・ピースメーカー-バントライン・スペシャルを抜いた。

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2丁のコルト・ピースメーカー-バントライン・スペシャルの長い銃身が部屋のあかりをうけてにぶく輝くと、大深度地下からはらわたに響く低周波の轟音を発しながらゆっくりと出現したモノリスのような荘厳と威厳と峻烈を周囲に放った。

ピュア・ガンスリンガー・ガール、デュアル・ピストルズ・タワー、ツイン・モノリスズ・タワー。部屋の中にいる腹の出た口臭のひどい者どもはモノリスを見上げる猿だ。モノリスの前で愚かな猿が獣骨を放りあげて「武器」を放棄したように、顔や手にいくつもシミが浮いて老醜をさらす者たちはとうの昔に武器を棄て、戦うことをやめた腰抜けである。守るものを山ほどぶら下げて悦にいっている者たち。しかし、それもきょうまでだ。いや、あと十秒足らず。厄介で狷介で剣呑だが無垢で赤剥けの魂、ソウル、ハート、スピリッツを持つ者によってきれいさっぱり除去される。

宇賀チャカの2丁のツイン・モノリスズ・タワーから轟音と閃光が12回発せられると、12人の腐れる者たちはほくそ笑むこともつまらぬジョークを言うことも耳たぶをいじることもひどい口臭を撒き散らすことも呼吸をすることもやめた。それが、5秒弱のあいだに起きたすべてだ。

宇賀チャカは12個の肉の塊の眉間にできた大きな穴から煙りが上がり、鮮血が吹きだすのを一瞥してからまっすぐに前を見て足早に出口に向かった。宇賀チャカは「ウガチャカ ウガウガ ウガチャカ ウガウガ」と歌い、踊りながら、来たときと寸分たがわないステップで出ていった。次の仕事が待っている。

Dancing Baby

by enzo_morinari | 2018-05-12 02:42 | 荒野のダンシング・ベイビー | Trackback | Comments(0)