カテゴリ:真言の音楽( 53 )

ダニーボーイの夢/かなわぬ夢と知りながら

 
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目下のところのもっとも甘くほろにがい夢はアイルランドの鉛色の海を見下ろす断崖の際にひっそりと建つ小さな家で、わが人生の同行者である虹子と一番弟子のミニチュア・セントバーナードのポルコロッソに看取られながら、それまでの人生で聴いた最高の『ダニーボーイ』を聴きながらくたばることである。どうせくたばってから行きつく先は鬼か亡者か閻魔が待ちかまえているようなところであろうから、せめてくたばるときくらいは極楽天国をみたいということだ。

『ダニーボーイ』を初めて聴いたのはいつだったか、どこだったか。とんとおぼえていない。物心ついたときには口ずさんでいた。母親の腕の中で子守唄がわりに聴いたのか。それとも、ろくでなしの生物学上の父親が免罪符がわりに歌って聴かせたのであったか。あるいは小学校の音楽の時間に聴いたのか。いずれにしても、『ダニーボーイ』は私の魂、心、性根、細胞のひとつひとつに染みついている歌であることにかわりはない。

記憶にいまも残るのは、遠い日の夏、母親に連れられて出かけた丹沢で山道を二人並んで歩きながら一緒に『ダニーボーイ』を歌ったことだ。夏の盛りの陽は木々にさえぎられて涼しく、山百合の甘くせつない香りはつきることがなかった。

夏の盛りの陽にさらされながらも涼しげだった緑。甘くせつない山百合の匂い。母親の細い背中とやわらかな手。そして、鈴の音のような声。あの遠い夏の日の『ダニーボーイ』は私の宝石のうちのひとつであり、忘れえぬ。

母親がいまも生きて元気達者でいるならば、夏の盛りにおなじ山道を歩き、『ダニーボーイ』を一緒に歌ってみたいものだが、それももはやかなわぬ夢となった。生きつづけるということは夢のひとつひとつが確実に失われていくことでもある。

私にとってのいまのところの最高の『ダニーボーイ』は2002年東京公演におけるキース・ジャレットのものだが、それと同様に心ふるわされた『ダニーボーイ』はアイルランド南部、ウォーターフォード州の小さな港町で聴いた。

聖パトリック・デーのイベントのクライマックスに登場した市民合唱団による『ダニーボーイ』。プロフェッショナルのコーラス・グループのような声量や安定感や劇的な構成はなにひとつないが、彼らの『ダニーボーイ』はとても心がこもっていた。

彼らの全員が愛する者を思い浮かべながら歌っているのが手に取るようにわかった。いつしか、会場である市民ホール前の円形広場はひとつの塊となっていて、そこにいるすべての者が『ダニーボーイ』を歌っていた。私もその中の一人だった。

嗚咽する者がいた。ある者は人目も憚らずに涙を流し、ある者はからだを激しく震わせていた。私は彼らが日々の暮らし、家事、仕事、学業をこなし、時間を工面し、知恵をしぼって練習し、うまくいかず、落胆し、気を取りなおし、夜はふけてゆき、何度もおなじパートを練習しという姿が目に浮かび、胸打たれた。

また、別の意味で感慨深かったのは、2002年のFIFAワールドカップの折り、赤坂9丁目、赤坂通りのどんつく、外苑東通り、六本木に抜ける坂道の途中でアイルランド・チームを応援するためにかの妖精の国からやってきた一団が緑づくめの衣装を身にまとい、『ダニーボーイ』を歌いつつ闊歩する光景に遭遇したときだ。

ふだんはナショナリズムなどにはいっさい興味はないし、信用もしないが、そのときだけはちがった。夕闇迫る東京のど真ん中、雑踏で聴く妖精たちの『ダニーボーイ』はまた格別であった。時間がゆるせば、妖精たち全員を引き連れてアイリッシュ・パブに繰り出したいくらいの気分だった。そして、ギネスのスタウト・ポーターでしたたかに酔いしれ、妖精たちと夜ふけの東京で『ダニーボーイ』を歌えたなら、おそらくは極上の『ダニーボーイ』になったことだろう。だが、すべては縁のもので、私の無邪気馬鹿げた夢は夕暮れの東京の雑踏のただ中に儚くも消えた。縁とはそういったものでもある。

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『ダニーボーイ』は出兵したわが子を想う母親の歌だ。


おお ダニーボーイ バグパイプが呼んでいる
谷から谷へ 山の斜面を転げ落ちるように夏が去り
バラの花はみな枯れゆく
おまえは行かねばならない わたしを残して
(手柄など立てなくてもいいから 無事で生きて帰ってきておくれ、わがダニーボーイ)

おお ダニーボーイ もしもおまえが帰ったとき
すべての花が枯れ落ち たとえわたしがすでに死んでいたとしても
おまえはかならずわたしをみつけてくれる わたしが眠る場所を
跪き さよならの祈りを捧げてくれる
わたしはきっと聴くだろう おまえのやさしい足音を
わたしのみる夢はすべてあたたかくやさしいものになるだろう

おまえが「愛している」と言ってくれるなら
わたしは安らかに眠るだろう おまえがわたしの元に来てくれるその日まで



哀惜の情とは、哀切とは、このようなことをいうのでもあろう。いつか来る別れ、やがて来る別れ、かならず来る別れを惜しみつつ、そして、「最高のダニーボーイ」に出会うことを願いつつ、残されたいくばくかの日々をせめて夢見心地に生きることとしよう。ダニーボーイの夢はきっと山百合の匂いがするはずだ。してほしい。

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Keith Jarrett
Eva Cassidy
Elvis Presley
Harry Connick Jr.
Celtic Woman
Anonymous (unknown)


【背景DANNY BOY】
Brigid Kildare & Sinead O'Connor/Bill Evans/Eva Cassidy/Jonell Mosser/Charlie Haden & Hank Jones/Celtic Woman/George Jamison, Norman Stanfield & William Paterson/Harry Belafonte/Sarah Vaughan/Glenn Miller/Danny Walsh/Michel Petrucciani/Nana Mouskouri/Art Tatum/Pat Hannah/Deanna Durbin/Charlotte Church/Johnny Cash/Eric Clapton/Elvis Presley/Tom Waits/Keith Jarrett/美空ひばり/Harry Connick Jr.
 
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by enzo_morinari | 2018-04-04 03:34 | 真言の音楽 | Trackback | Comments(0)

ビリー・ホリデイに取り残されて。マル・ウォルドロン『Left Alone』

 
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葬送/野辺送りの調べのようなマル・ウォルドロンのピアノにつづくジャッキー・マクリーンの出だしの1章節を聴いただけで完全にノックアウトだった。より厳密に言うならば、ジャッキー・マクリーンの最初の3音。パピポー。あの3音だけで脳味噌を鷲掴みにされ、ぐらぐら揺さぶられた。

『Left Alone』におけるジャッキー・マクリーンの影響で、最初に手に入れたサクソフォーンはアルト・サックスだった。「パピポー」の「ピ」のところは左の親指でオクターブ・キーを押さえて1オクターブ上げる。単純。シンプル。O Sancta Simplicitas!

ある友人の結婚披露宴で「結婚が人生の墓場であるとは古来よりの定説なので、これに従い、セメタリーへ入定せんとする長年の友人である君に葬送/野辺送りのうたがわりに贈る」と前置きスピーチし、『Left Alone』を吹いた。大顰蹙だった。当然だ。和気藹々とした空気が『Left Alone』のメロディが会場に響きわたると同時に一変した。泣きだす者もいた。その友人は先頃、癌との長い闘病の末に死んだ。奥方を一人残して。

レフト・アローン。ジャッキー・マクリーンのアルト・サックスが哭いている。マル・ウォルドロンのピアノも哭いている。ベースもドラムスも哭いている。

『Left Alone』はビリー・ホリデイ作詞/マル・ウォルドロン作曲。ビリー・ホリデイに先立たれ、取り残されたマル・ウォルドロンの慟哭だ。

マル・ウォルドロンは1957年、31歳のときにビリー・ホリデイの伴奏者に大抜擢され、1959年に彼女が他界するまで影のように寄り添った。『Left Alone』のジャケットを見ると、ビリー・ホリデイがまるで亡霊のようにマル・ウォルドロンの脇に立っている。

ある時期、知り合って間もない人物の魂の質を見きわめるために、なんらの前置き、説明なしで『Left Alone』を聴かせていた。男も女もだ。

哭くかどうか。哭けば合格。ソウル・ブロー。魂風呂にだって一緒に入る。哭かなければ不合格。以後は一切付き合わない。傲岸不遜きわまりないが、人物の魂の質を見きわめることについてのやり方は、いまも当時とそれほど変わっていない。当時とちがうのは生身の人間とはよほどのことがなければ顔を合わせなくなったことだ。

師匠や弟子や相棒や親友や仲間が随分と死んだ。平均寿命の半分も生きなかった者たちばかり。生き急いででもいたか。中には死に急いだ者もいる。

人間は死ぬし、病気になるし、衰えるし、変節するし、手の平を返すし、背を向けるし、裏切る。生きつづけるというのは誰かに取り残され、死ぬというのは誰かを取り残すことでもある。

吾輩はこどもの頃とほとんど変わっていないので、自分一人が取り残されているような気分がずっと続いていた。そのことは、年齢を重ねるにつれていや増す。だから、極力、人とは会わない。生身の人間に対する興味を失ったこともあるが、それだけではない。取り残されるのはもう御免だ。


Left Alone - Mal Waldron
Released: 1959
Recorded: February 24, 1959
Genre: Jazz
Length: 38:11
Label: Bethlehem
Producer: Teddy Charles


Personnel
Mal Waldron – piano
Jackie McLean – alto saxophone (track 1)
Julian Euell – bass
Al Dreares – drums


Left Alone - Mal Waldron
 
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by enzo_morinari | 2018-03-04 03:15 | 真言の音楽 | Trackback | Comments(0)

約束の地で心安らぎたいすべての人へ

 
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ロビー・デューク『Not the Same』(1980)

Roby Duke (Dec 6, 1956 - Dec 26, 2007)
Genre: ROCK/AOR, CCM(Contemporary Christian Music)

*2007年のクリスマス・ライブ中に心臓麻痺を発症。クリスマス翌日に死去。


Roby Big Boy, Please Rest in Peace. You'll never have a broken heart again.

Rested in Your Love → Promised Land
 
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by enzo_morinari | 2014-07-07 14:43 | 真言の音楽 | Trackback | Comments(0)

セザリア・エヴォラ ── 裸足のDIVAはCafé Saudadeで歌い、祈る。

 
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セザリア・エヴォラ/Cesária Évora (1941年8月27日 - 2011年12月17日)
アフリカ大陸最西端沖合いのカーボ・ヴェルデ共和国サン・ヴィセンテ島出身。国民音楽であるカーボ・ヴェルデ/モルナの音楽表現者。

1980年代末にセザリア・エヴォラが登場するまでカーボ・ヴェルデは名前さえ知らなかった。カーボ・ヴェルデ共和国は1975年にポルトガルから独立した若い国だ。人口50万人ほど。国土は4000平方キロメートル。国民1人あたりのGDPは3500ドル足らず。

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セザリア・エヴォラは1992年にフランスでリリースした『Miss Perfumado』の中に収められた"Sodade"が大ヒット。一躍、世界の音楽シーンに躍り出た。このとき、セザリア・エヴォラ41歳。遅咲きの大輪だった。

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Cape Verde/Cabo Verdeはカーボ・ヴェルデ共和国のバルラヴェント諸島("風上の島")を中心に広まる音楽ジャンルだ。ヴァイオリン、ポルトガル・ギター、ガンザ、アゴゴ、アタバキ、ザブンバ、ショーカリョ、チンバウ、パンデイロ、ヘコヘコ、カヴァキーニョなどを使用し、モルナやコライデイラのようなメロディー重視の音楽である。

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名もなき流しの歌い手の一人にすぎなかった頃。盛り場で歌を歌って糊口をしのぐ日々。罵声。嘲笑。理不尽卑劣な要求。邪な誘惑。暴力。様々なことがあったろう。

住む家すらない貧しきカーボ・ヴェルデの人々を思い、成功ののちもステージに上がるときはカーボ・ヴェルデの人々同様に裸足だった。いつしか彼女は裸足のDIVAと呼ばれるようになった。

セザリア・エヴォラはきわめてリアリティ指向の強い人物で、ル・モンドのインタビューで次のように言った。

「成功? わたしが? 世界には住む家も履く靴もひとかけらのパンもない人たちが数えきれないほどいるというのに? 私のCDがたくさん売れて、コンサートに大勢の人が来てくれることが"成功"だと言うならそうでしょうね。でも、わたしにとってそのようなことはそれほど重要ではありません。最低限、住む家と履く靴とひとかけらのパンが行き渡ること。そのような世界でありつづけること。"成功"についてのお話はそれからにしましょう」

また、死の7ヶ月前のこと。ニジンスキー劇場でのライヴ前に記者会見をした際、記者の一人がそのときのC-Éの服装について質問した。「CDジャケットのときのファッションとずいぶんちがうじゃないか」と。C-Éは一瞬ムッとして答える。

「あれは好きで着ているわけじゃない。わたしは着せ替え人形じゃない。わたしはアフリカの、大西洋の小島のおばあちゃんよ」

C-Éは元々お体裁やお愛想を言わないことで有名だが、そのときの記者会見は、始終、無表情/不機嫌だった。上っ調子な会見場が一瞬にして静まり返り、凍りついたのは愉快だった。

余談でありとても興味深いことだが、C-Éは楽譜がまったく読めない。しかし、「聴いた音/メロディ」を1回でおぼえてしまう。そして、瞬時に再現できる。これはまちがいなくC-Éには「絶対音感」があったということを示しているが、それとはまた別の種々が考えられる。サヴァン症候群や自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)などの発達障害を抱えていたのではないかということ。しかし、これについてはもはや真相は闇の奥の奥に隠れて解明することはできない。

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セザリア・エヴォラはファドの歌い手であるアマリア・ロドリゲスとは悲しみの質がちがう。明るい。陽気だ。そして、ときに、静かに沈んでいく。その声にはアマリア・ロドリゲスとおなじ癒えぬ喪失感が漂う。カーボ・ヴェルデの人々のディアスポラの嘆きと痛みとともに ── 。

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2001年と2004年のライヴ。おなじパリでのライヴ。3年の歳月はセザリア・エヴォラを老婆へと変貌させていた。3年のあいだになにが彼女にあったのか。今ではそれを知ることはほぼ不可能だ。セザリア・エヴォラは2011年のクリスマス目前に帰らぬ人となったからだ。

死はすべてを根こそぎにして真実を闇の奥に隠す。セザリア・エヴォラの魂は大西洋の小さな島、サン・ヴィセンテ島にたどり着けたろうか?


SODADE/Lyrics: A. Cabral, Mihalis Ganas Music: Α. Cabral, L. Morais
Quem mostrà bo
ess caminho longe?
Quem mostrà bo
ess caminho longe?
Εss caminho pa São Tomé

Sodade.. sodade.. sodade..
dess nha terra São Nicolau

Si bo screvè me
'm ta screvè be
Si bo squecè me
'm ta squecè be
Até dia qui bo voltà

Sodade.. sodade.. sodade..
dess nha terra São Nicolau



Cesária Évora
Sodade
Petit Pays
Besame Mucho
Yamore (Duet with Salif Keita)
Sodade Live In Paris at Le Grand Rex, April 2004
Live D'amor 2004 (Complete Concert)
A Cape Verde Music (Morna & Coladeira)
 
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by enzo_morinari | 2014-05-26 22:58 | 真言の音楽 | Trackback | Comments(10)

ニコレット・ラーソン『お月様とわたし』── 静かな時間のための静かな歌

 
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1997年12月16日、クリスマスを目前にニコレット・ラーソンは逝った。愛娘エルジー・ メイを残して。ニコレット・ラーソンの遺作となった『Sleep, Baby, Sleep - Quiet Songs for Quiet Times』を聴きながら、窓の外を見やり、雨粒を数え、散りゆく桜の花びらを数える。散る桜。残る桜も散る桜。咲く花もあり。盛る花もあり。散る花もあり。

『Sleep, Baby, Sleep』は心のこもったいい作品だ。全体としては子守唄集の体裁をとっていて、名曲ぞろいである。中でも、童話作家のビル・ハーリー作『Moon and Me』などは眼をとじて聴いていると母親がすぐそばでささやくように子守唄を歌ってくれている気分になる。大手をふってマザーコンプレクスを表明している者はもちろん、世のすべての「こどもたち」に聴いていただきたいものだ。
(「マザコン、マザコン」と大安売りのようにぶっこいているおっちょこちょいどもに言いたいが、おまえたちは一体全体どこから生まれてきたんだ?)

『Sleep, Baby, Sleep』はわが子への愛が実にさりげなく歌われている。自然体で無理をせず、まるで春の昼下がりに降る雨のようにわが子に愛情をそそぐニコレットの姿が眼に浮かぶ。
『Sleep, Baby, Sleep』の楽曲提供者にはニール・ヤング、デヴィッド・クロスビー、グラハム・ナッシュらCSN&Y一味。当然、CSN&Yのテイストが随所にちりばめられている。バック・コーラスにリンダ・ロンシュタットの名がある。

愛情は降る星のごとくある必要などこれっぽっちもない。さりげなく、ひっそりとでいい。大袈裟御大層な「愛の言葉」もいらない。ましてや、愛に押しつけがましさなど御法度だ。「愛してる。」「好きだ。」の言葉を百万言費やし、書き連ねるよりも、万感を込めたたったひと言、一小節の歌にこそ価値がある。

おやすみ。ベイビー、おやすみ。── なんと心のこもった愛の表現であることか。


"Moon and Me" Nicolette Larson (from "Sleep, Baby, Sleep" 1992)


Moon and Me Lyrics by Bill Harley
Everybody else has closed their eyes,
It's quiet as can be.
Everyone will sleep until sunrise,
Everyone but moon and me.

I can see her shining in the sky,
Through branches of the willow tree.
Me here in my bed and her so high,
Just us two, the moon and me.

Moon and me, Moon and me
No one but the moon and me.
I can feel her shining, shining down on me
Just us two ,the moon and me.

If I had a wish I might try,
I know what it would be
One night I'd have wings
And then we'd fly,
Together just the moon and me.

Moon and me, Moon and me
No one but the moon and me.
I can feel her shining
Shining down on me
Just us two, the moon and me.

Floating high, above in the sky
Just a ship in a starry sea
While all the world is fast asleep
We would sail, the moon and me.

But I'm only down here in my bed
Not floating on a starry sea,
Still I have the pictures in my head
Dreaming 'bout the moon and me.

Moon and me, Moon and me
No one but the moon and me.
I can feel her shining,
Shining down on me.
Just us two the moon and me,
Just us two the moon and me.



Sleep, Baby, Sleep - Quiet Songs for Quiet Times/Nicolette Larson (1992)
Children's, Country, Pop/Rock, Country-Pop, Country-Rock, Soft Rock, Urban Cowboy, Contemporary Pop

Tracking List
01. Welcome to the World (Nicolette Larson) 3:15
02. Oh Bear (Elsie May Larson-Kunkel/Nicolette Larson) 1:57
03. Starlight, Starbright (Nicolette Larson) 3:34
04. Irish Lullaby (Irish Traditional) 3:18
05. Barefoot Floors (Neil Young) 4:38
06. Appalachian Lullaby (Tanya Goodman/Mike Sykes) 3:21
07. I Bid You Goodnight (Andrew Gold/Nicolette Larson/Traditional) 3:16
08. Moon and Me (Bill Harley) 3:32
09. Rock-A-Bye (Tanya Goodman/Mike Sykes) 3:15
10. Rocking My Baby to Sleep (Nicolette Larson) 2:32
11. The Moment I Saw You (Graham Nash/Traditional) 3:01

Credits
Nicolette Larson - Arranger, Composer, Primary Artist, Producer, Vocals, Vocals (Background)
David Crosby - Guest Artist, Vocal Harmony, Vocals (Background)
Graham Nash - Composer, Duet, Guest Artist, Performer, Primary Artist, Vocals
Linda Ronstadt - Guest Artist, Vocal Harmony, Vocals (Background)
Neil Young - Composer
Bill Harley - Composer
Elsie May Larson-Kunkel - Composer
Andrew Gold - Arranger, Composer, Multi Instruments, Producer, Vocal Harmony, Vocals (Background)
Tanya Goodman - Composer
Mike Sykes - Composer
Traditional - Composer
Steve Hall - Mastering
Victoria Pearson - Photography
Stephen Walker - Art Direction
Sony Music Distribution - Distributor
 
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by enzo_morinari | 2014-04-06 17:53 | 真言の音楽 | Trackback | Comments(0)

星空を綴じるアルバム

 
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南米ボリビアのウユニ湖(ウユニ塩原)/Salar de Uyuni (or Salar de Tunupa)。標高約3700m。
塩の大地は1万582平方キロメートルにもおよび、雨季には水面が空を鏡のように反射して映しだす。まさに、地上と天空の邂逅。「昼は全部、青空。夜は全部、星空。」というキセキ。

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プロフェッサーC.L=S.の言うとおり、「世界は人間なしに始まり、人間なしに終わる」としても、J.M.F.の予言どおり、人間が寄せ返す波に掻き消されてしまう砂の城だとしても、道が細く暗く険しく、あす世界が滅びるとしても、われわれは林檎の樹の苗を植え、「その先の一歩」を踏みだす。アカンソステガの子孫がおぼつかない足取りで海から這い出て太陽をまぶしそうに見上げ、地上に一歩また一歩と足跡を刻したように。『ジュラシック・パーク』の象徴的なラストシーン。雌しかいないはずの恐竜が産卵し、孵化し、みずから道を見いだして歩みはじめたように。それをひとは『希望』と呼ぶ。そして、そのような世界に生きるわれわれの頭上にはこの星空がある。この星空はこのアルバムに綴じる。まだ遅くはない。まだ間に合う。

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Migration: Peter Kater, Raymond Carlos Nakai with David Darling, Mark Miller, Chris White (1992)
ピーター・ケイター/R. カルロス・ナカイ/デヴィッド・ダーリング『移住』(1992)/ネイティブアメリカン・フルート/チェロ/チャント
Recorded at Omega Recording Studios. 1992

New Age, International, World Music, Contemporary Instrumental, Ethnic Fusion, Acoustic, Ambient, Healing, Meditation, Relaxation, North American Traditions, Quiet, Gentle, Soothing, Calm/Peaceful, Ethereal, Intimate, Reflective, Tribal, Downtempo, Native American Flute, Piano, Cello, Chant

ネイティブ・アメリカン/ニューエイジ/ワールド・ミュージック/民族音楽/アンビエント/ミニマル/環境音楽/祈り

One of the most beautiful albums on earth.


Track Listing
01. Wandering 6:54
02. Initiation 4:07
03. Honoring 6:23
04. Stating Intention 4:01
05. Surrender 4:47
06. Embracing The Darkness 3:40
07. Lighting The Flame 5:14
08. Transformation 6:42
09. Quietude 4:56
10. Becoming Human 2:04
11. Walking The Path 5:23
12. Service 3:32

Credits
Peter Kater - Composer, Piano, Synthesizer, Vocals
Raymond Carlos Nakai - Chant, Composer, Native American Flute, Whistle
David Darling - Cello
Mark Miller - Flute, Soprano Saxophone
Bobby Read - Soprano Saxophone, Vocals
Christine White - Vocals
Dennis Espantman - Vocals
Cheryl Hurwitz - Vocals
Beth Levick - Vocals
Connie McKenna - Vocals
Martha Sandefer - Vocals
Andy Schell - Vocals
Bobby Watson - Vocals
 
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by enzo_morinari | 2014-04-04 11:51 | 真言の音楽 | Trackback | Comments(4)

童神(Warabi-Gami) 暑き夏の日は涼風を送り、寒き冬くればこの胸に抱いて。

 
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新宿の厚生年金会館大ホールで古謝美佐子の『童神』を聴いてから16年になる。以来、きょうまで聴きついできた。心さびしいとき、うれしいとき、つらいとき、苦しいとき。折りにふれ、古謝美佐子の歌う『童神』を聴いた。泣き、ニコニコし、ぽかぽかした。これからもそれは変わるまい。時代やら世代やらを超えて歌い継がれ、聴き継がれ、語り継がれてほしいものだ。

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童神 (わらびがみ/Warabi-Gami) ~天の子守歌
古謝美佐子作詞/佐原一哉作曲/上田浩司編曲

1.
天(てぃん)からの恵み 受けてぃ此(こ)ぬ世界(しげ)に
生まりたる産子(なしぐあ) 我身(わみ)ぬむい育(すだ)てぃ
イラヨーヘイ イラヨーホイ
イラヨー 愛(かな)し思産子(うみなしぐわ)
泣くなよーや ヘイヨー ヘイヨー
太陽(ていだ)ぬ光受きてぃ
ゆーいりよーや ヘイヨー ヘイヨー
まさ勝さあてぃ給(たぼ)り

2.
夏ぬ節(しち)来りば 涼風(しだかじ)ゆ送(うく)てぃ
冬ぬ節来りば 懐(ふちゅくる)に抱(だ)ちょてぃ
イラヨーヘイ イラヨーホイ
イラヨー 愛(かな)し思産子(うみなしぐわ)
泣くなよーや ヘイヨー ヘイヨー
月ぬ光受きてぃ
ゆーいりよーや ヘイヨー ヘイヨー
大人(うふっちゅ)なてぃ給(たぼ)り

3.
雨風(あみかじ)ぬ吹ちん 渡り此ぬ浮世(うちゆ)
風(かぜ)かたかなとてぃ 産子(なしぐわ)花咲かそ
イラヨーヘイ イラヨーホイ
イラヨー 愛(かな)し思産子(うみなしぐわ)
泣くなよーや ヘイヨー ヘイヨー
天の光受きてぃ
ゆーいりよーや ヘイヨー ヘイヨー
高人(たかっちゅ)なてぃ給(たぼ)り


(ヤマトグチ・ヴァージョン)
1.
天からの恵み 受けてこの地球(ほし)に
生まれたる我が子 祈り込め育て
イラヨーヘイ イラヨーホイ
イラヨー 愛(かな)し思産子(うみなしぐわ)
泣くなよーや ヘイヨー ヘイヨー
太陽(ていだ)の光受けて
ゆーいりよーや ヘイヨー ヘイヨー
健(すこ)やかに 育て

2.
暑き夏の日は 涼風(すずかぜ)を送り
寒き冬来れば この胸に抱いて
イラヨーヘイ イラヨーホイ
イラヨー 愛(かな)し思産子(うみなしぐわ)
泣くなよーや ヘイヨー ヘイヨー
月の光浴びて
ゆーいりよーや ヘイヨー ヘイヨー
健やかに 眠れ

3.
嵐吹きすさむ 渡るこの浮世(うきよ)
母の祈り込め 永遠(とわ)の花咲かそ
イラヨーヘイ イラヨーホイ
イラヨー 愛(かな)し思産子(うみなしぐわ)
泣くなよーや ヘイヨー ヘイヨー
天の光受けて
ゆーいりよーや ヘイヨー ヘイヨー
天高く 育て


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童神(わらびがみ/Warabi-Gami)/作詞:古謝美佐子 作曲:佐原一哉
古謝美佐子 (Koja Misako) - ウチナーグチ
古謝美佐子 + 夏川りみ - ウチナーグチ + ヤマトグチ
 
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by enzo_morinari | 2014-04-01 04:25 | 真言の音楽 | Trackback | Comments(0)

すべては終わりぬ/スティーブン・フォスター(Hard Times Come Again No More/Stephen Foster)

 
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南北戦争の7年前。1854年、スティーブン・フォスター27歳の作。
『すべては終わりぬ』は発表時から人気を集めた。南北戦争当時も「つらく厳しい時代よ、どうか一刻も早く終わってくれ」という願いを込めて愛唱された。南軍北軍双方の兵士たちの愛唱歌だった。ゲティスバーグの戦いの夜に両陣営から疲れ果てた兵士たちの歌う『すべては終わりぬ』が聴こえていたかもしれぬ。

『すべては終わりぬ』は貧困と飢餓に喘ぐ市井の人々への思いを歌っている。フォスターのあたたかくやわらかな眼差しが心を打つ。フォスターは『すべては終わりぬ』発表の10年後、37歳の冬に失意と孤独と困窮のうちに世を去った。


すべては終わりぬ/Hard Times Come Again No More written by Stephen Foster

1.
Let us pause in life's pleasures/人生の歓びのさなかにあってもひととき立ち止まり
and count its many tears,/流されたたくさんの涙の数をかぞえよう
While we all sup sorrow with the poor;/晩ごはんのあいだ、貧しき人々と悲しみをともにしよう
There's a song that will linger forever in our ears;/永遠にわたしたちの耳に鳴り響く歌がある
Oh, Hard times come again no more./「あぁ、つらい時なんてもう二度と来ないで。すべては終わりぬ」と

(Chorus)
'Tis the song, the sigh of the weary,/この歌は疲れ果てた人々の漏らすため息
Hard Times, hard times, come again no more/「あぁ、つらい時なんてもう二度と来ないで。すべては終わりぬ」と
Many days you have lingered around my cabin door;/長いあいだ小屋の扉のまわりで鳴り響いていた
Oh, hard times come again no more./「あぁ、つらい時なんてもう二度と来ないで。すべては終わりぬ」と

2.
While we seek mirth and beauty/わたしたちが享楽や美女を追いかけまわしているあいだも
and music light and gay,/陽気な音楽を求めているあいだにも
There are frail forms fainting at the door;/小屋の扉のまわりでは疲れ果てた人々が倒れかけている
Though their voices are silent, /かれらの声は沈黙に支配されているけれども
their pleading looks will say/かれらの訴えかけるような眼差しは言っている
Oh, hard times come again no more./「あぁ、つらい時なんてもう二度と来ないで。すべては終わりぬ」と

(Chorus)
'Tis the song, the sigh of the weary,/この歌は疲れ果てた人々の漏らすため息
Hard Times, hard times, come again no more/「あぁ、つらい時なんてもう二度と来ないで。すべては終わりぬ」と
Many days you have lingered around my cabin door;/長いあいだ小屋の扉のまわりで鳴り響いていた
Oh, hard times come again no more./「あぁ、つらい時なんてもう二度と来ないで。すべては終わりぬ」と

3.
There's a pale drooping maiden/蒼い翳を宿した顔をうなだれている娘がいる
who toils her life away,/つらい仕事をずっとつづけ
With a worn heart whose better days are o'er:/たのしかった日々は過ぎ去り、疲れた心を抱えている
Though her voice would be merry, /彼女の声が明るくあればいいと思うけれども
'tis sighing all the day,/彼女は人生の日々にため息をついている
Oh, hard times come again no more./「あぁ、つらい時なんてもう二度と来ないで。すべては終わりぬ」と

(Chorus)
'Tis the song, the sigh of the weary,/この歌は疲れ果てた人々の漏らすため息
Hard Times, hard times, come again no more/「あぁ、つらい時なんてもう二度と来ないで。すべては終わりぬ」と
Many days you have lingered around my cabin door;/長いあいだ小屋の扉のまわりで鳴り響いていた
Oh, hard times come again no more./「あぁ、つらい時なんてもう二度と来ないで。すべては終わりぬ」と

4.
Tis a sigh that is wafted across the troubled wave,/荒波の彼方から漂ってくるのは深々としたため息
Tis a wail that is heard upon the shore/岸辺に聴こえるのは嘆き悲しむ人の声
Tis a dirge that is murmured/つぶやくように死者を悼む哀歌が
around the lowly grave/墓場のあたりから聴こえてくる
Oh, hard times come again no more./「あぁ、つらい時なんてもう二度と来ないで。すべては終わりぬ」と

(Chorus)
'Tis the song, the sigh of the weary,/この歌は疲れ果てた人々の漏らすため息
Hard Times, hard times, come again no more/「あぁ、つらい時なんてもう二度と来ないで。すべては終わりぬ」と
Many days you have lingered around my cabin door;/長いあいだ小屋の扉のまわりで鳴り響いていた
Oh, hard times come again no more./「あぁ、つらい時なんてもう二度と来ないで。すべては終わりぬ」と


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Yo-Yo Ma/Edgar Meyer/Mark O'Connor/James Taylor ("Appalachian Journey"/1999)
The Chieftains (Paolo Nutini)
Willie Nelson & Bob Dylan
Mavis Staples
矢野顕子+Gil Goldstein
Bruce Springsteen & The E Street Band Live Hyde Park 2009
Nanci Griffith
Johnny Cash
Jennifer Warnes
Mary J. Blige
Lennon and Maisy
Gael Force
Thomas Hampson
Iron and Wine
 
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by enzo_morinari | 2014-03-01 07:11 | 真言の音楽 | Trackback | Comments(0)

人生の景色が少しだけ良くなる歌 ─ ラビ・シフレ/Labi Siffre "My Song" (1972)

 
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コットン100%の音がする。朝と夜、5回ずつ聴くと、人生の景色が少しだけ良くなるよ。


My Song
This is my song
And no one can take it away
It's been so long, but now you're here,
here to stay
And I wonder if you know what it means
To find your dreams come true

これが僕の歌
だれも奪うことなんかできやしない
とても長かったけど 今君がここにいる
ここにいてくれよ
僕は願う
君は夢がかなう方法を見つけるってね
その意味をわかってくれるって


This is my song
And no one can make it a lie
It's been so long since someone
Could make me cry
And I wonder if you know what it means
To laugh as tears go by

これが僕の歌
だれもごまかせやしない
とても長かったよ だれかが僕を泣かしてから
僕は願う
君が涙に別れを告げて笑うってね
その意味をわかってくれるって


I may not always sing in tune
And sometimes you don't hear me
But you don't have to be near me
To know that I'm singing

僕はいつも調子っぱずれに歌っているかもしれない
時々 君はちっとも聴いてくれない
でも 知っておいてほしいんだ
僕が歌っているとき 君は近くにいなくてもいいんだってことをね


This is my song
And nothing can make it die
It's been so long and it's stronger
I know why
And I wonder if you really, really know
That as long as I live I will sing my song for you

これが僕の歌
なにものも消し去れやしない
僕は願う
心の底から君にはわかって欲しいって
生きているかぎり 君に僕の歌を捧げるってね


I may not always sing in tune
And sometimes you don't hear me
But you don't have to be near me
To know that I'm singing

僕はいつもまともに歌えていないかもしれない
時々 君はちっとも聴いてくれない
でも 知っておいてほしいんだ
僕が歌っているとき 君は近くにいなくてもいいってことをね


That as long as I live I will sing my song for you

I may not always sing in tune
And sometimes you don't hear me
But you don't have to be near me
To know that I'm singing

生きているかぎり 君に僕の歌を捧げるよ

僕はいつもまともに歌えていないかもしれない
時々 君はちっとも聴いてくれない
でも 知っておいてほしいんだ
僕が歌っているとき 君は近くにいなくてもいいってことをね


This is my song
And nothing can make it die
It's been so long and it's stronger
I know why
And I wonder if you really, really know

これが僕の歌
なにものも消し去れやしない
僕は願う
心の底から君にはわかって欲しいって
生きているかぎり 君に僕の歌を捧げるってね


That as long as I live I will sing my song for you
That as long as I live I will sing my song for you
That as long as I live I will sing my song for you

生きているかぎり 君に僕の歌を捧げるよ
生きているかぎり 君に僕の歌を捧げるよ
生きているかぎり 君に僕の歌を捧げるよ


Labi Siffre - My Song


Crying Laughing Loving Lying/Labi Siffre収録
Released: 1972
Recorded: 1972
Genre: Pops, Rythm & Blues, Soul, Black Contemporary
Label: Pye International/EMI
Producer: Labi Siffre

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*「ラビ・シフレ」と聞いてピンときたり、思い当たる節があるなら、中年真っ盛り、さらには団塊世代の爺さん婆さん、あるいはコアなソウル系音楽ファンのはずだ。その両方ならわが友だ。
 
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by enzo_morinari | 2014-02-17 05:52 | 真言の音楽 | Trackback | Comments(1)

強固な意志の力で巨大な岩盤を破壊せし者の魂の記録/スコット・ロス『スカルラッティ:鍵盤楽器作品全集』

 
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精緻。明晰明瞭にして端正。そして、鬼気迫る。E-M-M


スコット・ロス/スコット・ストーンブレーカー・ロス(Scott Stonebreaker Ross/1951年3月1日 - 1989年6月13日)
チェンバロ並びにオルガン奏者。享年三十八。死因: AIDSによる合併症。
強固な意志の力を持つ者はドメニコ・スカルラッティが遺した巨大な岩盤、『鍵盤楽器のためのソナタ全集 K.1- K.555』(ERATOとRadio Franceの共同企画)を1年余をかけて穿ち、破壊しつくし、そして、最後は抱きしめ、撫で、頬ずりし、静かに埋葬した。
総演奏時間34時間31分。全CD34巻/570曲。これをして、「音楽という名の仕事」と言うのである。「心の耳」を失った者や生と死のリアリズムを持たぬ親和欲求まみれの甘ちゃんどもには到底聴き取れない「真言の音楽」である。
出自やら生い立ちやら抱えている種々、諸問題を削ぎ落とした果てに「いい音楽」「いい仕事」はある。『ドメニコ・スカルラッティ: 鍵盤楽器のためのソナタ全集 K.1- K.555』はまごうかたなきスコット・ロスの魂の記録だ。

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トリトヌス/悪魔の音程にも十字架音型にも頼らず、「障がい」やら「被爆」やらという音楽に直接関わりのない「装飾音」を徹底的に排除したときに聴こえてくるものと視えてくるもの。そろそろ、この国も薄っぺらであさはかな「甘ちゃんの時代」を終わらせる潮時である。


強固な意志の力で巨大な岩盤を破壊せし者の魂の記録の一端


Domenico Scarlatti: The Keyboard Sonatas [Box Set]/Label: ERATO

Product Details:
Domenico Scarlatti (Composer), Scott Ross (Cembalo), Marc Vallon (Bassoon), Christophe Coin (Cello), Michel Henry (Oboe), Monica Huggett(Violin)

Recording Data:
June, 1984 - September, 1985/Château d'Assas, Chapel, France etc.

Length:
34 Hours 31 Mins. (34 Discs/570 Tracks)

Works on This Recording
Disc: 01/K. 01 (L. 366) - K. 19 (L. 383)
Disc: 02/K. 20 (L. 375) 'Capriccio' - K. 30 (L. 499) ('The Cat's Fugue')
Disc: 03/K. 31 (L. 231) - K. 48 (L. 157)
Disc: 04/K. 49 (L. 301) - K. 66 (L. 496)
Disc: 05/K. 67 (L. 32) - K. 93 (L. 336)
Disc: 06/K. 94 - K. 112 (L. 298)
Disc: 07/K. 113 (L. 345) - K. 125 (L. 487)
Disc: 08/K. 126 (L. 402) - K. 139 (L. 6)
Disc: 09/K. 140 (L. 107) - K. 155 (L. 197)
Disc: 10/K. 156 (L. 101) - K. 172 (L. S40)
Disc: 11/K. 173 (L. 447) - K. 188 (L. 239)
Disc: 12/K. 189 (L. 143) - K. 203 (L. 380)
Disc: 13/K. 204a - K. 216 (L. 273)
Disc: 14/K. 217 (L. 42) - K. 229 (L. 199)
Disc: 15/K. 230 (L. 354) - K. 243 (L. 353)
Disc: 16/K. 244 (L. 348) - K. 257 (L. 169)
Disc: 17/K. 258 (L. 178) - K. 267 (L. 434)
Disc: 18/K. 268 (L. 41) - K. 286 (L. 394)
Disc: 19/K. 289 (L. 78) - K. 301 (L. 493)
Disc: 20/K. 302 (L. 7) - K. 317 (L. 66)
Disc: 21/K. 318 (L. 31) -K. 327, K. 329 - K. 338 (L. 87)
Disc: 22/K. 339 (L. 251) - K. 355 (L. S22)
Disc: 23/K. 356 (L. 443) - K. 371 (L. 17)
Disc: 24/K. 372 (L. 302) - K. 391 (L. 79)
Disc: 25/K. 392 (L. 246) - K. 409 (L. 150)
Disc: 26/K. 410 (L. S43) - K. 427 (L. 286)
Disc: 27/K. 428 (L. 131) - K. 448 (L. 485)
Disc: 28/K. 449 (L. 444) - K. 467 (L. 476)
Disc: 29/K. 468 (L. 226) - K. 484 (L. 419)
Disc: 30/K. 485 (L. 153) - K. 500 (L. 492)
Disc: 31/K. 501 (L. 137) - K. 519 (L. 475)
Disc: 32/K. 520 (L. 86) - K. 539 (L. 121)
Disc: 33/K. 540 (L. S17) - K. 555 (L. 477)
Disc: 34/K. 81 (L. 271), 88 - 91, 287, 288, 328 (L. S27)

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by enzo_morinari | 2014-02-12 03:07 | 真言の音楽 | Trackback | Comments(0)