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カテゴリ:TOKYO SEEDS( 1 )

TOKYO SEEDS/ふたりのSt Patrick's Day 突如、Irish Stepdanceを踊りだす虹子とフィネガンズ・ウェイクを食べた犬

 
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and yes I said yes I will Yes. Molly Bloom

トーキョーが滅んでも『TOKYO SEEDS』があればトーキョーは何度でも再建できる。Enzo Molinari


全身をシャムロック柄のコスチュームで包んだ虹子が突如、Irish Stepdanceを踊りだした。

「どうしたんだよ、急に」
「きょうがふたりのSt Patrick's Dayだからよ」
「3月17日まではまだずいぶん間があるし、第一、おれも虹子ちゃんもキリスト教徒じゃない。虹子ちゃんはともかく、おれは神さまをまったく信じていないしね」
「きょうから神さまを信じるようになるわ。ほら、これでどう?」

虹子はそう言って宙空に浮かび上がり、超高速でIrish Stepdanceを踊りはじめた。世界が緑色一色になった。Quark Birdが3回どころか333X666恒河沙阿僧祇那由多不可思議無量大数回啼いた。

1973年(万延元年)、サミュエル・ベケット級哨戒艦の二番艦ジェイムズ・ジョイス号の甲板で行われたピンボール・フットボールのFPFA World Cup決勝の最中にJJとHCEとALPの三重唱で「クォーククォーククォークダンテ・・・ブルーノヴィーコジョイス! クォーククォーククォークダンテ・・・ブルーノヴィーコジョイス! クォーククォーククォークダンテ・・・ブルーノヴィーコジョイス!」のTEN-GOKU KARA KAMINARIが聴こえてきて以来、JJのダブリンの巨人と端っこと端っこがくっついたような声が囁いている。「跳べ! 見ても見なくても、見る前でも見た後でも、跳べ! 跳んで跳んで跳びまくれ! 最低でも14回!」と。


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KOFFの月に一度のスペシャル・セールで手に入れた『フィネガンズ・ウェイク』を読むにはうってつけの午後だった。

リラの花影が揺れる窓辺では水曜日の午後の野毛山動物園から飛来した42羽のクォーク鳥たちが「クォーククォーククォークダンテ・・・ブルーノヴィーコジョイス! クォーククォーククォークダンテ・・・ブルーノヴィーコジョイス! クォーククォーククォークダンテ・・・ブルーノヴィーコジョイス!」と3度鳴き、台所では年老いた大工の棟梁が鉋がけに精を出していて、夜にはセシウムの除染作業中に屋根から転げ落ちて死んだ42年間音信不通の友人の通夜が控えていた。

ラジオからはジョン・ケージの『42歳の春の素敵な未亡人』が聴こえ、死と再生と転落と地獄と天国と覚醒が、これまでに出会い、通りすぎ、背を向け、いつか出会うすべての人々とともに部屋中を舞い踊っていて、おまけに人生はまだ見ぬ世界に向かって静かに進行中だった。それらのすべてが雷鳴とイズラエル・カマカヴィヴォオレが天国で歌う KAMINARI の轟く中で呼応しあい、息吹き、慈しみあっていた。私は人類の意識の流れの終わりなき円環に眼も眩みそうだった。

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Finish Funky&Funny Fink Fish " i "(Illusional Imaginary Number Fish)!
I am a Latex Man, I am Ian Moone, I am no one!
No Pain, No Gain!
Nothing Things!
Empty Humpty Dumpty!
Goddamn City Tokyo!
Aranjuez!
Niggaz4Life!
'S Wonderful Slime Smile Smith!
Wild, Wild West. Will be, Will be!
AK-69 Loves Mike Popcorn & One way, One Mic, One Life!
Kalashnikov AK-47 Killed Trillion People!
End of The World War III!

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「ぼくにも食べさせてよ」と世界にただ一匹のミニチュア・セントバーナード犬、ポルコロッソが言った。尻尾をヘリコプターみたいにぐるぐるまわしている。尻尾の回転速度と表情と息づかいからして、猛烈に『フィネガンズ・ウェイク』に興味があるようだ。

「これは食べ物じゃないよ」と私。
「だって、あんたはすごくしあわせそうじゃないか」
「しあわせそうでも、これは食べ物じゃない。それに、おまえにはまだはやすぎる」
「そんなのずるいや! 自分だけおいしい思いするなんて! ねえねえ、お願いだからぼくにもおくれってば!」

私は商店主のハンフリー・チップデン・エアウィッカーが法廷で相手方の木偶の坊弁護士から雨の休日の過ごし方について実に間の抜けた尋問を受ける場面のページをポルコロッソの鼻っつらに押しつけた。ポルコロッソは鼻をくんくん鳴らし、上目づかいで私を見てからぺろりと『フィネガンズ・ウェイク』の420ページをなめた。

「まずっ! ひどいや!」
「だから言ったじゃないか」
「でも、なにか裏がありそうだな」
「裏なんかないって」
「いや、あんたはいままでにぼくを4242回だましてきたからな。けさは春巻きの皮しかくれなかったし」
「きのうはピーナッツを42粒もあげたぜ」
「おかげでゲリゲリピーピーピーナッツだ」
「わかったよ。これはおまえにあげるよ。そのかわり、だいじにしてくれよな。気がすんだら返してもらいたいし」
私は『フィネガンズ・ウェイク』をポルコロッソの寝床であるホットマンのターコイズ・ブルーのタオルケットの上にそっと置いた。

ポルコロッソは『フィネガンズ・ウェイク』にぴったりと寄り添い、満足そうに眠りについた。そして、目を覚ますたびに1ページずつ『フィネガンズ・ウェイク』を食べた。

ポルコロッソが『フィネガンズ・ウェイク』を平らげたら、次は『ユリシーズ』、その次は『失われた時を求めて』をあげることにしよう。

イーリアス』と『オデュッセイア』と『プルターク英雄伝』と『パイドン』と『聖書』と『神曲』と『無限・宇宙・諸世界について』と『地獄の季節』とー(θ)ー『虹のコヨーテ』と『アノニマス・ガーデン』とー(Ω)ー『精神現象学』と『純粋理性批判』と『悦ばしき知識』と『善悪の彼岸』と『ツァラトゥストラかく語りき』と『カラマーゾフの兄弟』と『罪と罰』と『悪霊』と『ディヴィッド・コパフィールド』と『森の生活』と『老人と海』とー(Φ)ー『堕落論』と『山羊の歌』と『在りし日の歌』と『異邦人』と『シジフォスの神話』と『存在と時間』と『存在と無』と『グレート・ギャツビー』と『長いさよなら』と『路上』と『悲しき熱帯』と『言葉と物』と『グラマトロジーについて』と『重力の虹』と『ライ麦畑のキャッチャー』とー(Ψ)ー『共同幻想論』と『死霊』と『豊饒の海』と『断層図鑑殺人事件』と『骰子一擲』と『半獣神の午後』と『変身』と『文学空間』と『期待/忘却』と『スローターハウス5』と『ニューロマンサー』と『セヴンティーン』と『政治少年死す』と『同時代ゲーム』と『万延元年のフットボール』と『1973年のピンボール』と『羊をめぐる冒険』と『ガルガンチュアとパンタグリュエル』もあげよう。

すべてを食べ終えたとき、ポルコロッソは世界で一番あごが丈夫で、イデアでプラトニックでロゴスでミュトスでエロスでタナトスでモダンでコスモポリタンでルネサンスで海とつがった太陽で砂漠の商人でオー・マイ・ゴッドでエトランジェーでフィロソフィーでベグリッフェンでニヒルでスーパーマンでルサンチマンでアナーキーでエッケ・ホモでラスコーリニコフでエコロジーでファンキーでタフでクールでハードボイルドでイノセントでヒップでフラップでプライベート・アイズでプル・ソワでアンガージュマンでエピステーメーでパラダイム・シフトでイグジスタンスでデコンストリュクシオンでディセミナシオンでモヒートで無頼で汚れっちまった悲しみで茶色い戦争でチューヤでビートニクでポップでデオキシリボヌクレイック・アシッドで逆立で黙狂で虚體で憂国であっはでぷふいでポスト・モダンでニューエイジでサイバーパンクでスラップ・スティックでサンボリスムでアノニマスでスコールで想像力と数百円でジャギュアでスパゲティ・バジリコでちょっとマドレーヌな犬になっているにちがいない。

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ポルコロッソに負けてはいられない。本を読もう。もっともっと本を読もう。もっと勉強しよう。もっと映画をみて、もっと音楽を聴いて、もっと自転車に乗って、もっと散歩をして、もっとおいしいものを食べて、もっと世界とコミットメントしよう。

Life is a work in progress. 人生は進行中なんだ。ポルコロッソも同じ意見らしい。ブーブーブーと鼻を鳴らしている。

ブーブーブー。ブーブーブー。BOO-BOO-BOO. BOO-BOO-BOO.


BOO
 



Irish Jig Music: Best of Irish Jig Music Fast for Dance (Traditional with Fiddle)
 
by enzo_morinari | 2019-11-30 20:17 | TOKYO SEEDS | Trackback | Comments(0)