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カテゴリ:9月には帰れない。( 1 )

9月には帰れない。/ハルジョオンとヒメジョオンの恋人に化けたサンタクロースのふりをした風の中の栗毛をめぐる骨肉の争いに関するヌーヴォー・クリティーク

 
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ハルジョオンとヒメジョオンの見分け方を知らないのはハグとハブ、SitとShitのちがいがわからないのとおなじである。運が悪ければ命を落とす。

影絵のような街並みに少しずつ侵食されながら、あたたかくやわかい霧のようなバルセロナで「9月には帰らないのか? 9月には帰れないのか?」という問いは永遠につづく。なぜなら、バルセロナには9月はどこにもないからだ。あるのはマドリードとイチゴノキとクマへの憤怒と憎悪だけである。


白い朝が帰るべき世界へ帰り、まばゆいコバルト時間が日付のない墓標を抜け出してやってくると、遅咲きのたんぽぽは身震いした。

「9月には帰らないって言ってたけど、まさかこんな真夏に帰ってくるなんて。」

遅咲きのたんぽぽのつぶやきはどこまでも遠いところへ届き、だれもがこれからはじまる大騒動に胸を高鳴らせた。事態のさらなる混乱をもたらしたのは外人部隊の嘆きの天使姉妹、リリー・マルレーンとマレーネ・ディートリッヒだった。BBS(Belgrade Broadcasting Station)で遅咲きのたんぽぽのつぶやきがアルカされ、彼女たちの耳に入ったのだ。時のないホテルのロビーの100年時計の針が21時57分を指していた。

「晩夏。ひとりの季節。」

カトー・カズヒコのそのひと言で双子の姉ハルジョオンは、双子の妹ヒメジョオンと風の中の栗毛をめぐって骨肉の争いを再開した。

「ダイアモンド・ダストが消えぬまにこの戦いが終わればいいんだが。私なしでも戦いははじまり、戦いは終わるのはわかっているけどね。」

そう言い残し、雨のステーションはあの日に帰るべく、Françoise HardyとGrace Slickをともなって、LAUNDRY-GATEの一番高いところから、よそゆき顔で燕のようにダイビングした。
 
by enzo_morinari | 2019-08-21 21:57 | 9月には帰れない。 | Trackback | Comments(0)