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カテゴリ:My Favorite Songs( 2 )

My Foolish Heart/Willow weep for me, Pillow weep for me, Marlowe weep for me…

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No Music, No Life. No Funny, No Life. No Plan, No Life. No Pain, No Gain.

家にあらば 笥に盛る飯を 草枕 旅にしあれば 椎の葉に盛る Okim on Amira(Yo Man 142)

吹いている風がおなじでも、ある船は東へ行き、ある船は西へ行く。進路を決めるのは風ではない。帆の向きである。人生の航海でその行く末を決めるのは凪でもなければ嵐でもない。心の持ち方である。E-W-W


ビル・エヴァンスの弾く『My Foolish Heart』を聴くと泣けて泣けて仕方なかった時期が3度ある。

1度目は17歳、高校2年の秋。高校1年の春から恋愛関係にあった同級生の女の子から別れを告げられたとき。理由は簡潔明瞭明快だった。よその高校の生徒との喧嘩をやめないから。遅刻せずに学校に来ないから。わかりやすくてまっとうな別れる理由だった。彼女は喧嘩と遅刻のことで心を痛めていたんだろう。

「喧嘩も遅刻もしない優等生、良い子のおれがいい?」
「そうじゃないけど...。でも、あなたのことが心配で心配でなにも手につかないの。成績もすごく下がっちゃったし。数学と英語なんかひどいもんよ」

異議申し立ては一切しなかったが、ダメージは強く深く長引いた。いまでも思いだすと胸の奥が疼く。このまま、会うことも言葉を交わすこともなくお互いの人生が終わるのだという現実に心が痛みをともなって軋む。

『My Foolish Heart』は彼女が誕生日にプレゼントしてくれたビル・エヴァンスの『Waltz for Debby』の1曲目だ。

2度目は30歳、泡劇場が崩壊し、手に入れたもののすべてを失い、強固な希死念慮に苛まれていた頃。

失ったものの重さと二度と会うこともなく去っていった者たちのことを思い、一人の部屋で、来る日も来る日も、朝から日が暮れるまで1日中『My Foolish Heart』を聴きつづけた。

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ビル・エヴァンスのピアノの1音1音の音色とスコット・ラファロの物思いに耽っているようなベース、ポール・モチアンのやさしいブラッシュ・ワーク。砂漠に水が染みこむように『My Foolish Heart』は石ころになってしまった私の心の砂漠に染みこんだ。

そして、3度目。いまだ。『My Foolish Heart』を聴きながら残りわずかとなった人生の日々を思い、遠く去った日々を思い、遠く去った者たちのことを思い、多くの野辺送りされた者たちを思い、すべては去り、消えゆくのだと思い知った今朝、涙はとどめようがなかった。

旅の終り。旅路の果て。旅はつづき、旅は終わる。旅の円環は閉じられる。

「いい旅を。大地のヘソがいつもあなたとともにありますように」とアニャングの戦士がディジュリドゥの大地を揺るがす音とともに送りだしてくれた旅も、旅の重さを計測するための旅も、パタゴニアにあるという世界の果てをめざした旅も、夜空の星に願いを託しながら歩いた旅も、天空の虹と島と城を追いかけた旅も、昼は全部青空/夜は全部星空となるウユニ塩湖に立ちつくすための旅も、遠い日に終わった。なにごともすべていつかは終わる。始まりがあって終わりがある。何者にもそれを押しとどめることはできない。

My Foolish Heart. 愚かなり、わが心。愚かな私のかわりにだれか泣いてくれ。泣いてくれるのは柳の木でも草枕でもフィリップ・マーロウでもいい。

Willow weep for me, Pillow weep for me, Marlowe weep for me…

Waltz for Debby (1961/Full Album) - Bill Evans Trio
 
by enzo_morinari | 2018-09-10 10:37 | My Favorite Songs | Trackback | Comments(0)

My Favorite Songs#1 Keith Jarrett 『Country』

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二十歳の頃、よくひとりだった。柄にもなく、ときどきふと心さびしくなった。キース・ジャレットの『MY SONG』、中でも『COUNTRY』が唯一の友だった。いまもかわりなく、かけがえのない友人である。この友だけは大事にしている。
 
by enzo_morinari | 2012-12-16 00:30 | My Favorite Songs | Trackback | Comments(0)