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カテゴリ:世界が終わっていたとも知らずに。( 1 )

世界が終わっていたとも知らずに。/Roaring Network. 今日もネットワークはロールする。

 
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死を記憶せよ。1日の花を摘め。メメント毛利氏

Are You Roaring? or Are You Rolling? Mr. Memento Mori

Roaring Network. 今日もネットワークはロールする。脇役であるとも知らずに。もう二度と鳥たちは歌わないとも知らずに。世界が終わっているとも知らずに。メメント毛利氏

Memento Mori! 死を記憶せよ!Carpe Diem! 1日の花を摘め!というのがメメント毛利氏の口ぐせだ。Memento Mori! 死を記憶せよ!Carpe Diem! 1日の花を摘め!と言ったあと、メメント毛利氏は自分の死の記憶について話しだす。そのとき、メメント毛利氏はモグラの死についても語る。


狂騒。狂乱。狂奔。脇役であるとも知らずに。すべては幻想であるとも知らずに。もう二度と鳥たちは歌わないとも知らずに。世界が終わっているとも知らずに。

1日中イイネ・ボタンをクリックしているブロガーがいる。ある日の彼/彼女の1日のイイネ・ボタン押下回数は1236回。1分に1回イイネ・ボタンをクリックするとして、彼/彼女はその日20時間以上もクリックしつづけていたことになる。「腱鞘炎にならないのか?」とこちらが心配になるほどだ。実際、クリックのしすぎによる腱鞘炎の症例が報告されている。しかし、腱鞘炎で済むなら、ことはそれほど厄介ではない。彼/彼女はすでにしてメンタル・ディスオーダーの領域にあるというのが私の見立てだ。しかも、事態はかなり深刻である。早急に専門医の診断と適切な治療が必要である。

彼/彼女は数百にも及ぶフォロワー/フレンズを抱え、アップされたフォロワー/フレンズたちのすべてのブログにイイネする。彼/彼女がブログの中身を読んでいないことは明らかである。「風邪っぴき。きょうはブログ更新お休み」「朝から雨。鬱。」「お昼ごはんはチキンラーメンですぅ」というたった1行のブログにまでイイネしている。

彼/彼女はページを開き、一目散にイイネ・ボタンに向かう。イイネ・ボタンまっしぐら。猫に鰹節/マタタビどころではない勢いだ。肝心のブログは読まない。彼/彼女にとって、ブログの内容など二の次三の次だ。彼/彼女が他者のブログを開くのはブログを読み、画像を見るためではないから当然である。彼/彼女が他者のブログを開くのはイイネ・ボタンを押すためなのだ。彼/彼女はひたすらイイネ・ボタンをクリックしまくる。クリックしつづける。彼/彼女はフォロワー/フレンズのアカウント名さえおぼえてはいないだろう。彼/彼女はフォロワー/フレンズが「誰であるか?」など興味がないからである。フォロワー/フレンズがなにを感じ、なにを書きしるし、撮影し、聴き、味わったかにはいささかの興味もない。フォロワー/フレンズは「イイネ/拍手/NICEボタンをクリックする対象」でしかないからだ。そして、彼/彼女は「感謝」「ありがとう」を飽きることなく連呼する。カビの生えたようなきれいごとをならべたてつづける。ひとかけらのリアリティもない死んだ文字の羅列で。それはもはや言葉ではない。

彼/彼女はなんのためにイイネ・ボタンをクリックしつづけるのか? いったい、彼/彼女はなにをしているのか? なにをしたいのか? なにを求めているのか? 答えは「なにもなし」だ。彼/彼女はなにもしておらず、なにかをしたいのでもなく、なにも求めていない。そこには実体の消え失せた亡霊の影が仄見えるだけである。

彼/彼女は虚しくならないのか? ならない。すでにして、彼/彼女は魂、心を失っているからだ。そんな彼/彼女が行き着く先は火を見るよりも明らかである。「引き裂かれた自己」の段階はとうに過ぎて、いま彼/彼女がいるのは「酷寒のミル・プラトー」を目前にした荒涼とした廃墟前広場である。

他者を騙し、欺くことはできても、唯一、自己だけは欺けない。自分にうそはつけない。しかし、自分にさえうそをついている者もいる。自分にさえうそをついている者を待ち構えているのは破壊された自己という最終地点である。そうなってはもはや修復不能だ。手のほどこしようがない。凍りつくような悲劇が彼/彼女を襲う。

いっぽう、彼/彼女のアップしたブログには数百単位でイイネ/拍手/NICEがつく。イイネ/拍手/NICEしているのはいずれも彼/彼女がイイネ/拍手/NICEしたフォロワー/フレンズたちである。

肝心の彼/彼女のブログの内容はといえば、端的に言って「空っぽ」である。「空っぽ」のブログで彼/彼女はいったいなにを発信しようとしているのか? 彼/彼女に発信したいことなどなにひとつないというのが私の見立てである。彼/彼女はただなにものか、なにごとかと繋がっている自分を確認したいだけである。彼/彼女が焦がれるように求めつづける「繋がり」に、彼/彼女は「繋がり」の強度、「繋がり」の質の高低を期待しない。「ただ繋がっていればいい」というのが彼/彼女の心性である。

空っぽのブログにつくコメントが空っぽなのは当然である。空っぽな上にきれいごとおべんちゃらおためごかしおべっかの際限なき連続。歯の浮くようなコメントのオンパレード。しかし、当の本人たちはいかにも満足げである。なぜというに、彼らの唯一のメルクマールである「親和欲求」が満たされるからだ。

彼/彼女の「親和欲求」はきわめて刹那的であり、グロテスクでさえある。継続的に「親和的なもの」を望みながら、彼らは実際に「関係」「関わり」を継続させようとはしない。なぜなら、彼/彼女らが他者と結んでいる関係性もまた空っぽだからである。何者にも真空を維持継続させることはできない。

彼/彼女が持ち出すのは「普通」「常識」「一般」「当たり前」に属するものばかりである。彼/彼女自身のオリジナル、独自、独創を提示することはまずない。それらを提示することはある種のタブー、禁忌に属するものででもあるかのようだ。

彼/彼女はなにごとかを表明するが、自己あるいは自己の内面を表明することは決してしない。上っ面ばかりである。どこででも通用する当たり障りのないこと。

インドラの矢が放たれるときでも、モーゼが十戒を授けられたシナイ山山頂でも、そののち1枚目の石板を叩き割ったときでも、ノアの方舟が漂着したアララト山でも、鳩がオリーブの小枝をくわえて戻ったその瞬間でも、カノッサの屈辱が行われている寒風吹きすさぶ城門前でも、ポツダム宣言受諾の踊り場でも、ICBM大陸間弾道ミサイルのボタンが押される瞬間でも、最後の審判が下されるときであってさえ通用するような言説。すなわち、空っぽの言説だ。

実体を失った空虚なるクオリアの精神だけがさまよっている。彼/彼女をして向かわせているネットワーク/インターネットとは彼らにとっていかなる意味合いを持つのか? 彼/彼女の本当のメルクマールはどこにあるのか? いずれの「答え」も0と1でできあがったデジタルの海に漂っている。

Roaring Network, Rolling Network. Roaring Internet. Roaring SNS. ネットワークはロールする。脇役であるとも知らずに。もう二度と鳥たちは歌わないとも知らずに。すべては幻想であるとも知らずに。世界が終わっているとも知らずに。


The End of the World - Skeeter Davis (1962)


The End of the World/世界の終り
Why does the sun go on shining
And why does the sea rush to shore
Don't they know it's the end of the world
Cause you don't love me anymore

なぜ太陽は輝いてるの?
なぜ波は打ち寄せてるの?
あなたがわたしの元を去ったときに
世界の終りが来ていたのだとも知らずに

Why do the birds go on singing
Oh why do the stars glow above
Don't they know it's the end of the world
It ended when I lost your love

なぜ鳥は歌ってるの?
なぜ星は瞬いてるの?
あなたの愛を失ったときに
世界の終りが来ていたのだとも知らずに

I wake up in the morning and I wonder
Why everything's the same as it was
I can't understand, no I can't understand
How life goes on the way it does

朝が来て目覚めると不思議よ
いつもどおりのさわやかな朝が訪れているのが
わからない わたしにはわからない
どんなふうに人生がつづいていくのか

Why does my heart go on beating?
Why do these eyes of mine cry?
Don't they know it's the end of the world?
It ended when you said goodbye

なぜわたしの胸はまだときめいてるの?
なぜわたしの心の眼は泣いているの?
あなたが別れを告げたときに
世界の終りが来ていたのだとも知らずに

 
by enzo_morinari | 2019-08-07 01:19 | 世界が終わっていたとも知らずに。 | Trackback | Comments(0)