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黄金の羊の訪問とノルウェイの森の違法伐採/大量不当廉売でぼろ儲けした不全感回収業者の日系ウガンダ人のハルキンボ・ムラカーミとの密会

 
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1818年以来探し求めてきた「黄金の羊」を喰らうにいたる顛末。


Gentilshommes de nom et d'armes. OTO

Pretium Laborum Non Vile - Non Aliud. OTO

イアーソーンはヘーラクレースらアルゴナウタイの勇者とともにアルゴスの船でコルキスの黄金の羊の毛皮を求めて冒険の旅に出る。


ハプスブルク家の神聖ローマ皇帝フリードリヒ3世伝来のA.E.I.O.U.ダイヤモンド入りのペルヒタむすびめしを食べすぎたせいで体調を崩したよい眠りに導く羊が一時的に撤収したのはゆうべのことだ。そして、昼下がり、午後2時ちょうどによい眠りに導く羊と入れ替わるかたちで黄金の羊がやってきた。

未の刻参りか。羊が。羊がいなくなってまた別の羊がやってくるとはね。できすぎじゃないか? このままでは『2019年の羊をめぐる冒険』の主人公にされてしまう気がして少しいやだったが、寒い中を帰すわけにもいかないので右頬をややひきつらせながら土屋太鳳クラスの嘘くさい笑いを浮かべて黄金の羊を招き入れた。

黄金の羊はBrooks Brothersの古いロゴマークの入ったずた袋を担いでいた。そのずた袋はMCS値で正確に「6PB 2.5/4」を示すネイビー・ブルーのウールでできていて、かすかにロクシタンのお茶のフレグランスのにおいがした。国際羊毛事務局のタグがとれかかっているのはなんとなくせつなく感じられた。まあ、タグに「中国製」やら「MADE IN CHINA」の文字がないのは救いと言えば救いではあったのだが。

黄金の羊はジェフリー・ビーンのグレイ・フランネルの1958年物のにおいがした。なぜ黄金の羊のにおいとずた袋のにおいがちがうのかはすぐにわかった。ずた袋の中には年老いた月の羊が入っていたのだ。月の羊と会うのは虹のコヨーテとの長い旅が終わる前の日以来だった。

あのときは私も虹のコヨーテも月の羊も若く、血気盛んで、いま思えばどうでもいいようなことや他愛のない問題についてとても神経質に向かい合っていて、無駄な争いと諍いを繰り返していた。

「やあ」と私は月の羊に声をかけた。月の羊は薄目をあけて榛色の瞳で私をじっと見たあと、「またおまいか。毎度毎度、おれの眠りを妨げるんじゃない」と吐き捨てるように言って、再び眠りについた。

「ドリーが1匹、ドリーが2匹、ドリーが3匹、ドリーが4匹、ドリーが5匹、ドリーが6匹、ドリーが7匹、ドリーがカムカム、ドリーがファンク、、ドリーがローリー、タモリが湘南、ぶらタモを𣕚の木でぶっ叩き、田母沢別館の糞掻きべらは𣕚の木でできてる…」

黄金の羊が月の羊の耳元で囁きはじめた。それがまるで自分の大事な仕事でもあるみたいにきちんと背筋を伸ばし、正座までして。

黄金の羊が4242匹目のドリーを数えおえたとき、電脳羊のドリーがやってきた。やっぱり。うすうす予想してはいたけどね。本当に来ちゃうとはね。そのうち、サイバネティクス・シープやサイバーパンク・シープやサリンジャー・シープや鼠羊や羊男や羊博士もやってくるんだろう。もう、ここまできたら、好きにするがいい。来年はひつじ年だし。え? ちがう? いや、ちがわない。私が使っている暦ではまちがいなく来年はひつじ年だ。このことについては世界観の問題に属することでもあるので議論はしたくない。世界観はひとそれぞれだ。とやかく言われる筋合いはないし、私から言うべきことも言いたいこともない。

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黄金の羊をポワレしているあいだ、天上からはずっとアーチー・シェップの『In a Sentimental Mood』が聴こえていた。黄金の羊の肉の焼ける匂いを嗅ぎながらアーチー・シェップのゴビ砂漠の中心にある全自動乾燥機のようなテナー・サックスの音を聴いているととても感傷的な気分になった。

羊の死あるいは死体というのは実に色々なことを考えるきっかけになる。アイロンと蝙蝠傘の倫ならぬ恋のことやセブンナップを1日に1ダース飲むことの意味や炎の中心に立つことでえられるもののことやキャンベルのポタージュ・スープがいかにしてアンディ・ウォーホルを誑しこみ、大量生産/大量消費/大量廃棄の無限のトリロジー時代の象徴にまで昇りつめたかについて考えるようになったきっかけは羊たちのさまざまな死であり、思わず胸が締めつけられてしまうような死体だった。

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私がこれまでに羊の死に立ち会ったのは数えきれないし、羊の死体を解体処理したうえで食べた量は軽く1トンは超えていると思う。そのたびに私はだれも考えつかないような問題について深く考えた。おかげで7回も東京地検公安部の強制捜査を受けることになったり、氷川丸の船長室で金羊毛騎士団のメンバーに拉致監禁されかかったり、佃島のパリ広場で「部屋ひとつに屋根ひとつ」と42000回も言わされたりした。

また、ノルウェイの森の違法伐採と大量不当廉売でぼろ儲けした不全感回収業者の日系ウガンダ人のハルキンボ・ムラカーミに脳羊の里親になるように言われたのは、電脳羊ドリーのいとこのテリーが反戦活動家のスタン・ハンセンにアックス・ボンバーを喰らった勢いでエジプトのガレー船(帆船じゃなくて?)の船艙に押しこまれたことが原因で窒息死したのを目撃したときに「アンドレ・ザ・ジャイアントとアレクサンドル・カレリンと雷電為右衛門ではだれが一番強いか?」と考えはじめたときだった。

ノルウェイの森の違法伐採と大量不当廉売でぼろ儲けした不全感回収業者の日系ウガンダ人のハルキンボ・ムラカーミに頼まれて十二滝村役場の畜産部から引き取った脳羊は私のところに来て3日で死んでしまったうえに、死んだとたんにすごくいやなにおいを放ちはじめたのでノルウェイの森の違法伐採と大量不当廉売でぼろ儲けした不全感回収業者の日系ウガンダ人のハルキンボ・ムラカーミに電話で厳重なる抗議をした。話がちがうと。脳羊と3日いると大脳辺縁系が10年進化すると約束したじゃないかと。脳羊といっしょにクリスマスを迎えれば羊男がクレタとマルタ、208と209の双子の姉妹を2セット詰め合わせにしてプレゼントしてくれると言ったじゃないかと。

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私が42分間ぶっつづけで抗議の言葉を並べたてるとノルウェイの森の違法伐採と大量不当廉売でぼろ儲けした不全感回収業者の日系ウガンダ人のハルキンボ・ムラカーミはとても恐縮しながら「やあ」とだけ言った。そして、「お詫びに西麻布のJAY'S BAR東京支店で50メートル・プール1杯分のビールと床一面に敷きつめたピスタチオをプレゼントするよ。1973年のピンボール・マシン、スリーフリッパーのスペース・シップと万延元年のフットボールのファイナル・チケットもつける」とつけ加えた。

「そんだけ? ビールが25メートル・プールの倍という点だけじゃないか、評価できるのは」
「では、こうしよう。ノルウェイの森を50エーカー、ホテル・ニュートリノをサイダー・ハウスの掟なしで無料で永久使用できるフーディーニ・チケットも進呈する。これでも足りない?」
「もうふた声はいっていただきたいものですな」
「そうは言ってもね、僕もヨーコの手前、そうそう気前よくはできないよ」
「グールドの『ゴルトベルク・ヴァリエーション』の1955年と1981年のファースト・エディションもつけてもらおうかな。それと林の中で首を吊った直子さんの死体が風に揺られて腐敗していく組写真一式も」
「それはひどいな。あまりにもひどすぎる」
「あなたが殺してきた友人の数と殺害の手口に比べれば僕なんか羊聖人として列聖されたっていいくらいですよ」
「もうミッシェル・ポルナレフを聴いて糞にまみれてメルドーに狂い死にしたくなってきた」
「『2Q11』と『白菜を持たない葉崎こわすと、彼の巡洋艦の都市伝説』と『シェークスピア・キッチンにおけるメープル・シロップの四季団長殺し』の手抜きの件をバラされたくなければこちらの要求どおりにするんですな」
「あ。その件はもう羊博士のツブツブ脳味噌の西京漬けで決着がついたはずじゃないか!」
「ハルキンボさん、あなたは僕よりひとまわりも年上だし、キラー通りのC.O.Dではごちそうになってばかりだし、年老いてロマンス・グレーになった黒鵜さんが鵜飼いの合間にやっている隠れ家、アジトのようなミスター・グッドバーの『ALONE AGAIN』のツケをハルキンボさんにまわしてばかりではあるけれども、それとこれとは話が別ですよ。なにしろ脳羊ですからね、相手は。しかも死んでものすごいにおいを発してる。野村沙知代なみの悪臭ですからね。ちょっとやそっとの条件では折り合いがつかないことくらいあなただってよくわかってるでしょう?」
「まあね。そりゃきみの言うとおりだけど」
「では合意形成のプロセスはこれでおしまいということで」
「わかった。ところで、樽くんはきょうはこれからなにか予定でも?」
「特には」
「では元麻布の西町インターナショナルの近くにかなりエキセントリックなレストランがあるんだけどつきあわないか? 切り裂きバロウズがカミソリで肉を切りわける店。もちろん、僕のおごりで。マイバッハの送り迎え付きで」
「いいですよ。どうせ、また厄介な相談事があるんでしょう?」
「相変わらず察しがいいな、樽くんは。ひとつだけ頼まれてほしいことがあるんだ、実は」
「くわしいことはお会いしたときに」
「オーケイ」
「で、きょうの合い言葉はなににしますか?」
勇気。
「それは先週使ってます」
「あれ? そうだっけ? では、倍音。
「わかりました」

このようにして私が黄金の羊の訪問を受ける端緒となるノルウェイの森の違法伐採と大量不当廉売でぼろ儲けした不全感回収業者の日系ウガンダ人のハルキンボ・ムラカーミとの世紀末ホテルの夜が始まった。
 

金羊毛勲章叙勲記念 現役金羊毛騎士団員による『羊をめぐる冒険』をめぐる冒険

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Anal est imperare orbi universo!

羊ヶ丘の羊どもは無関心を装いながらしたたかにつけいる隙をうかがっている。森鳴燕蔵

70歳を目前にしたハルキンボ・ムラカーミに必要なのは彼自身の芽むしり仔撃ちであり、早起きをやめて見るまえに跳ぶことである。羊博士ことジャンプ・ダンピング・クイック・ターン・ジャック・フラッシュ・オーバーテイク・イット・イージー天丼屋

金羊毛は錬金術の達人の象徴である。大士師にして破壊者/強力な戦士/木の伐採者のギデオン

われらの働きに報償に値しないものはない。トワゾン・ドール騎士団サン・タンドレ

北青山3丁目のBrooks Brothers青山本店が『羊をめぐる冒険』というシティ・アドベンチャーを生んだ。金羊毛騎士団団長ブルゴーニュ公フィリップ善良公


星のしるしのある不思議な羊、羊男、羊博士、そして、羊をめぐる冒険。ノルウェイの森の違法伐採/大量不当廉売でぼろ儲けした不全感回収業者の日系ウガンダ人のハルキンボ・ムラカーミのBrooks Brothersへの憧れが羊的なるものへの執着を生んだ。『羊をめぐる冒険』は『Brooks Brothersをめぐる冒険』と読みかえることも可能だ。

不思議でならなかった。なぜ、ノルウェイの森の違法伐採/大量不当廉売でぼろ儲けした不全感回収業者の日系ウガンダ人のハルキンボ・ムラカーミが羊的なるものに執着するのか。やっとわかった。というよりも黄金の羊が教えてくれた。

その昔、ハルキンボ・ムラカーミが30代前半の頃。ハルキンボ・ムラカーミは散歩師/歩き屋/走り屋/当たり屋の異名をとるほど散歩とジョギングに明け暮れ、東京無線のタクシーを狙いすまして当たりまくった。結果、東京海上は出禁になった。

ノルウェイの森の違法伐採/大量不当廉売でぼろ儲けした不全感回収業者の日系ウガンダ人のハルキンボ・ムラカーミがジャズ喫茶をやっていた千駄ヶ谷から北青山3丁目にあるBrooks Brothers青山本店までゆっくり歩いても30分ほどで着く。

青山通りに面したBrooks Brothersまでの道のりは散歩のコースとしてもいい。30歳をいくつかすぎ、ナイーブなロースハムのような不全感にとらわれていたムラカーミは気分転換をかねて千駄ヶ谷、神宮前、原宿、神宮外苑、そして、青山周辺を頻繁に散歩しただろう。Brooks Brothers青山本店の前を何度も通ったろう。ショーウィンドウの前で立ちどまってBrooks BrothersのBDシャツやレジメンタル・タイやウールのスウェーターに見惚れただろう。クオリティの面で言うならば、Made in New YorkとMade in Hong Kongとのあいだに差異はない。Brooks Brothersの製品は素材も縫製も悪いがブランド・ヴァリューが一人歩きしていた。舶来崇拝/精神の洋行帰りであるハルキンボ・ムラカーミが虜になるのも無理はない。

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最後に、黄金の羊はそっと耳打ちした。

「ハルキンボ・ムラカーミさんから星のしるしのある不思議な羊が抜けました。これで、ハルキンボ・ムラカーミさんの羊をめぐる冒険は終わりです。あとは羊男さんに羊脳になって皺の少なくなった脳みそをチューチュー吸われるのを待つだけ」

ノルウェイの森の違法伐採/大量不当廉売でぼろ儲けした不全感回収業者の日系ウガンダ人のハルキンボ・ムラカーミは、これから死が彼を連れ去るまでのあいだ、どんな冒険をするんだろうか? 冒険の出発の餞けにBrooks BrothersとROLEXのダブルネームのExplorer IIをプレゼントしようと思う。黄金の羊と黄金の羊のしるしが散りばめられたレジメンタル・タイを一緒にラッピングして。ネイビーと金のリボンで吊るして。Brooks BrothersNY本店前の羊のメロディペット無料乗り放題チケットもつけて。寂しい林で一人揺れている直子さんが腐敗していく様子を記録した組写真と小指のない女の子の行方不明だった小指を添えて。明治キャラメルの空箱につめこまれた鼠くんの遺骨も一緒に。電脳羊ドリーと第42代黄金の羊の間に生まれた電脳シャトー・ムートン・ロッチルド・ドールの太っちょ球の賃借権も。

「わたくしは月の羊さまの執事なのです。月の羊の執事の羊。ちょっとおもしろいでしょう?」と突然黄金の羊が言った。
「全然」と私はぶっきらぼうに答えた。

 私が言うと月の羊の執事の羊である黄金の羊は「メイファーズ!」と言って頭を抱えてから突然消滅した。

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Cyber Château Mouton Rothschild-d'Or “Gros Balle”


Beep Beep I'm a Sheep
 
by enzo_morinari | 2019-11-11 22:25 | 黄金の羊を喰らうにいたる顛末 | Trackback | Comments(0)
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