殺したくて殺してるわけじゃない。仕事だから仕方なく殺してるんだ。ほかにできることはなにもない。或る若い暗殺者
冷たい雨の夜。
「失敗したことはただの1度もない。つねに完璧な仕事をしてきた。100%の仕事だ。」
Perfect Kidの異名を持つ若い暗殺者はこともなげに言い、フレーム、銃身、スライド、弾倉のフィールド・ストリッピングとクリーニングを終えた38口径 FN ブラウニング M1910をホルスターに収め、ホルスターヘの収まり具合とホルスターから抜き出すときの滑らかさを確認し、再び、FN ブラウニング M1910をArflexの机の上に音もなく置いた。それから、ゆっくりとした動きでフィルターを外したソブラニーのブラック・ロシアンに火をつけた。深々と固形物のような烟りを吐き出すとヴァージニア葉の甘く濃密な燻香が部屋中に広がった。あとは未開封の箱の中の380ACP弾に瑕疵がないかひとつひとつ確認する作業を残すだけだ。
「殺したくて殺してるわけじゃない。仕事だから仕方なく殺してるんだ。ほかにできることはなにもない。」
Perfect Kidはそう言って、右の眼からラピスラズリ色の涙をひと粒だけこぼした。ひと粒だけだ。
SONY BRAVIAの巨大なディスプレイにSkyrimのエンディングが映った。Perfect KidはCRKT M16-14SFG Special Forces TANTO with Serrationsを黒いガムテープで右脚のふくらはぎにとめてから素早い身のこなしで立ち上がった。雨音がひとしきり大きくなった。
Skyrim - Rainy Night (Music & Ambience)Assassin's Creed