額の真ん中にいまにもまばたきをしそうな第3の眼。もうすぐ、第3の目が開く。日没後、宵の明星のまたたく西の空から「祈りは御心をひらく鍵です」と声がした。初めに木蓮の香りがし、つづいて、バラ、ジャスミン、山百合の香りがした。あたり一面が花の香りに満たされた。そして、私は宙に浮かぶ
魚のしるしを持つ者を恍惚として見た。全身が世界に向けて燦乱するような感覚だった。すぐにこれが法悦なのだとわかった。私は深い変性意識状態にあった。
胸の奥に焼印を入れられたような鋭い痛みのたぐいを感じた。額、背中、両手首、両足、右の脇腹にも。見ると、血が浸みだしていた。額からは血が滴り落ちて目に入った。
Stigmata. 聖痕だと思った。頭上に”Ἰησοῦς ὁ Ναζωραῖος ὁ Bασιλεὺς τῶν Ἰουδαίων”と彫られた黄金に輝く銘板が浮かんでいた。INBI. すぐそばでピエトレルチーナのピオがやわらかな笑みを浮かべながら立っている。額の真ん中の第3の眼がゆっくりと開きはじめた。
Mystery of Stigma