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スパゲッティとミートボール/余はいかにして空飛ぶスパゲッティ・モンスター教徒となりしか? 「生命、宇宙、そして万物についての答え」をみつけるために。

 
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すべてのパロディ・レリジョンは空飛ぶスパゲッティ・モンスター教の亜種である。

銀河の中心には特別ななにかがある。答えは太陽系第三惑星で待つ。150億年足らずのことだ。

インテリジェント・デザイン塔を破壊しているとき、ついに起源土を発見した。起源土で補強した亜音速戦車を差しむけて安倍川餅ドルイド・シンゾー教団を完全殲滅した。

きょうもまた倦むことなくひたすらにひたむきにミートボール・スパゲッティを食べる。なぜなら、私は敬虔な空飛ぶスパゲッティ・モンスター教徒だからだ。

なんらかの知性はスパゲッティ・モンスターであり、フーテンのトラさん大統領を始めとするID説の信奉者はスパゲッティ・モンスター教を学校教育にとりいれるために戦ってくれている。


イカサママヤカシポンコツの島田裕巳を懲らしめるために神秘ジェダイ教の戦士たちとメゾン洗脳に火をつけた。翌日。ソバージュ・ネコメガエルのエクリが定規とコンパスだけでイマドシルト中学校の校庭にRegular 65537-Gonを描き上げたコヒーレントな午後。双子の素数猿のヨタとヨクトが「ホメロスもダンテ・アリギエーリもフランソワ・ラブレーもウィリアム・シェークスピアもジェイムズ・ジョイスも紫式部も南方熊楠も超えた! おれたちはタイピングの王! 凄腕のタイパー! アンフィニ! モノリス! クマグス・マンダラ! ウィキペディア! エンサイクロペディア・ブリタニカ! ランダムハウス!」と叫びながら現れる。

ヨタとヨクトが雄叫びを上げて部屋中を駆けずりまわっているときに、木下ウッドシェディング研究所からファイストス円盤を精密に模したホンジュラス・マホガニー製のダイニング・テーブルが届く。つづいて、地下茎世界を代表する5人の哲学者がやってくる。42日ぶりだ。地下茎世界を代表する5人の哲学者たちは届いたばかりのファイストス円盤型ダイニング・テーブルを正5角形を描いて囲み、議論を始める。

「絶望のパスタ=スパゲッティ・アーリオ・オリオ・ペペロンチーノに刻んだベーコンを入れるべきか。ベーコンはイベリコ豚のものでなくてもいいのか。隠し味にペスト・ディ・アッチューゲを使うのは是か否か。われわれが囲むこのファイストス円盤を模したテーブルはなにゆえにウォールナットでもヒッコリーでもホワイト・オークでもなくホンジュラス・マホガニーを素材としているのか。われわれはいったいいつ『哲学的お尋ね者問題』の張本人、ソバージュ・ネコメガエルのエクリチュール・ロゴスとの決着をつけつることができるのか」

地下茎世界を代表する5人の哲学者たちの堂々めぐりの議論を黙って聴いていた虹子は我慢しきれなくなって、ついにパスタを茹ではじめる。パスタ部屋に蓄えてあるパスタだけでは足りないと思ったのか、角の加藤のタバコ屋のユキチ爺のところからディ・チェコの42番、フェデリコ・フェリーニを42ケースくすねてくる始末だ。虹子がパスタを茹でる姿を見ていると、演説青年のスミジル・スミスと「パスタをひたすら茹でつづける者はなにを考えるべきか?」について小一時間話し合った遠い日の光景がよみがえってきた。

茹でるパスタはディ・チェコ No.10 フェデリーニでなければならない。1.4mm、茹で時間6分。バジリコ、アーリオ、ピノーリ、サーレ・マリーノ・グロッソ、パルミジャーノ・レッジャーノ、ペコリーノ・フィオレ・サルド、オーリオ・エクストラ・ヴェルジーネ・ディ・オリーヴァ。デノミナツィオーネ・ディ・オリージネ・プロテッタ議定書どおりのペスト・ジェノヴェーゼの用意も怠ってはならない。

パスタをひたすら茹でつづける者は考えなければならない。塩加減、茹で時間。そして、ジャーマン・シェパードの忠節について。ロベール・カサドシュの弾くモーツァルトのピアノ協奏曲42番の凡庸さについて。純粋理性の二律背反について。未出現宇宙の沈黙について。自同律の不快について。虚體を満足させるためのステップについて。パトリオティズムの現在について。ビューロクラット・ファシズムの強度について。チャーリー・パーカーの饒舌の牢獄もしくはマイルス・デイヴィスの静寂の重量について。さらには、刻々と失われゆく時間について。孤独について。それをいつか食べるかもしれない人物の性癖について。

時間は失われない。そもそもありはしないから。孤独は癒されない。そもそも、誰も、何も傷ついてはいないから。人間は孤独について考えつづけられるほど強くも勤勉にもできていない。木っ端役人に喰わせるスパゲッティ・アル・ペスト・ジェノヴェーゼはない!

最後にバラク・フセイン・オバマ・ジュニア似の演説青年のスミジル・スミスは高らかに宣言した。

「このパスタを注文した奴は、できあがり、目の前にサーヴされたパスタをみつめ、それからフォークだけでか、あるいはフォークとスプーンのコンビネーション・プレーで食べる。けっして、パスタを茹でた人物について思いをいたしたりしない。世界はパスタを茹でる人間とパスタを食べる人間でできあがっている。生まれたときから”役回り”は決っているんだ」

本当に? 本当に生まれたときから役回りは決っている? 本当である。現在、バラク・フセイン・オバマ・ジュニア似の演説青年、スミジル・スミスは日々自転車通勤で器官なき身体を鍛えながら、ときどき、神泉近くの交差点でワイド・ショーのインタビューを受け、アランの『プロポ』と山岡荘八の『徳川家康』を交互に読み、折りにふれて「差別的言辞」を弄し、「暴力反対反対!」を連呼し、ゼニアの70,000円の生地の前を行ったり来たりし、いつか来る「完全自由パスタの日」のために後背位の名手としての地位を維持しつつ、クレオソートの夢に向かってケイデンス168rpmで走りつづけている。

「クマモト」はスワヒリ語で「涎を垂らしたホットなマヌコ」の意味だ。中国では「熊本」を「ションベン」と発音する。「チョットマッテ(ちょっと待って)!」は朝鮮語で「ティンコとティンコをくっつけあおう!」、「カガ・マリコ(加賀まり子)」はエスパニョールで「オカマ野郎のうんち」、「イソノ・カツオ(磯野カツオ)」はイタリアーノで「私はティンコ」だ。Testa di Cazzo! KATANA おろせ!

私はクレオソートの夢を主食とするガーデン・オクトパスとクリスマス島に大量発生して島中を亜音速の千鳥足で走りまわるレッドクラブのせいで蛸や蟹が全身を這いずる幻覚に苛まれながらも、事態の収拾のためにはなにをすればいいのか考えていた。ミニチュア・セントバーナードのポルコロッソは暇さえあればフランスタレミミウサギのアナスタシアとまぐわってばかりいる。人間とおなじだ。特に倫ならぬ劣情にかまけるいやしい人間と。あらゆる機会をみつけて、あらゆる嘘、あらゆる出鱈目、あらゆる出まかせを並べ立ててひたすらまぐわうことに一直線。まことにあさましいかぎりである。さて、考えても答えが出ないことは明らかなので、悪事と不幸と混乱を終わらせる者、ロキーを呼ぶために秘密の呪文を唱えた。

「エクステスコンクリ・コンエクステスコンクリ・キーヨ・エスタス・キーオ・グリオロン・アイアイススルム・スクリスミオーン・ウエノデロール・エクスグリフォン・コンエクスグリフォン・ラオウ! (吐き捨てる唾、さらに吐き捨てる唾。もっと吐き捨てたい! 去れ! 邪悪なる者どもは去れ!)」

ロキーはすぐに現れた。しかし、それだけの話だ。ロキーはなにもしない。事態はなにひとつ変わらない。地下茎世界からやってきた5人の哲学者どもは相も変わらず堂々めぐりの議論の真っ最中だし、双子の素数猿、ヨタとヨクトは家の中を走り回っている。ロキーが現れてからというもの、事態は収束、改善するどころか、あらゆることがバラバラに分解しはじめた。虹子は頭と胴体と腕と脚にそれぞれ分かれてしまい、それぞれがあちこちで勝手になにかやっている。おまけに虹子の「虹」の字は「虫」と「工」に分解してしまった。ふたつが行儀よく並んでいればなんとかおさまりはついた。虫工。こんなふうに。でも、やっぱりへんだ。バランスが悪い。右肩が下がりすぎている。もはや、私にできることは深々と溜息をつくことだけである。こんなときはベニー・グッドマンのスクラッチ・ノイズだらけの『Memories of You』のEP盤を聴くにかぎるのだが、あいにくパワー・アンプリファイアーの Macintosh MC275 はメンテナンスのために秋葉原ラジオ館の真空屋にお泊まり中である。もう、なにからなにまでが私に盾をついている。

しかたなく、庭に出る。見れば、虹子が庭で育てているブロッコロ・ロマネスコが季節外れも甚だしく盛りを迎えていたのでバケツ一杯収穫する。色と形のいいものを黒織部のへうげた大鉢に水を張って入れ、ファイストス円盤型ダイニング・テーブルの真中に置く。

パスタを茹でるので手一杯の虹子の胴体にかわって料理をいくつか作ることにする。ブロッコロ・ロマネスコはさっと茹でてからマダム・デュ・バリー風にアレンジした。断頭台の露と消える運命を生きる者たちにはうってつけだ。ジス・フィッシュの蒸し物、マケマケとラパ・ヌイのオストラコン・サラダ、パズズのフリット、トナカテクトリウオのカルパッチョ。料理を並べると歓声があがる。

地下茎世界からやってきた5人の哲学者どもは絵に描いたようなフラクタルぶりのブロッコロ・ロマネスコに端を発してジュリア集合がどうの、リアプノフ-マルクス・フラクタルにおけるスタビリティとカオス写像がどうの、部分と全体の自己相似がどうの、蜜蜂の家系とフィボナッチ数の関係がどうの、スペインとポルトガルの国境線の長さの解釈の相違と地図の縮尺のロガリズムがどうの、ヒマワリの種を螺旋状にたどるシークエンスがどうの、血管の分岐構造と腸の内壁のフラクタル構造がどうの、近似的にフラクタルな図形は樹木の枝分かれやリアス式海岸の複雑な海岸線の形状といったかたちで自然界のあらゆる場面に出現してどうの、ハウスドルフ次元とミンコフスキー宇宙が等価でどうのと喧々諤々やりあっている。私はとうとう堪忍袋の緒がぶちきれた。空飛ぶスパゲティ・モンスター・ピンク・ユニコーン色のネピアでこれみよがしに音を立てて鼻をかんでから言った。

「エミール=オーギュスト・シャルティエ流に言うならばだね、諸君らの”論戦”はこどもの喧嘩と大差ないってことなのさ。そんなことでは諸君らにはなにものも見出すことはできまいな。まず身体を鍛えたまえよ。疾走し、腕立て伏せをし、腹筋をし、ヒンドゥー・スクワットで汗を思う存分流すんだ。酸素をたっぷり吸って吐き出すことだ。さすれば、黙っていても幸福は向こうから勝手にやってくる。それがプロポということさ」

私がまくし立てても無駄だった。地下茎世界からやってきた5人の哲学者どもは、今度は『蝙蝠傘であるとはどのようなことなのか?』というクオリアの超難関問題に突入していった。虹子の胴体はまだパスタを茹でている。ポルコロッソは庭のガゼボでフランスタレミミウサギのアナスタシアとまぐわいつづけている。オランダタレミミウサギのコーネリアスは大きな耳で顔を隠してうなだれている。エクリはファイストス円盤を模したダイニング・テーブルで大の字になって大鼾だ。双子の素数猿、ヨタとヨクトはスミス・コロナの機械式タイプ・ライター Royal Quiet DeLuxe-Model1942 で『生命、宇宙、そして万物についての答え』を書き上げるべく夢中でタイピングの最中だ。130億年後には『電脳羊ドリーのソネット』くらいは書き上げるだろう。しばし、自分の仕事をしよう。5人の哲学者どもには勝手に議論させておけばいい。
 
by enzo_morinari | 2019-10-30 22:22 | スパゲッティとミートボール | Trackback | Comments(0)
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