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あの遠い島影はニライカナイ/Aloha 'Oe Days. Aloha 'Oeをささやくように口ずさみながら海上の道をたどってまだ見ぬ南の島ニライカナイを目指す。

 
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あの遠い島影はニライカナイ

名も知らぬ遠き島より流れ寄る椰子の実ひとつ

Quō vādis? われわれはどこから来てどこへ行くのか?

空間が虚数によって表現可能な座標系においては非因果的領域が確かに存在する。


ずっと遠い昔から、帰りたいと思いつづけていた。やみくもに、ただひたすらに帰りたいと。どこに? 南の島に。遙かなる海の向こう側、水平線の果てのさらにその先にある南の島ニライカナイに。

浜辺に流れついた椰子の実の芳醇馥郁たる白い果肉を目の当たりにしたとき、すべてわかった。自分がどこから来たのか。何者か。遺伝子の乗り物にすぎないのか。そうではあるまい。椰子の実の芳醇馥郁として香り立つ白い果肉に原日本人、原自分を確かにみた。

400万年前のアフリカの青い空を見上げて目を細めたルーシーから始まったミトコンドリア・イブのThe Human Journey/The Great Journeyはジャワ島に至り、北京に至り、ついには洞窟に日々の暮らしを描き、生の痕跡を残した。その間、400万年。そこからいったい何世代を経て私になったのか。世代時間にはそれぞれ桁のちがう差があるし、個体差もある。数秒で世代交代する微生物もいるから一概にいうことはできないが、もっと遡り、原核生物/真核生物の単細胞生物、多細胞生物からでは10の13乗/10兆世代にもなる。私のアンセスターたちはカンブリア大爆発/Cambrian Explosionのスペクタクルをどうかいくぐり、生き延びたのか。ミトコンドリア・イブの乗る船をどのように操舵したのか。

長い旅のあいだ、私のアンセスターたちは寒さにふるえただろう。ひもじい思いもしたろう。闇や目をぎらつかせて唸る獣や狼の遠吠えはさぞやこわかったろう。心細かったろう。不安だったろう。荒野や雪原や大海原や海上の道や激流の中に放りだされた幼な子。彼らは数知れない困難と困憊の中で産み、増やし、耐え、生きぬいた。それを思うと無性に泣けてくる。かわいそうでいとしい御先祖様たち…。

帰りたいと思い、憧れ、恋い焦がれてきた南の島には帰りつけないだろうし、どこにあるのかもわかるまい。当然に、ニライカナイにはたどり着けない。しかし、それでも私にはわかる。南の島もニライカナイも私の血の中に、私の心の大海原にすでにたしかにあるのだと。絶えることなく波音は聴こえると。潮騒はさんざめいているのだと。

カムイミンタラ=神々の戯れしところ、三途川の賽の河原でシーシュポスとともに石を積みあげていた午後。どこからともなく、Valhöll/戦死者の館に住まう神々に愛された英雄たちが歌う『エリュシオンのうた』が聴こえてきた。

北の海辺に磯あり。なづきの磯と名づく。高さ一丈ばかりなり。上に松生いしげりて磯に至る。里人の朝夕にゆきかよえるが如く、木の枝は人の攀じ引けるが如し。磯より西の方に窟戸あり。高さと広さはともに六尺ばかりなり。窟の内に穴あり。人、入ることをえず。深き浅きを知らざるなり。夢にこの磯の窟の畔りに至れば必ず死す。古来より今に至るまで、黄泉の穴と号す。

Aloha 'Oe Days. Aloha 'Oeをささやくように口ずさみながら海上の道をたどってまだ見ぬ南の島ニライカナイを目指す。

まごうかたなき完全5度のÉlan Vitalのかたちがそこにはあった。まだ見ぬニライカナイ、明るいイメージそのものの世界の入口。

ネウマもタブラチュアもフェルマータもダ・カーポもダル・セーニョもピチカートも♯も♭も♮も超えて、ドからソへ。JJからSDGへ。

空間が虚数によって表現可能な座標系においては非因果的領域が確かに存在する。これは自明なことだ。そして、われわれの前に立ちはだかるのが「贈与、交換、純粋贈与」という性悪三姉妹である。この三姉妹はすでにして「善」と「命」の境界線を越境し、地雷となった。Woman in Red. 緋色緋文字の女。ホーソンを食い殺した魔性の女。

越境した地雷と発狂した機雷だらけの世界においては、「ポトラッチ=蕩尽」を不義の子として認知したバタイユの認諾の書『眼球譚』こそが強制通用力のある紙、あるいは金属に一片の幻想をもたらす。かくして、レディ・マーマレード・ボーデン1リットル(つまり、2.5cc×400times または、10ccとエアサプライの永遠の囲いこみ運動、さらには「80年代AORよ、永遠なれ!」だけど、P. デイヴィスがクールな夜に I Go Crazy しちゃったのは返す返すも残念だスペシャル)は世界のありとあらゆる「-JECTION」に反則球ぎりぎりの内角胸元を投企することとなる。ここに「素材と諸力の諸関係」は大団円を迎える。ニライカナイの朝はもうすぐだ。

ニライカナイにはたどり着けないし、憧れ、恋い焦がれてきた南の島には帰れないが、それでも私にはわかる。ニライカナイも南の島も私の血の中に、心の海原にすでにあるのだと。波音さえ聴こえると。ティア・カレルの歌声とともに。

Aloha 'Oe - Tia Carrere (Hawaiiana/2007)
 
by enzo_morinari | 2019-09-15 21:31 | あの遠い島影はニライカナイ | Trackback | Comments(0)
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