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昔々、横浜で。/山下埠頭の夜はふけて──ミナトの親父

 
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カジノだあ? ヨコハマはとっくの昔にでっけえ博奕場だってのよ!真・ハマの番長


小学校にあがる前の年。生物学上の父親に連れられて横浜港に行った。途中、北仲通りにある藤木企業のミナトの親父こと藤木幸太郎を訪ねた。「昼めしを食おう」とミナトの親父は言い、チャン街(南京町/中華街)の聘珍樓まで歩いた。すれちがう人相風体の悪い者たちがコメツキバッタのようにミナトの親父に頭を下げた。

聘珍樓では店長とおぼしき男と料理長が席まで挨拶に来た。ミナトの親父は「うまいもん全部」とひと言。出てきた料理はどれもこれも豪勢でうまかった。ミナトの親父は「いい子だ。いい子だ」と言いながら、何度も何度も私の頭を撫でた。本人は撫でているつもりだったのだろうが大きなタワシか岩塊でこすられているみたいだった。痛かった。大きくてゴツゴツしていてあたたかな手だった。

当時、羽振りのよかった生物学上の父親は港湾荷役の会社をやっていた。ミナトの親父の藤木企業は取引先だったんだろう。生物学上の父親は藤木幸太郎のことをしきりに「親父、親父」と呼んでいた。親らしいことはなにひとつしたことのない生物学上の父親はミナトの親父からなにを学んだのかはわからないが、いずれ、地獄の釜の縁にでもならんで座って聞いてみることにしよう。
 
by enzo_morinari | 2019-08-25 17:18 | 昔々、横浜で。 | Trackback | Comments(0)
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