1974年7月14日のフランス革命勃発の日。放課後の地学室。サッカー部の顧問を通じて地学室に呼び出された。私を呼びつけたのは新卒新任の地学教師だった。大澤繭子。23歳。お茶の水女子大卒。独身。
地学室の引戸をあけるなり、Guerlainの夜間飛行のにおいが襲いかかってきた。大澤繭子のメイクはいつもよりはるかに濃かった。
「つまり、おれとヤリたいってことだな?」と私は言った。
「そうよ。あなたもでしょう?」
「まあな」
「いつから?」
「4月の入学式のときから。あんたは?」
「わたしもよ」
大澤繭子は私に実験台の上に横たわるようにうながした。