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書いた? 書けん!/此處は御国を何百里 離れて遠き越洲の赤い夕日に照らされて 戦友は野末の石の下

 
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Adieu! Adios! Adidas! Amigo! 神とともに逝け Kaita? Kaken!

「しっかりせよ」と抱き起こし 仮包帯も弾丸の中

此處は御国を何百里 離れて遠き越洲の赤い夕日に照らされて 戦友は野末の石の下


泡劇場の最初期、開高健先生と三田にある斉須政雄の『黄金の丘』でシコタマ酒を飲み、鱈腹めしを食った。開高先生はムール貝をバケツ3杯食べ、Pouilly-Fuisséを5本飲んだ。底なしの胃袋だと思った。グラスの淵の無限周回軌道を猛烈なスピードで爆走していた。玉も砕ける蟒蛇丸呑升。手を縛っておかなければタナゴやヘラブナがモンゴル奥地の清流に棲息する巨大イトウや南氷洋のシロナガスクジラ大になりそうな勢いのOpa!/Fish on!話。パイプに葉巻に紙巻きタバコにシガリリョス。濛々たる煙突男。珠玉の談論風発。言語の権化。ヴォキャブラリの大伽藍。風の人。ただし、風は風でも猛烈な暴風だから、へたなことは訊けない。事象の地平線/シュバルツシルト面まで吹き飛ばされる。輝ける闇に叩きこまれる。パニックになる。飲み、食い、語る。口角泡を飛ばす。ブリア=サヴァランも舌を巻く健啖家。まさか、2年後に神とともに逝ってしまうとは夢にも思わなかった。

話はベトナム戦争時、記者として従軍したときのことにうつった。開高先生はそれまでの饒舌とは打って変わって、不自然なほど静かに九死に一生時の「胸騒ぎ」について語りはじめた。声をひそめて「ここだけの話やで」という前置き付きで。黄金の丘は濃密な静寂に支配された。


戦友
 
by enzo_morinari | 2019-02-10 08:14 | 書いた? 書けん! | Trackback | Comments(0)
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