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RADIO DAYS クロスオーバー・イレブンで人間分子網目の法則を学んだ。

 
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たった40年ほども昔の夜ふけ。日付がかわる直前。KENWOOD L-01TをNHK-FM 82.5MHzにチューン。AzymuthのVôo Sorbe O Horizonte/Fly Over the Horizonが聴こえるとクロスオーバー・イレブンが始まる。

パーソナリティの津嘉山正種の声が心地よかった。20歳の後醍醐天皇崩御の日から25歳の誕生日まで津嘉山正種の声質声音と話し方を真似した。御成敗式目が五平餅入り五目焼きめしに変容するくらいよくモテた。冷やかしでぷろだくしょんバオバブのオーディションを受けたら合格したが、なんのかのと理由をつけて辞退した。

ずいぶんあとの泡劇場のさなかに赤坂の小料理屋の英家で偶然となりの席に居合わせた津嘉山正種本人から「似てるね」と言われた。人間分子網目の法則のことを言うと涙ぐんでよろこんでいた。

小学生のとき、世界で一番憎んでいた男・生物学上の父親が「読んでごらん」と言って置いていったのが吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』の初版本だった。新潮社版。1937年初版。生物学上の父親が旧制室蘭中学(現室蘭栄高校)の学生だった頃だ。ページのあちこちに傍線が引いてあり、端正な字で書きこみがある。地球岬の突端で強風に吹かれながら、あるいは電信浜に寝転んで読んででもいたか。早くに母親を亡くした無聊をかこつために。継母との折り合いの悪さを忘れるために。

主人公のコペル君がクロスオーバー・イレブンに登場したときは驚き、なつかしかった。古いともだちに長い年月を経て再会したような気分だった。くそまじめで退屈で辛気くさくて気取った似非インテリ/インテリかぶれには金輪際わからぬ人間分子網目の法則をクロスオーバー・イレブンから学んだ。

クロスオーバー・イレブンが終わり、日付がかわると城達也のJET STREAMへ。

津嘉山正種のクロスオーバー・イレブンと城達也のJET STREAMを聴くことが夜の越えかたのメインストリームだった。


Vôo Sorbe O Horizonte - Azymuth
 
by enzo_morinari | 2019-01-10 14:33 | RADIO DAYS | Trackback | Comments(0)
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