目をとじれば そこにMy Sugar Babe...
君が去ったこの場所 ずっと僕はいたよ… Rainbow Blobfish TATOO
1964年、小学校1年生の私は茅ヶ崎に住んでいた。海と防風林と波の音と烏帽子岩のうめき声と国道134号線としんと静まりかえった街。それが私の茅ヶ崎だった。
母親と一緒に伊勢佐木町のオデオン座でオードリー・ヘップバーン主演の『My Fair Lady』をみたあと、ヘンリー・アフリカの並びの不二家でソフト・ドーナツを買うと生活班班長のサリーちゃんが飛びだしてきた。サリーちゃんはサリーちゃん足の持ち主で、お金持ちの家の7人姉妹の長女だった。サリーちゃんのママはドイツ系アメリカ人だった。
サリーちゃんのおうちに初めて遊びに行ったとき、ブロンドで青い目をしたきれいですてきなママがドーナツをつくって食べさせてくれた。ドーナツにはピンク色のシュガーがコーティングされていて、さらにカラフルなアルジャンがかけてあった。胸がドキドキした。
一緒にサリーちゃんのおうちに行ったキャロル・ファイヤー・キャロちゃん、マークくん、デビちゃん、渚のナギちゃんはそのピンク色のお砂糖とアルジャンのかかったカラフルなドーナツを見ても特に驚いた様子もなかった。私以外は全員ハーフあるいはクォーター、つまりは混血児/あいの子。私は自分が場ちがいなところにいるような気がしてしょげかけたけど、ピンク色のドーナツをひと口食べたらすぐにピンク色で気持ちよくて幸せな気分になった。
私はピンキー・ドーナツの虜になった。身も心も。ピンク色のドーナツはキラー・ドーナツだった。My Sugar Half-Full Days, 私の甘くて、半分いっぱいな日々の始まりだった。Pinky & Killersが『恋の季節』と山高帽とステッキで日本中をピンク色に染めるのは4年後だ。桃色遊戯と桃色吐息はもっとずっとあと。桃井かおりと百田尚樹は大キライ。(ヤツガシラに八つ当たり)
My Sugar Babe - Rainbow Blobfish TATOO