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気まぐれ男の待つホテルのロビーで聴こえてきそうなパガニーニのカプリース

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湘南辻堂の小さなリストランテ、カプリッチョ。シェフはカプリ島出身のイタリア人だ。いつも笑みを絶やさないエミリオ・エステベスに瓜ふたつのエミリオ・エステベス。エミリオ・エステベスに瓜ふたつのエミリオ・エステベス? そのようなYA-2BITなふざけた世界も存在する。店の入口の脇にはイタリア語で「再会は情事の幕開け/再開発は事情変更の原則」と記してある。とても小さな文字で。

「ねえ、カンパネルラ。『ラ・カンパネッラ』が聴こえてきそうなホテルだったのよ」と安芸竹城の采女はテーブルにつくなり言った。

「『La Campanella』は4曲あるうちのどれが聴こえてきそうだったのかがすごく気になるね。気になって気になってジョルジュ・シフラの弾く『Grandes Etudes de Paganini, S. 141』を5回立てつづけに聴きたいくらいだ。そのあいだ、うしろでニコロ・パガニーニがクスクスをむさぼり喰いながらメントニエラに顎をのせてクスクス笑いをしているんだ」
「なによ! わたしの話をたまにはまじめに聴いてよ! カラムーチョ!」
「その前に、カンパネルラなのかカラムーチョなのかポリンキーなのか決めてくれないかな」
「もういい! カエル!『ラ・カンパネッラ』じゃなくて『ララ・ネパンカ』に言い換える! エロイムエッサイム エロイムエッサイム エロイムアナグラム。我は求め訴えたり。我は求め言い換えたり。カエルが鳴くから帰る」

そして、カプリシャスガエルに変身した安芸竹城の采女は山の井の清水の采女を肩車して帰ってしまった。気まぐれ男の待つホテルのロビーで聴こえてきそうなパガニーニのカプリースの第42曲が無性に聴きたかった。

Franz Liszt La Campanella
Niccolò Paganini - Caprice 24

by enzo_morinari | 2018-09-24 20:02 | 世紀末ホテルの夜 | Trackback | Comments(0)
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