メタセコイアの樹上頂上でBuffet Cramponのオーボエでモーツァルトの『オーボエ四重奏曲』を吹いてもだれも聴いていない。この話はある種のメタファーである。
オーボエ・ダモーレ奏者の女は着替え終わると同時に「あなたのことは今でも好きだけど、愛は終わったのよ。あなたとのアマーレとマンジャーレは最高だったわ、Amore mio. Goditi la vita!」と言って楽器ケースからオーボエ・ダモーレを取りだした。
「これがわたしのあなたへの別れの曲よ」
そう言ってからオーボエ・ダモーレ奏者の女はヨハン・フリードリヒ・ファッシュの『トランペットとオーボエ・ダモーレのための協奏曲 ホ長調』の主旋律を吹きはじめた。
私はセコイア国立公園内の原生林Giant Forestにあるセコイアデンドロンの巨木シャーマン将軍の木を目指してマドレーヌ飛翔体となった。燃料のMariage Frères/Esprit de Noëlは満タンだ。
メタセコイアもメタファーも失われたが、この旅はひとつの、そして確実なファルスであり、人間の生のメインディシュであり、メテンプシューコーシスの旅となる。
Mozart - Oboe Concerto in C, K. 314 / K. 271k [complete]Johann Friedrich Fasch. Concerto in E Major for Trumpet, Oboe d'Amore, Strings