人気ブログランキング |

空飛ぶ砥部焼TONBI氏への返信を兼ねた至上の愛と蒼ざめたヨハネの黙示録列車をめぐるいくつかのこと

c0109850_03322233.jpg


至上の愛。困っちゃうなあ。『A Love Supreme/至上の愛』に関しては言いたいことは山ほどあるし、一方で、ヴィトゲンシュタイン先生の言いつけの「語りつくせぬことについては沈黙せよ」も守らなきゃならないし。

1964年録音/1965年リリース。これもなにやらなんですよね。54年前。われわれは小学生にもなっていない。青っ洟たらして駄菓子屋でおでん食ったり、着色料まみれの三角帽子型飴のクジ引き紐引っ張ったり、京浜急行の土手でつくしんぼを摘んだり、クラウンやセドリックやブルーバードを追っかけて排気ガスのにおい嗅ぎまわったり。

固定相場制で1ドルは360円。どいつもこいつもビンボーだったけどどこか突き抜けた明るい青空みたいな時代。ヴァカはいつの時代にもいるけど、現代ニッポンにあまたいる辛気臭くて小狡くて鼻持ちならない勘ちがいヴァカはいなかった。若造小娘から還暦をすぎた爺さん婆さんまで。当時いたのはヴァカはヴァカでも突きぬけた愛すべきヴァカ。

『A Love Supreme/至上の愛』は帰りたい場所、帰れない場所、帰るべき場所なんですよね。帰りたいけど帰れない。ぺんぺん草も生えていないこの道はどこの細道じゃって。往きはヨイヨイ帰りはコワイ。

『Blue Train』はちょくちょく聴きますけどね。トレーンが若くて初々しくて溌剌としてる。ロリンズみたいなゴリゴリモリモリではないけども、バリバリグングンと吹いてるから元気になっちゃう。御託能書き屁理屈小理屈屈託一切なし。ある意味で突きぬけた愛すべきヴァカっぷり丸出し。

音楽備忘録(No Music,No Life)によれば、『A Love Supreme/至上の愛』を最後に聴いたのは2013年の10月20日。

2013年の10月20日周辺になにがあったかというと、広告批評の編集長だった天野祐吉が死んでるんですね。なるほど、そういうことか。天野祐吉はコルトレーン好きで、特に『A Love Supreme/至上の愛』と『Kulu se Mama』と『Blue Train』の3枚。『Wise One』の入ってる『Crescent』もか。『Wise One』聴きながら泣いてたなあ、天野のおっさん。ポロポロポロポロと金平糖みたいな涙をいくらでもこぼしてた。もらい泣きしたけど。あと、イーヴァ・マリー・キャシディが癌で死ぬ直前にシカゴのBlues Alleyでライブをやったときの『Autumn Leaves』では号泣してた。イーヴァ・マリー・キャシディのあの『Autumn Leaves』は数ある『Autumn Leaves』の中でも飛び抜けていいパフォーマンスだった。天野祐吉は見抜く目もすごいけど、耳も良かった。

で、死んだ天野祐吉への手向け、野辺送りで1日中聴いたわけですね。『A Love Supreme/至上の愛』を。「おっさん、聴こえてるか?」って。

泡劇場真っ盛りの頃、熊谷喜八がサザビーズのスタバでガッポリ食わせもん野郎と共同経営していたいまはなき青山キハチでどんちゃん騒ぎしたり、青山墓地を散歩したり昼寝したりビバークしたり夜ふけに酒盛りしたり、根津美術館でアートしたり、雨の西麻布したり。天野祐吉とは親子ほども齢がちがうんだけど、二人でこどもみたいにはしゃぎ倒した。思い出したらなんだか泣けてきた。

『A Love Supreme/至上の愛』は10年に1度くらいのペースで聴くことにしている音源(10年封印音源)なので、本来なら2023年10月まで封印しなくちゃいけないんだけど、秋風も吹きはじめたし、裏山には秋の気配が漂いはじめたし、天野祐吉きちゃったから、一緒に聴くことにします。承認/Acknowledgementと決意/Resolutionと追求/Pursuanceと賛美/Psalmを掘り起こし、頬ずりし、埋めもどすためにも。


A Love Supreme, A Love Supreme, A Love Supreme...

c0109850_07145075.jpg

A Love Supreme/至上の愛 - John Coltrane
Blue Train/蒼ざめたヨハネの黙示録列車 - John Coltrane
Autumn Leaves/枯葉 - Eva Cassidy(Live at Blues Alley)
 
by enzo_morinari | 2018-09-12 03:50 | 沈黙ノート | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : https://enzogarden.exblog.jp/tb/29738197
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
<< オキム・オン=アミラ氏はカスタ... パリ北駅発、現象。バラ色の人生。 >>