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バトンガの男

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BATONGAとDuffyは虹の橋のたもと/海と空と大地が出会う場所でシュレディンガー・ドッグ・フレンドシップを結ぶ。シュレディンガー・ドッグ・フレンドシップ憲章はThe Ten Commandments of Dog Ownership/犬の十戒である。

BATONGAとDuffyは友情の印にそろいのグローバーオールのダッフル・コートを着ているが、両者ともあきらかにワンサイズ大きい。ふたりの合言葉はBATONGA TOPANGA Duffel Toggle!/私は私のやりたいことをやる!である。


朝、窓をあけるとアンジェリーク・キジョーの『BATONGA』が聴こえた。音のするほうに目をやると、髪を短く刈りこんだいかつい男がこちらを見ていた。男は短躯でいかつかったが、どこか愛嬌のある顔をしていた。

アンジェリーク・キジョーが「BATONGA!」と歌うところで、同時に男は漢字の「大」の字のかたちに両腕両足をひろげてジャンプした。目を凝らしてよくみると、男の左肩上には黒いしみのような点がジャンプのたびに浮かんだ。

大の字。左肩上の・。大...。・...。大・...。犬だ! 男は犬と言いたいんだと私は理解した。私が理解すると同時に男はとても気持ちのよい笑顔みせた。

「あれ? ぼくの考えていることがわかるのかい?」と私が考えると、男は笑顔をテンコ盛りにして何度もうなずいた。

「そうか。わかるのか。キミはもしかして、1991年の1月1日に虹の橋/海と空と大地が出会う場所に出かけたっきり帰ってこない、ぼくの親友だったフレンチ・ブルドッグのバトンガ?」

男はからだがばらばらになってしまうのではないかと心配になるくらい全身を激しく動かした。男は私の唯一の相棒であり、用心棒であり、友だちだったフレンチ・ブルドッグのバトンガだった。

私はほぼ28年ぶりの再会がとてもうれしかった。それだけじゃない。うれしかっただけではなくて、すごく感動していた。涙がじゃぶじゃぶ音を立ててあふれでた。

私がいつもしていたようにあごをしゃくる仕草でバトンガを呼ぶと、バトンガはものすごい勢いで私のところにすっ飛んできた。私とバトンガは再会のよろこびをわかちあい、抱き合い、それから隅田川沿いを散歩し、山岳犬ダフィーの様子をたずね、バトンガの1年後に虹の橋に行ったバトンガの双子の弟のトパンガのことを話し、上野の不忍池あたりに沈む夕陽をいっしょに眺め、さくら橋のたもとでさよならをした。バトンガはしょんぼりした足取りで、ふりかえりふりかえり、虹の橋/海と空と大地が出会う場所へと帰っていった。 

次にバトンガに会えるのはいつだろうな。いまからたのしみだ。朝起きるたびに『BATONGA』を聴いて、バトンガが犬の字ジャンプをみせてくれるときを待つことにしよう。BATONGA!

Angélique Kidjo - BATONGA
 
by enzo_morinari | 2018-07-17 03:00 | バトンガの男 | Trackback | Comments(0)
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