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恥ずかしげもなく「プロフェッショナル」を名乗るスマタポポヒ

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まだ現場で打ち合わせやら交渉事やら下調べやらをしていた頃、名刺交換なるものをさせられた。すこぶるわずらわしかった。こちらは名刺交換する相手の顔も氏名も肩書きも連絡先も1度でおぼえてしまうので、名刺など無用の長物、本拠地に帰還すると同時にシュレッダーに放りこむか、ハリソン・フォードのアンドロイドに恋する夢見がちな電脳山羊のオードリーにくれてやる。本拠地のあった東京は法外に地べた代が高額なので、不要無用なものは捨てる。「断捨離」なんぞ知ったことではないが、それが東京人たる者の作法/流儀/掟である。

わたくしの名刺には氏名しか印刷されておらず、以後、つきあうことになりそうだと判断すれば連絡先その他の情報を書き加えて相手方に渡した。かたや、氏名のみ印刷された名刺を渡された者は怪訝な表情をするが、こちらは以後のかかわりを持つ気がないので、訝しがろうが井深大だろうが燻し銀だろうが号泣する銀将だろうが知ったことではない。こちらは生まれ落ちたときから天下御免の大変人/変わり者/変なヤツであるからして、訝しがられようが変人/変わり者/変なヤツ認定されようがなんともない。

中には「連絡先は?」としつこく訊ねる者もいたが、「連絡先を教えることは主治医に止められている」「赤の他人に連絡先を教えてはいけないというのが後醍醐天皇の御代からの家訓である」旨を申し向けて、早々にその場を立ち去る。そして、二度とその人物とは会わない。かかわりをいっさい持たない。その人物が所属する会社/組織/グループとは取引きしない。つきあわない。当然、取引きはキャンセル、白紙撤回、なかったことにする。それがわたくしのやり方/流儀/作法/Modus Operandiである。それをずっと通してきた。不便を感じたことはただの1度もない。

現在は滅多なことでは生身の人間と会わないので、「名刺交換」のわずらわしさからは解放された。たいへんにけっこうなことである。世界の森は消滅の危機を名刺1枚分先送りされた。これも、たいへんにけっこうなことである。

さて、名刺の肩書きには実に様々なものがある。代表取締役社長/専務取締役/部長/課長/係長からはじまって、〇〇本部長、局長、室長、担当部長、課長補佐、主任、主査などなど。目がまわるほどである。なぜ「平社員」という肩書きの名刺がないのかと思っていたら、泡の時代の初期に現れた。飛びこみ営業。事務機器関連の会社である「株式会社タイラー」の社長にして営業マン。たった一人の軍隊を地でいっていた。

姓は平平、名は平平。ヒラダイラ・ヘイベイ。冗談のようだが実名実話である。先祖代々、ヒラダイラ家の当主はヘイベイを名乗ったそうだ。御先祖は平家ゆかりの者、平家の落人、ことによれば平清盛かもしれない。わたくしの家紋は源氏車であるから平平の宿敵と言えないこともない。壇ノ浦で刃を交えたことも可能性としてはある。何代目のヘイベイなのかは聞きそびれた。

飛びこみ営業のたぐいはいつもなら即座に追いかえすところだが、そのときはちがった。追いかえすどころか、その場でスカウトした。逆営業。即興速攻ヘッド・ハンティング。「役員待遇/営業本部長/当期利益の3分の1を特別報酬とする/Capital Gainあり/二足のわらじO.K.(株式会社タイラーの社長としての仕事継続可)」で話はまとまった。こちらも相手も即断即決。気分がよかった。事務機器導入についてのかなりの額の契約を締結してから夜の街に繰り出し、銀座→赤坂→六本木→歌舞伎町をハシゴし、朝までしこたま飲んだ。笑った。しゃべくり倒した。快楽した。大酒豪大女好きがふたったり。たのしかった。愉快痛快爽快豪快淫快蕩快。韜晦狷介剣呑なる限界突破の宴。平平平平の営業手腕で倍々ゲーム×倍々ゲームで業容は一気に拡大した。平社員様々だった。

社長以下、家族総勢6名の写植屋がずいぶんと凝った書体の名刺で、社長、部長、課長、係長、主任、本部長の肩書き。笑いすぎて屁が出るほどだった。前夜に食ったニンニクたっぷりのアヒージョのせいでものすごい勢いでクサい屁だった。戸田の御浜岬の鈎状砂嘴に突き刺さるほどの勢い。誤字/脱字は皆無で、版下もきっちり仕上げてくるので、仕事上は問題ないからよしとした。

〇〇ライターという肩書きの名刺を恥ずかしげもなく差しだすスマタポポヒがいる。フリー・ライター、ルポ・ライター、旅行ライター、温泉ライター、ホテル・ライター、旅館ライター、スポーツ・ライター、ジョギング・ライター、ランナー・ライター、スポーツウェア・ライター、ジム・ライター、ワークアウト・ライター、文具ライター、オーディオ・ライター、AVライター、芸能ライター、TV番組ライター、ラジオ番組ライター、YouTubeライター、ニコ動ライター、Net Watchライター、ITライター、デジタル・ライター、スマホ・ライター、犯罪ライター、風俗ライター、オタク文化ライター、引きこもりライター、フリーター・ライター、webライター、コメント・ライター、グルメ・ライター、フード・ライター、料理ライター、お掃除ライター、お片づけライター、セレブ・ライター、インタビュー・ライター、ゴシップ・ライター、スキャンダル・ライター、音楽ライター、美容ライター、メイクアップ・ライター、コスメチック・ライター、美容整形ライター、ファッション・ライター、コーディネート・ライター、ライフスタイル・ライター、アウトドア・ライター、キャンプ・ライター、自給自足ライター、ナマポ・ライター、婚活ライター、就活ライター、終活ライター、お葬式ライター、マリッジ・ライター、マタニティ・ライター、ディボース・ライター、軍事ライター、演芸ライター、園芸ライター、ガーデニング・ライター、ゴースト・ライター、仮面ライター、イージー・ライター、ダイター・ライター、百均ライター、100円ショップ・ライター、100円ライター、放火ライター、ライター・ライター…。あげればキリがない。目にするたびに虫酸が走り、反吐が出る。全身Goose Bumps. おまえたちは火つけか? 火付盗賊改方呼ぶぞ! メーテルリンクに言いつけて青い鳥と一緒にヤードバードにしちまうぞ! 「〇〇評論家」のたぐいもおなじ穴の狢である。〇〇ライター、〇〇評論家を名乗り、名刺をばらまく者どもは、例外なく「わたしは正真正銘まじりっけなし掛け値なしのスマタポポヒです」と看板をぶら下げて歩いているようなものだ。恥を知れ! 恥を!「売文の徒」という言葉を知らねえか!たわけ者が! 世界の森を破壊し、消滅に追いこんでいるのはおまえたちだ! 墓石には「森の破壊者、ここに眠る」と刻んどけ!

〇〇ライターにかぎらない。「物書きのプロ」を自称するスマタポポヒもいる。自称「物書きのプロ」のテクストに目を通すと、案の定、退屈で陳腐でごもっともで常識人ぶりぶりで、閃きもジャンプ力もなくて、やたら体言止めが多くて、自分の文体/スタイルなし、センスなしリズム感なしオリジナリティなし、ナイナイづくしのコンコンチキチキマシーン大運動会でナイナイ岡村アタマパッカーン滑って転んで69等勝というありさまだ。句読点と「てにをは」と助詞/副詞/形容詞の用法は滅茶苦茶、連体形/連用形/活用形の混乱は目を覆うばかり。主語と述語の関係性が曖昧で、いつの間にか入れ替わってしまうという惨状である。金輪際、リングイネのパスタを食う資格なしだ。いっそ、Xバーで首を吊らなければチョムスキーが化けて出る。

的はずれ/ピンボケのオンパレード。一知半解のことどもをA( )Cで無理矢理記述しようとするから中身空っぽ、抽象的でつまらぬ修飾語だらけ。箸にも棒にもかからない。哲学に関わることを書いているつもりだろうが、ソークラテース/プラトーン/アリストテレースを主軸とするギリシャ哲学も、聖書もデカルトもカントもヘーゲルもまともに読んでいないことが見え見えバレバレ。思わず「小学生からやりなおしてこい!」と怒鳴ってしまうほどの日本国語の故障っぷりである。「〇〇のプロが教える〇〇のコツ」という鳥肌虫酸もちょくちょく目にする。おまえのような勘ちがいポンコツボンクラヘッポコスカタン木偶の坊は物静かに退場しろ!

いまや、出版社の売らんがためのマーケティングの道具と堕した文学賞の受賞者のテクストからしてポンコツだらけである。書店に平積みされている売れ筋ものはお粗末の極みだ。失われた言霊、益荒男ぶりと手弱女ぶり/荘厳/厳粛/雄渾/幽玄/静寂/精緻/明晰/端正/余韻/気配/察しの欠如欠落。ナイーブな肉屋で売っているナイーブなロースハム好きのセックス依存症のスパゲティ野郎なんぞをありがたがっているからこういうことになる。しかし、それがこの国の言語領域の実情である。暗澹たる気分になる。

〇〇ライター、書き仕事をなりわいとしている者/言語表現、言説、売文によってなにがしかのギャランティをえて生活のファイナンスとしている者のメンタリティはふたつ。ひとつは「キーボード叩くだけでおカネもらえるんだからラクだしオイシーじゃん」という怠け者の心性。ラクなのがお好みだてんなら駱駝になっておっ死んで漬物樽にでも放りこまれやがれ! 毛がなくて無病息災寿手練経、酢豆腐自慢は夢のまた夢、おにょにょご津波のおっきゃらまあして米櫃は空っぽ空っけつのスッカンカンの駱駝のカンカン踊り、馬子の角栄どんだってお鼻の濡れたイノシシどんだってイグアノドンだってイノドンヘーイだって承知の助だ! クマグス先生でもおられりゃあ粘菌暮らしの御居処でもめっけてくれようものをよ! 咳をシテ島でしても一人だろうがホロホロ鳥にかぶりついてホロリと歯が抜けようがまた会うこともない力道山が遠ざかろうが、おまえたちは駄目だ。おまえたちのサイコロは裏目を足しても金輪際ラッキー7にはならない。明日は明日の風が吹くってえお釈迦さまのありがたいお経を知らねえか! おっきゃらまあ経てんだ! おぼえときゃあがれ! 正一位稲荷大明神であらせられる悪臭芬々唐芙蓉さまの生まれ変わりの駱駝さんよお! ギョーカイ人ヅラさらして脳みそのシワのない低脳低劣を相手にテレーズ・デレスケ・デスケルウ・ヌーヴォーしてやがれ!

それになんだあ、拾った鮫革の財布にお財宝が入っていなかったからって、話がちがうってたって、あれは上方のお噺だからよ。そうだろうよう、ぞろっぺいの勝五郎どん、その実、浅草伝法院のお狸様よう。火焔太鼓のお成りお成りもいいけどが、景気よく火の見櫓の半鐘を仕入れようたって半鐘はいけねえぜ。おジャンになるからな。まったく、風が吹けば消えてなくなっちまうようなアンポンタンばかりで素っ首がすーすーするってえ寸法だ。

芝浜夫婦善哉の床屋政談を浮世風呂の釜の脇で聴いていた船屋の徳兵衛がもうどうにもこうにも我慢できないとばかりに、向こう鉢巻に出刃包丁の艶姿で鐘と木魚の衣ほすちょう天の香具山音楽を奏でながら貝紫色の駱駝を引いて現れてでもしてくれりゃいいんだが、それは虫がよすぎるてえ料簡だ。お伴には紙洗橋で漉いたばかりの紙を冷やかしていたスットコドッコイの三下奴が付かず離れず従っているしよ。それにつけても、いざとなれば風を食らって逃げちまえばいいような瘋癲ばかりである。

この際だから、どいつもこいつもイタ公もフランス野郎も看看奴でも踊ってやがれてんだ! 火星の火屋で息吹きかえしたら「冷酒でもいいからもう一杯」と抜かしやがれ! まずはマーズがアタックがわりに作った不味いこと臭いことこの上もないカース・マルツの角に鼻っ柱ぶっつけてから、オオカミとイノシシとキツツキと雄鶏が合体したトンデモ・アレスがトネリコの樹に止まって「クォーククォーククォーク ダンテブルーノヴィーコジョイス クォーククォーククォーク ダンテブルーノヴィーコジョイス クォーククォーククォーク ダンテブルーノヴィーコジョイス」と3度鳴くのをよく聞いてろ! 唐変木の噺のほかの穀つぶしの表六玉のスットコドッコイ! いずれ女房は町内の若衆によってたかって可愛がられて自分には似ても似つかぬ赤ん坊が産声あげるってえ塩梅だ。仕上げを御覧じろたあこのことよなあ。ちくしょうめの長久命の長助め!

ふたつは「ライター、物書きって取材とかインタビューとかあってカッコよさげじゃん」というA( )Cの心性。はっきり言うが、〇〇ライターも物書きもカッコよくない。ラクじゃない。割りが合わない。取材はただの肉体労働だ。インタビューする相手は「過去の栄光」に未練たらたらでしがみついているオワコンと旬が過ぎて薹の立ちまくったポンコツばかり(恥ずかしげがないどころか、鼻高々得意げにオワコンへの取材/インタビューのことをなにかというと持ちだすやつもいるがな。特に団塊老醜に多い。40年前のポンコツ持ちだしてどうしようっての! オワコン・ポンコツの所属事務所からゼニもらってパブ記事/パブ番組か? そういう輩はてめえでてめえのことをウィキペディアに立ち上げやがんのな! 哀れで大嗤いなことったらねえや! 放送作家にノンフィクション作家にノンフィクション・ライターに音楽ライターにインタビュー・ライターに音楽評論家にジャーナリストにディスクジョッキーにって、いったいいくたり肩書/看板/名札ぶら下げたら気がすむんだ? 肩はこらねえのか? 看板好きは学生運動の闘士サマの頃からか? ゲラゲラゲラゲラゲラダヒヒヒ呵々大笑。あんたにはいつも「しめしめ」ってスピーチ・バルーンが出てるよ。鏡でよく見てみな)。肩にぶら下げているショルダー・バッグはくたびれ果てたハンティング・ワールドのパチモン。履いている靴は中国製かベトナム製というありさま。わるいことは言わないし、故郷の両親が心配するから売文業なんざやめときな。故郷へ帰って畑を耕すなり、漁網打ちな。そのほうがよほどクリエイティブだから。石に腰を、墓であったか 山頭火/お墓で出逢った山頭火/おっ! 墓であったかひと休み っつーこったな。

スマタポポヒなクライアントから愚にもつかない御託能書き寝言戯言をさんざっぱら聞かされて、えられるのはたかの知れたギャランティである。3万かそこらの家賃も電気代も水道代も年金掛け金も保険料も滞納するのが関の山。1回の食費は100円、打ち合わせに行くための交通費にも事欠く始末。ネット/SNSで知りあったどこの馬の骨とも知れぬやつから雀の涙のゼニカネを振りこんでもらったり、米やらカップ麺やらの食料を送ってもらったりで食いつなぎ、生き延びる日々。はやい話がほどこしで命脈をつなぐ人生だ。中には、「みじめで弱くてかわいそうな人間」を演じて人のいいやつの人のよさにつけいる不埒不届き千万不逞の輩もいる。

日本国憲法第25条第1項に明記され、保障されているはずの「健康で文化的な最低限度の生活」さえままならない。ほとんどの〇〇ライター/物書きは「生存権」が脅かされる生活を余儀なくされている。ワーキング・プアもいいところだ。しかしながら、大昔から怠け者とA( )Cはわけまえが少ないものと相場は決まっている。もって瞑すべし。
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by enzo_morinari | 2018-06-18 14:56 | 流儀と遊戯の王国 | Trackback | Comments(0)
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