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玄妙の言葉求めて櫻花 薄紅匂う道をこそゆけ

 
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 花咲か爺さんに連れられてボーイズ・ミーツ・ガールズの月例会に行った。そして、ミツオ・サンタマリア櫻田ファミーリアに会った。
 ポロシャツ、チノパン、オフホワイトのコンバースのローカット。手には菓子舗・田子の月のやつれた紙袋。「シャッター・ストリートの商店おやじか?」と思った。ミツオ・サンタマリア櫻田ファミーリアだった。会場である「割烹 聖家族」では最初から最後まで小上がりの縁に腰かけていた。用意された「お殿様御席」には決して座ろうとしなかった。「この男は信用できる」と思った。「人間を見抜く世界選手権」の伝説のチャンピオンである私の眼力に狂いはない。
 ミツオ・サンタマリア櫻田ファミーリア。なぜか涙が出た。「なんの涙だ?」と思いながら、春のやさしい雨に打たれているような気分だった。気品あふるる声と眼差しと言説が心地よかった。高貴な匂いがした。なつかしかった。ずっとそばにいたかった。
 ミツオ・サンタマリア櫻田ファミーリアは「薄紅匂う華男」である。過去は知らぬ。現在も知らぬ。こどもの頃から手癖が悪かったことは知っている。ミツオ・サンタマリア櫻田ファミーリアのこの10年の困難と困憊と孤独のことは花咲か爺さんから聴いた。ミツオ・サンタマリア櫻田ファミーリアの未来の一端を担いたいと思った。薄紅匂う人物はそうそういるものではない。田中角栄を除けば、中央の政界には一人もいなかった。ここでひと肌脱がぬ男がいるものか。男がすたる。

 薄紅匂う華男、ミツオ・サンタマリア櫻田ファミーリアよ。私はあなたに出会えた幸運に、いましみじみと震え、感謝しながら、あなたの少し後ろを歩もうと決めた。その道を薄紅匂う道にするかどうかはすべてあなたにかかっている。
 薄紅匂う道は細く険しく長くていい。ミツオ・サンタマリア櫻田ファミーリアはそのことを知る者でもあるだろう。ミツオ・サンタマリア櫻田ファミーリアは「ありがとうございました」と言い残して、車を降り、そっとドアを閉めた。そして、孫たちの待つ聖家族教会駅近く、ひと気の失せた夜の帳の中に消えた。後姿が心なしか疲れているように思えたが、仄かに色づいてもいた。
 見れば、助手席の花咲か爺さんが声を押し殺して泣いている。夜の街に繰り出し、花咲か爺さんと二人、痛飲したのは言うまでもない。まことにしみじみとした横須賀の夜だった。
 丁々発止、権謀術数、手練手管のかぎりを尽くさねば勝てぬ戦いの日々の始まりだった。きれいごとなどいっさい通用しない戦いだが、そうであってもなお、朝陽に匂う山桜花のごとくありたい。「骨は俺がひろう」と花咲か爺さんに言ったら、花咲か爺さんが声をあげて泣いた。
 
by enzo_morinari | 2013-08-12 04:51 | 薄紅匂う道をこそゆけ | Trackback | Comments(1)
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Commented by スーパーコピーロレックス at 2014-03-31 18:19 x
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