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有栖川の森でアレキサンドリアの幻影をみる。

 
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アザブ・デイズの拠点から歩いて5分足らずのところに有栖川宮記念公園はある。公園内、東側高台の一角を占めるのが東京都立中央図書館だ。目黒区立目黒区民センター図書館とともにわたくしのお気に入りの図書館である。ビートニク・ガールと同道することもあれば、わたくし単独で調べ物、書き物、居眠り、油打ち、沈思、黙考することもある。シークレット・ガールとの逢引きの場所としても重宝している。また、ビートニク・ガールと仲たがいしたときに逃げ込むのはもっぱら中央図書館である。敵もさるもので、ビートニク・ガールがわたくしを探索するとき、まず足を運ぶのも中央図書館だ。その際には丁々発止の隠れんぼ、追いかけっこ、逃走劇、追跡劇が行われる。はた迷惑もいいところではある。

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5階建て。蔵書152万冊。開架式。清潔で、しかも明るい。階ごとに「社会科学」「人文科学」「自然科学」の各分野が分類されており、目当ての資料が見つけやすくなっている。1階中央にはコンピュータ・スペースがある。持ち込んだノートブック・パソコンを無線LANを使ってインターネット接続することも可能だ。「グループ閲覧室」では図書館の資料を使ったグループでの学習・調査研究活動ができる。コンピュータを使った資料の検索システムもある。また、複写サービスの充実ぶりは都内の図書館随一である。5階の「東京室」と名づけられた部屋には行政資料のほか、東京に関する図書、新聞雑誌が網羅されていて、ここは「東京学」の格好の修練場となる。おなじフロアに食堂と喫煙ルームがある。食堂は安価でそこそこうまい。おすすめは日替わり定食である。600円で腹いっぱいになる。おなじく5階の「特別文庫室」には江戸時代から明治にかけての和書、漢籍が網羅されている。ほかに、諸橋文庫、井上文庫、河田文庫、加賀文庫など、個人文庫の充実は特筆に価する。また、4階にある「闘病記文庫」は見ものだ。さまざまな病いと闘った市井の人々の命の記録にふれることができる。たいへんにいい企画である。視聴覚資料も充実している。ただし、利用時間は13時から17時と短いのが難点である。なお、中央図書館は個人への館外貸出しを行っていない。

不満がないわけではない。文学作品(小説・詩集)、児童資料の所蔵が少ないことである。「図書館案内」にはこれらを蔵書していない旨が明示してあるが、どこのぼんくら木っ端役人が決めたことなのか理解に苦しむこと甚だしい。

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言葉の森の渉猟に飽きたら、いったん館外に出て公園内を散歩するもよし、木陰でくつろぐもよし、南部坂を下って広尾の街散策とシャレこむもよし、リニューアル・オープンしたナショナル麻布スーパーマーケットをひやかすもよしである。少し足を伸ばして仙台坂側に下ってゆけば麻布十番があるし、隣接する東京ローン・テニス・クラブの脇を抜けてあえて路地に迷い込み、元麻布界隈の時間の止まった町並みをたのしむという手もある。西町インターナショナル・スクール周辺の異国風味もなかなかのものだし、暗闇坂を下ればそこはもう麻布十番だ。

中央図書館と有栖川宮記念公園。アレキサンドリアにあったといわれる世界最大の図書館の幻影を帝国の名残りうちにみるという風狂も悪くはない。
 
by enzo_morinari | 2012-09-19 03:38 | Nuovo Libro Paradiso | Trackback | Comments(0)
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