彼女のパピエ・コレ#1

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「死ねば紙くず同然よ」

それが彼女の口癖だ。彼女は1960年代後半のフランス映画に出てきそうな美人だ。『去年、マリエンバートで』に出ていたデルフィーヌ・セイリグに似ている。似てて当然だ。デルフィーヌ・セイリグは彼女の母親の大叔母なんだから。

父親はメソポタミアを専門とする考古学者、妹は蝸牛型メニエール病をかかえたチェロ奏者。登山家の母親は若いスペイン人の男と駆け落ち中である。

「紙くずを拾い集めて汚れを取ったり、もっと汚したり、しわを伸ばしたり、もっとしわくちゃにしたり、丸めたり、破いたり、貼り合わせたり、焼いたり、濡らしたり、擦ったり、踏んづけたり、放り上げたり、色をつけたり。そうやって、わたしは紙くずたちに新しい命をあたえるの。それがわたしの仕事よ」

彼女のアトリエは殺人現場だ。彼女は有能な検死官であり、凄腕の捜査官であり、そして、冷徹な殺人者である。

彼女はとてもじょうずに人を殺す。殺された相手は自分が殺されたことに気づかない。血一滴でない。うめかない。彼/彼女の魂だか精神だかが肉体から抜け落ちるだけの話だ。手際がいい。

彼女によれば、生まれてから今日までに4242人の人間を殺してきたそうだ。殺したのは人間だけ。彼女は人間のほかには虫けら一匹殺さない。草木一本さえもだ。そんな彼女に、今日、僕は殺される。3度目だ。いや、4度目だ。殺す理由を尋ねても教えてくれない。答えない。それどころかすごく不機嫌になる。

「殺す理由くらいつまらないものはないからよ」

彼女は実にクールに言ってのける。クールすぎて部屋の温度が2度くらい下がるほどだ。窓に霜がつくことさえある。

「あなたももうすぐわたしの作品になるのね」

僕は死んで彼女のパピエ・コレになる。彼女の作品の一部。わくわくする。ときめく。うっとりする。もうすぐ、彼女の作品は完成する。本望だ。

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「マクドナルドとディズニーランドとスカイツリーとメルシー・ボークーとオネットとアンクリュとピュールとオベイサンとサンシーブルとアンテリジーブルとサンセールとサンプルでボンヌールが手に入れられるなら神さまだって苦労しない」

老練な理髪師のように手際よくカミソリを研ぎながら彼女が言った。

「だから、わたしは無駄な苦労をしなければいけないの。それとね、これだけはおぼえておいて。殺人にはね、ある種のエンジニアリングが必要なの。不器用な人や大雑把な人は殺人に手を染めるべきじゃない」

僕は彼女の部屋の壁に貼ってあるアインシュタインのポスターをちらっと見た。アインシュタインがおどけて舌を出している。舌に少し苔が生えている。アインシュタインは胃が悪かったのか?

「アインシュタインは本当はめったに笑わない人だったんだってね」
「そうよ。ASD。自閉症スペクトラム障害だもん。ちょっと前の言い方をすれば、アスペルガー。わたしと同じ発達障害」

境界水槽の幻の虚数魚 i が街外れに狩りにやってきた古代人のジョン・ドーン・バンクシーの肉片に食らいついている。大食漢である幻の虚数魚 i の餌を確保するのは僕の役回りだ。彼女の言いつけなので必ず守らなければならない。

ただの肉の塊になったジョン・ドーン・バンクシーは冷凍庫の中で日に日に小さくなっていく。もう落書きはできない。両手の指は最初に幻の虚数魚 i に与えてしまったからだ。めぼしい肉がなくなったら骨を細かく砕いて幻の虚数魚 i にやる。

骨を砕く作業は好きではない。ひどい音がするからだ。骨を砕くときのことを考えると胃が痛む。ジョン・ドーン・バンクシーがなくなったら、次に餌にするのはAnonymous IV/第4の無名氏、ソルシエ・トマテュルジュだ。

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# by enzo_morinari | 2018-05-23 07:01 | 彼女のパピエ・コレ | Trackback | Comments(0)

恐竜の中の島々#001

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臓器移植法の改正を受け、2010年1月17日の午前零時からひたすら五臓六腑世界のすべての肉を喰いつくしてきたアキラキメラ・パンクレアスは、ヘミングウェイザウルスの膵臓の、とりわけ巨大なランゲルハンス島のユーコの渚に立ちつくし、白い京都の鯉の薄暮色をした背びれに降りかかる雨の慕情に濡れながら、借りてきた猿島新港を出航したときに目にした幻惑の光景を思い起こしていた。

「夢だ。幻だ。忘れ去られ、沈黙する臓器だ。この世界のすべては」

口に出したところで事態が変わるわけではない。ヘミングウェイザウルスの膵臓のランゲルハンス島のヨーコの渚ではインスリン潮とグルカゴン潮がせめぎあい、激突しながらプランホルモンクトンの増殖に一役買っているだけである。アキラキメラ・パンクレアスは「スピルバーグ・ハンバーグを齧りながら、『激突するジョーズ・シンドラーの未来への帰還リスト』が観たい」と強く思った。「餅五個」のほうがよほど IPPON だと思うのはネプチューン・ホリケンあるいはロバーツ・アキヤマくらいのものだろうか?

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遡ること Message in a Bottle/bouteille à la mer 1週間前。『黄帝内経』が『霊枢』九巻と『素問』九巻、計十八巻揃いで858年ぶりに改訂され、『黄帝内経ジャスト・ギンザナウ』として電子書籍のかたちでパブリッシングされた。パクリッシング太平天国の乱におけるヒットエンドラン戦法によって戦国の御代を統一したねるとん紅鯨帝国で海賊版がつくられ、即座に出回ったのは言うまでもない。

先覚諸島視察中に前後不覚に陥った週一金瓶梅皇帝の元にも『黄帝内経ジャスト・ギンザナウ』のVer1.1.1が献呈された。朦朧困憊の週一金瓶梅皇帝には、早速に『黄帝内経ジャスト・ギンザナウ』四巻中の「未病」及び陰陽五行説による対症法が施されたが、薬石効なく、週一金瓶梅皇帝はおっ死んでしまった。まことに全人代(全宇宙人民代貸大会)恐るべしである。「長征ここに終わるべし」とのモーツォートン爺さんの余弦定理に基づく予言が現実のものとなったのだ。これにはコーセー・ケショーヒン(斌斌彬彬)を筆頭とする「4人グループ」が影で暗躍していたとの流言がまことしやかに巷間に伝わった。

この事態には、「巧言令色鮮なし仁義なき戦い」を旨として生きてきたアキラキメラ・パンクレアスをして深き絶望の淵へと追いやることとなった。アキラキメラ・パンクレアスは「恐竜の中の島々」へ向けて無謀な航海に船出した。その旅の困難に比べればクルパ・シンドロームによってもたらされるパンデミックなど取るに足らないものと言わなければならない。

クルパよ! ヨジーコ・オパーランディよ! アゴダシカオダシのきいたともがらよ! いつまで沈黙をつづける気だ! そんなことでは「忘れられた臓器」「沈黙する臓器」としてパンクレアス・リバーに流されてしまうぞ!

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# by enzo_morinari | 2018-05-22 05:02 | 恐竜の中の島々 | Trackback | Comments(0)

今夜が山田の中の一本足の案山子の村で発見した絵

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その村の名を明かすことはできない。なにしろ、日本の甘味処のゴーギャンこと田中一村の未発見の絵が村中にごろごろ転がっているからだ。全部集めて売れば三浦半島を丸ごと買えるほどのカネになる。走水海岸をプライベート・ビーチにできる。横須賀港に停泊するヴァージニア級攻撃型原子力潜水艦テキサス(USS Texas/SSN-775)を湯船に浸かっているときのオモチャがわりにすることも可能だし、「Man the ship and bring her to life!」の大号令のもと、2017年に退役した世界初の原子力空母エンタープライズ(USS Enterprise/CVAN/CVN-65)やニミッツ級原子力空母ロナルド・レーガン(USS Ronald Reagan/CVN-76)をコリアン・ペニンシュラや竹島や尖閣諸島に派遣するのも思うままだ。太っちょの痛風王子の鼻っつらに地上1000メートル/200階の超ドレッドノート級高層ホテル「コリアン・ペニンシュラ・ホテル・ピョンヤン」をおっ建てるのもできない相談ではない。さらには、木っ端役人の若造小僧っ子水野靖久をイージス艦の舳先にくくりつけて宮城県沖を高速航行したり、金華山にアタックさせたり、あるいは、F1フクシマ・グランプリをヒール・アンド・トゥ、テールスライド、スリップストリーム、セナ足を駆使してボーリングフォーコロンバイン風にコア・リアクター並びにジェネレーター、タービン、ピット及びプールをメルトスルーさせることも不可能ではない。つまり、水野靖久に吾輩の言いたいことはこうだ。

懲戒定食喰ってラインから大外れしたお荷物/窓際カスミガセキシロアリの水野靖久! おまえの自宅住所(別記)、出没エリア、コネクションその他はすべて掌握した。2013年6月14日夕刻からおまえは白報隊のコントロール下にある。白報隊のあまねき威光はおまえの尻の拭き方、Twitterの作法、140文字の内容、箸の上げ下げにまで及ぶ。暴行傷害焼き定食は懲戒定食よりタヒネイタウマだぞ。熟慮せよ。熟考せよ。最善の方策を選択せよ。吐いた唾を飲むことはできない。飛脚屋佐川宣寿モナー(*゜w゜) マイアヒー♪ マイアフー♪ マイアホー♪ マイアハッハー♪

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田中一村の絵を物欲しそうに見ていると、村人のだれもが「欲しけりゃ持ってけえ」と言う。村人1号にあっては「一村の絵はよう燃えるでなあ。焚き木にするにちょうどええ」とまで言った。さらに村人1号は「朝になりゃあ、また新しい一村がクマグス曼荼羅と手をつないで降ってくるだによってなあぞなもしジェジェジェ」と言って村の底なし沼に飛びこんだ。もちろん、「ジェジェジェ」と叫びながら。まったくもって、困った(元レナ/現ノン)あまちゃん村人1号だ。

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問題は、その村の隣り村との境界にはΨとΦとΩとΘが刻まれたロンゴロンゴ・ストーンが結界がわりに敷きつめられていて、田中一村の絵を持ってその結界を越えようとすると、田中義剛に変身変態新宿2丁目ポパイの故ハヤト・ママされてしまうことだ。

いい齢をして塩キャラメルでウバウバするわけにもいかないし、ポパイの急階段を登って急性心不全を起こすのはごめんだし、なにより、純朴偽装は吾輩には金輪際似合わないので、いまだに田中一村の絵を持ち出していない。そのうち、頃合いを見計らって、日本飛行機(日飛)の専務の調教にかまけてルイスウェイン・キャットとカッコーの巣をほったらかしにしているガジンをだまくらかしてその村に派遣し、田中一村の絵を持ってこさせようと思う。ガジンが田中義剛になったところで、吾輩は痛くも痒くも悲しくもないし、沼津漁港魚春の釜めしはうまいし、窯元は丹波篠山の大上さんにかぎるし、世界はたぶん明日も夜明けを待っていることにかわりはない。

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(素直? 笑わせやがらあ。素直に茶色い戦争ありましたとさ。素直に人が山ほど死にましたとさ。素直にメルトダウン→メルトスルー→メルトアウトしましたとさ。素直に放射線被曝しましたとさ。素直に放射線障害を隠蔽しましたとさ。素直に電気料金は総括原価方式でウハウハだとさ。素直に天下りし放題だとさ。素直に忖度斟酌捏造偽造しましたとさ。素直に田中義剛は純朴素朴偽装/半農無能無芸で大もうけしましたとさ。)


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# by enzo_morinari | 2018-05-21 08:47 | 大田中 | Trackback | Comments(5)

一億一千一秒物語#1 フーディーニの椅子

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ハリウッドのマジック・キャッスルのレストランには「フーディーニの部屋」がある。「フーディーニの部屋」で食事をするとフーディーニの霊が現れるという仕掛け部屋になっている。他愛のないアトラクションだが、無類のフーディーニ好きである吾輩にはたまらない。「これが本当だったら」と何度願ったことであるか。そして、吾輩の願いはかなった。

1987年の春の盛り。あれは澁澤龍彥が死ぬ3ヶ月前のことだ。5月9日。澁澤龍彥の誕生日だった。吾輩と澁澤龍彥はハリウッドにいた。澁澤は愛兎のウチャを伴っていた。

「最近、腕立て伏せにハマっててね。1日に100回を朝昼晩の3セット。合計300回。で、わかったんだ。腕立て伏せは自分の肉体を押し上げているのではない。地球を押し下げているんだってね。腕立て伏せは作用反作用の法則をはじめとして、多くの物理法則を実感できるきわめてPhysical Scienceな行為だよ。それだけじゃない。メイクラブのクオリティとエンデュランスも向上する。舌筋と舌骨筋が鍛えられてフランス語の発音がよくなる。さらには、おつむのパフォーマンスがあきらかに上がるしね。先週なんか、ゼロ除算ができたよ。どうだい? すごいだろう?」

膝の上のウチャを撫でながら澁澤龍彥はそう言った。とても上機嫌だった。

さしてうまくもない晩餐が終わり、フーディーニの部屋にティナ・ルイーズの歌う『Tonight is the Night』が小さな音で流れ始めたときだ。部屋中の扉という扉が大きな音をたてて閉じた。「Who din I? Hurry up!」とフーディーニの声がした。吾輩は隣りの澁澤龍彥と顔を見合わせた。

「おまえが座っているのはおれの椅子だ。いますぐどけ」とフーディーニは言った。
「お断りだ。高いカネを払って買った私の席だ」
「どうしてもか?」
「どうしてもだ」
「わかった。ではおまえに呪いをかける」
「おもしろい。かけていただこう。その呪いとやらを」

アマルガムバブルガムカニンガムハニンガムバッキンガムビンガム オウイホンジキュウジキュイジーヌビブリオテカドナスィヤンアルフォーンスフランソワドサドレーオポルトフォンザッハーマゾッホ

フーディーニはぼそぼそと聞きとりにくい声でつぶやいた。

「これでおまえは3ヶ月後に死ぬ。血管を破裂させてな」
「たのしみだね。大いにたのしみだ」

澁澤は胸を張った。それは澁澤龍彥としての矜持の現れでもあっただろう。避けえぬ凶事を知らぬ澁澤の。それから3ヶ月後、澁澤龍彥は本当に死んでしまった。フーディーニの予言どおり、頸動脈を破裂させて。『世紀の魔術師 フーディーニ』を読んでいるさなかだったというが、真偽のほどはわからない。それではあまりにもできすぎているような気もする。

ところで、フーディーニは吾輩にも呪いをかけた。「ついでに」と言って。その呪いの内容は ── 。

おまえは2018年の5月20日の午前3時ちょうどに死ぬ。飼い犬に噛み殺されて。

「2018年の5月20日の午前3時」まで、あと5分だ。すぐうしろでアメリカン・ピット・ブルテリアのダニーボーイが低い唸り声をあげている。

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# by enzo_morinari | 2018-05-20 02:55 | 一億一千一秒物語 | Trackback | Comments(0)

時間とベケットとラマヌジャンとメタモルフォーシス

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ガジンと並んで大きなラピスラズリに腰かけ、きわめて加算的付加的なインド音楽のリズムでサミュエル・ベケットを待っているあいだ、時間は普段よりずっと間延びし、のっぺりとした貌をみせつづけた。

ブリキでできたガラス職人/タマネギ剥き名人のギュンター・グラスと「ベッケンバウアータヒネ」と呪文のようにつぶやくネッシー・ハンターと戦う軍団団長のギュンター・ネッツァーがわれわれに影のように寄り添っていた。

ブリキ製ガラス職人/玉葱剥き名人のギュンター・グラスは悲鳴のような雄叫びで地涌菩薩都市のガラスというガラスを木っ端微塵に破砕し、ブリキの太鼓を叩いてマドホウセ湖の巨大うなぎどもを眩惑した。42屋主人風情を漂わすギュンター・ネッツァーはプーマの42センチの特注ビッグ・サイズのサッカー・シューズと自分の顔をならべて「どっちがデカい? どっちがデカダンス? デカメロン好き? ロートレアモン好き?」と言った。さらには、「プーマは賢人であるわたしにもカンガルー1枚革/踵4本スタッドのキング・ペレとおなじようにオーストリッチ1枚革/踵5本スタッドでカイザー・ネッツァーを作っていただきたいものだ」とも言った。全身アディダスまみれのフランツ・ベッケンバウアー掃除夫が脱臼のために包帯で固定している右腕でカウンター式斧爆弾を炸裂させたのは言うまでもない。リベリーノは自慢のサネブラシを撫でながらビバノンノン杉の陰で卓越した左足をトリッキーに振動させ、わずかにできた世界の空隙に狙いを定めてただ微笑んでいる。狙撃手の眼だ。もう一人の左足の魔術師ウォルフガング・オベラーツはスパイク・シューズのベラをこれみよがしに長くして折り曲げ、ストッキングを足首までずり下ろす荒技に出ていた。ゲルト"爆撃機" ミュラーは視えないゴール前で髪をふり乱し、動物的勘に依拠した振りむきざまを意味もなく繰り返している。ネプチューンを崇拝するあまりプロテウスの怒りを買って象男にされたジョゼフ・メリックは窒息寸前、演芸ホールのザ・リビングに果敢にダイビング・ヘッドを試みた。歴戦の強者である鉄人ブライトナーは類人猿鉄人のサチ・キヌガーサと乳繰りあっている。なんて、鯉する惑星の Be a driver な光景。赤ヘルってくれ。

そのような1970年 FIFA World Cup メキシコ大会的な状況下、私とガジンの前をジョージ・ハリスン御用達のラヴィ・シャンカール色のタクシーがひっきりになしに通りすぎた。ガジンは私が制するのも聞かずにジョージ・ハリスン御用達のラヴィ・シャンカール色のタクシーのナンバーからシタールの付帯したラマヌジャン・タクシー数1729を91個みつけた。

「悪魔が来ちゃうじゃないか」と私はガジンに言った。
「あんたが悪魔だろう?」
「なんだ。知ってたのか」
「そりゃね。知らなきゃ、伊達や酔狂で酷寒のミル・プラトーの頂上で2年もデジタル・べジタリアンとしてデジタル・デバイド・バイトの日々を引き受けたりしない」

そのうち、「間の山」のほうから『浜辺のアインシュタイン』と『屋根の上の1000台の飛行機』と『水素のジュークボックス』と『めぐりあう時間たち』と『メタモルフォーシス』が聴こえてきた。

「もう一日待とう。明日、ベケットがこなければ首を吊ろう」

私が言ってもガジンはもはや私の言葉を理解できない怪物に変身していた。フィリップ・グラスの『メタモルフォーシス』の作品5が終わると同時にガジンは蒼穹に向かって急上昇し、小さな点になり、消えてしまった。「明日、ベケットがこなければ首を吊ろう」と思った。

「いやなことばかりじゃない」とギュンター・ネッツァーが声をかけてきた。その大きな口からはベルティ・フォクツが顔をのぞかせ、「ボルシアMGからコンニチハ」と出歯亀づらでほざいたのには腰が抜けるほどラマヌジャンだった。ベルティ・フォクツの出歯亀づらはジャイアント馬場の16文キック、メルシボク魔法を使って世界を煙に巻いて誑かすツソボ天井桟敷を根城とする車椅子性悪阿漕魔女ババア62歳の心にもない醜悪おぞましい感謝の言葉(寝言たわ言)、木っ端役人/カスミガセキシロアリの謝罪反省の言葉と国会答弁、寝取り屋ユコー・アソドーが匕デキ力ソゲキ・オデキマソサイの突然死のときにこれみよがしにみせた涙くらい嘘くさかった。ついでにお口もクサかった。クサーマ・ヤヨーイの反ねじ式反縄文式怒気ゲジーツ作品くらいクサかった。水玉/ドットで喰いやぶれるほど世界はヤワではないし、甘っちょろくできあがっていない。

Philip Glass: Metamorphosis


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# by enzo_morinari | 2018-05-19 01:22 | ディラックの海の青いほとりで | Trackback | Comments(0)