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ボニー・バンクスへの手紙

 
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 最後にローモンド湖の畔で別れてから何年だ? 30年? もっとかい? もっとも、10年過ぎたら、あとはもう何年経とうがおなじこったがな。だが、ボニー・バンクスよ。おれはあの日、おまえと別れてからこっち、ただのひとときもおまえを忘れたことはないぜ。たとえ100年が1000年でも変わらない。
 あの日、短い別れの言葉を告げ合い、再会を誓ったあと、おまえは上の道をゆき、おれは下の道をいった。それっきり、おたがいの消息はわからないままだ。おれはおまえと別れて三日目の朝、敵の急襲を受けて片眼を失ったが、なんとか生き延びた。おまえはどうだったんだ? 向こう見ずなおまえのことだ。どうせ生き延びたりはできなかったんだろうぜ。要領よく、計算高い奴だけが生き延び、おまえのような純粋無垢のあかむけが早死にする。おれはすばしこく立ちまわって生きながらえた。

 ボニー・バンクスよ。「いい奴は死んだ奴だ。」というのがおまえの口癖だったな。そして、おまえさんは、きっとその言葉通りに死んだんだ。だから、ボニー・バンクスよ、おまえは永遠にいい奴だ。おまえのことを悪く言う奴は、このおれ様がゆるさない。
 さて、ボニー・バンクスよ。そろそろ日も暮れてきた。おれの人生はとっくに夕暮れをすぎ、真夜中のど真ん中だ。近いうちにローモンド湖の畔で再会の祝杯をあげよう。そして、時さえ忘れて『ローモンドの湖』を歌おう。

 友よ。ボニー・バンクスよ。われらがローモンドはいまも美しい。永遠に美しい。


 Loch Lomond
 
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by enzo_morinari | 2013-10-06 18:13 | Study to be Quiet | Trackback