カテゴリ:愚か者クラブ( 2 )

愚か者クラブ#2 俺たちに明日はないが明日に向かって撃て

 
c0109850_7524381.jpg


狼は生きろ。豚は死ね。T-A
人生はすべてこれ劇場なり。Y-K
人間は契約によってのみ拘束される。Y-K
人間の性は、本来、傲慢、卑劣、邪悪、矛盾であるが故に、私は人間を根本的に信用しない。Y-K


『俺たちに明日はない』をみてボニーとクライドの存在を知り、その疾走する日々と死を知ったとき、25歳までに死ななければならぬと決めた。10歳だった。長じて、ジョン・キーツやクリフォード・ブラウンやスコット・ラファロが25歳で死んだことを知るにつけ、「25歳終了」はさらに揺るぎないものとなっていった。

「光クラブ事件」の山崎晃嗣を知るや、山崎晃嗣は吾輩のアイドルとなり、「終了期限」を山崎晃嗣が服毒自殺したとおなじ「27歳」へと軌道修正した。ジミ・ヘンドリックスやジャニス・ジョプリンが所属する「27 CLUB(27歳クラブ/愚か者クラブ)」の存在を知り、「27歳終了」は確信へと変わった。しかし、それはある意味では「戦略的撤退」だった。日和見主義的でさえあると思える。山崎晃嗣の「遺書」を座右の銘とし、和紙に筆で書き取っていつも懐に忍ばせていた。

御注意、検視前に死體に手をふれぬこと。法の規定するところなれば、京橋警察署にただちに通知し、検視後、法に基き解剖すべし。死因は毒物。青酸カリ(と称し入手したるものなれど、渡したる者が本當のことを言ったかどうかは確かめられし)。死體はモルモットと共に焼却すべし。灰と骨は肥料として農家に賣却すること(そこから生えた木が金のなる木か、金を吸う木なら結構)

望みつつ心安けし散るもみじ理知の命のしるしありけり

出資者諸兄へ、陰徳あれば陽報あり、隠匿なければ死亡あり。お疑いあればアブハチとらずの無謀かな。高利貸冷たいものと聞きしかど死体さわればナル……氷カシ(貸─自殺して仮死にあらざる証依而如件 よってくだんのごとし)。

貸借法すべて清算カリ自殺。晃嗣。午後一一時四八分五五秒呑む、午後一一時四九分……


しかし、実際には、臆病にも、あるいは情けないことに、25歳の誕生日は家族とともに、笑い声とともに過ぎ、27歳の誕生日には合計3人の女の子の父親になっていた。驚くべきことに、そして、信じがたいことに「小動物にすぎぬ」と思っていた娘どもがかわいくて仕方なかった。かわいいと感じている自分が恥ずかしかった。それどころか憎くさえあった。このようにして、吾輩の「青の時代」は終りを告げた。「青の時代」のあとにつづく「泡の時代」がすぐそこまで迫っていた。

「泡の時代」に経験した享楽と愉悦は吾輩を骨抜きにすると同時に弛緩した日々をもたらすこととなった。吾輩はまぎれもなく堕落した。「泡の時代」の終焉とともに命運は尽きたかと思ったが、間延びして表情のないのっぺりとした日々が吾輩を待ち構えていた。気がつけば吾輩は30歳をとうに過ぎ、終了しそびれてしまった。仕方なく、そして、なしくずしに、終了期限を三島由紀夫が死んだ「45歳」まで延長した。しかし、それは「戦略的撤退」どころか敗北を意味することに吾輩は薄々気づいていた。

吾輩は今日までにいくつもの戦略的撤退と勝利と敗北と「酷寒のミル・プラトー」を経験した。それであってもなお、吾輩のスローガンは「俺たちに明日はない」と「明日に向かって撃て」だ。

c0109850_7531146.jpg

 
[PR]
by enzo_morinari | 2013-06-25 07:53 | 愚か者クラブ | Trackback

愚か者クラブ#1 序・愚かさが美しいのは27歳までである。

 
c0109850_1552621.jpg

 
錆びついて腐るより、燃えつきるほうがましだ。 K-C


山崎晃嗣(1922年10月 - 1949年11月24日)
東京大学法学部の学生時、のちに「光クラブ事件」といわれる金融事件を起こす。山崎晃嗣は当該事件の首謀者であり、本事件は戦後アプレゲール犯罪の嚆矢となった。当局による強制捜査後間もなく、山崎晃嗣は青酸系化合物を用いて服毒自殺。遺書で「貸借法すべて清算カリ自殺」なる言を遺す。三島由紀夫『青の時代』/高木彬光『白昼の死角』ほかのモデル。

2Pac/2パック(1971年6 月16日 - 1996年9月13日)
アメリカ合衆国のヒップホップ・アーチスト。対立するグループが放ったヒットマンに射殺される。

The Notorious B.I.G./ノトーリアスB.I.G.(1972年5月21日 - 1997年3月9日)
アメリカ合衆国のヒップホップ・アーチスト。対立するグループが放ったヒットマンに射殺される。

北村透谷(1868年12月29日 - 1894年5月16日)
詩人。評論家。自殺。

John Keats/ジョン・キーツ(1795年10月31日 - 1821年2月23日)
イギリスの詩人。自殺。

風戸裕(1949年3月13日 - 1974年6月2日)
レーシング・ドライバー。1974年に富士スピードウェイで事故死。

福澤幸雄(1943年6月18日 - 1969年2月12日)
レーシング・ドライバー。福沢諭吉の曾孫。1969年、静岡県袋井市のヤマハテストコースでのテスト走行中に事故死。

若井伸之(1967年7月25日 - 1993年5月1日)
オートバイ・レーサー。1993年にロードレース世界選手権の予選中、コンクリート・ウォールに激突して事故死。

千島武司(1952年 - 1977年12月16日)
地方競馬の騎手。1970年代に道営競馬でリーディング5回を記録するなど一時代を築いた天才騎手。調教中に馬に蹴られて死去。

Clifford Brown/クリフォード・ブラウン(1930年10月30日 - 1956年6月26日)
ハード・バップ初期に活躍したジャズ・トランペット奏者。バド・パウエルの弟のリッチー・パウエルとともに交通事故死。

Scott LaFaro/スコット・ラファロ(1936年4月3日 - 1961年7月6日)
ベース奏者。ビル・エヴァンス・トリオのメンバー。交通事故死。

Bonnie and Clyde/ボニーとクライド(Bonnie Parker/ボニー・パーカー1910年10月1日 - 1934年5月23日。Clyde Barrow/クライド・バロウ1909年3月24日 - 1934年5月23日)
アメリカの銀行強盗カップル。1930年代のアメリカで強盗を繰り返してアンチヒーロー的存在となる。待ち伏せしていた警察官らとの激しい銃撃戦のさなかに死亡。映画の『俺たちに明日はない』で、二人の自由奔放な日々をみることができる。

森田必勝(1945年7月25日 - 1970年11月25日)
政治活動家。楯の会会員。1970年11月25日、自衛隊市ヶ谷駐屯地総監室において三島由紀夫とともに割腹自決(東京事変)。

Brian Jones/ブライアン・ジョーンズ(1942年2月28日 - 1969年7月3日)
ローリング・ストーンズの元リーダー。ギタリスト。薬物の過剰摂取により死亡。

Jimi Hendrix/ジミ・ヘンドリックス(1942年11月27日 - 1970年9月18日)
ギタリスト。ソングライター。薬物の過剰摂取により死亡。

Janis Joplin/ジャニス・ジョプリン(1943年1月19日 - 1970年10月4日)
シンガー・ソングライター。薬物の過剰摂取により死亡。

Jim Morrison/ジム・モリソン(1943年12月8日 - 1971年7月3日)
ドアーズのヴォーカル。ソングライター。薬物の過剰摂取により死亡。

Kurt Cobain/カート・コバーン(1967年2月20日 - 1994年4月5日)
自殺。「Nirvana」の創設メンバー。リード・ヴォーカル。ギタリスト。ソングライター。

Robert Johnson/ロバート・ジョンソン(1911年5月8日 - 1938年8月16日)
ブルース歌手。わずか29曲の作品は多くの著名なミュージシャンに影響を与えつづけている。「毒殺説」「刺殺説」「病死説」あり。

Jean-Michel Basquiat/ジャン=ミシェル・バスキア(1960年12月22日 - 1988年8月12日)
画家。薬物の過剰摂取により死亡。

Amy Winehouse/エイミー・ワインハウス(1983年9月14日 - 2011年7月23日)
シンガー・ソング・ライター。アルコールの過剰摂取によるアルコール中毒死。
 
[PR]
by enzo_morinari | 2013-06-25 01:55 | 愚か者クラブ | Trackback