カテゴリ:死の影のベッド、彼の最期の言葉( 1 )

死の影のベッド、彼の最期の言葉#1 南方熊楠

 
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 On His Deathbed, His Dying Words.

 南方熊楠、死の間際。愈々、テンギャン・クマグス先生の往生が差し迫っていることを見てとった家人が医者を呼ぼうとすると、クマグス先生、断固として「医者はいらん」と断り、「天井に美しい楝(おうち)の花が咲いている。医者が来るとその花が消えてしまうから呼ばないでくれ。縁の下に白い小鳥が死んでいるから、朝になったら葬ってやってくれ」と不可解なことをつぶやいた。1941年(昭和16年)12月29日、大巨星大天狗墜つ。74歳。

 翌朝、クマグス先生の家人が縁の下を調べると、確かに「白い小鳥」の死骸があった。「白い小鳥」がいったい何鳥であったのかは詳らかではない。また、クマグス先生が飼っていた亀は2000年頃まで生きた。100歳を超える長寿だった。カメグスの餌、主食が明治キャラメルの空箱に棲息する粘菌だったというのは吾輩の妄想にすぎない。クマグス先生が生きておれば146歳か。生きておったら、そして、300歳くらいまで生きるほど元気矍鑠としていたら、世界は今の100倍ほども面白く愉快になっていただろうな。とっとと死んで消えてなくなっちまえばいいようなポンコツボンクラヘッポコスカタンがいけしゃあしゃあのうのうと寝穢く生きつづけているというのに。残念でならない。まったくもって残念でならない。
 
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by enzo_morinari | 2013-06-13 20:45 | 死の影のベッド、彼の最期の言葉 | Trackback