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恐竜の中の島々#1

 
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 臓器移植法の改正を受け、2010年1月17日の午前零時からひたすら五臓六腑世界のすべての肉を喰いつくしてきたアキラ・パンクレアスは、ヘミングウェイザウルスの膵臓の、とりわけ巨大なランゲルハンス島のユーコの渚に立ちつくし、白い京都の鯉の薄暮色をした背びれに降りかかる雨の慕情に濡れながら、借りてきた猿島新港を出航したときに目にした幻惑の光景を思い起こしていた。
「夢だ。幻だ。忘れ去られ、沈黙する臓器だ。この世界のすべては」
 口に出したところで事態のなにが変わるわけでもない。ヘミングウェイザウルスの膵臓のランゲルハンス島のヨーコの渚ではインスリン潮とグルカゴン潮が鬩ぎあい、激突しながらプランホルモンクトンの増殖に一役買っているだけである。アキラ・パンクレアスは「スピルバーグ・ハンバーグを齧りながら、『激突するジョーズの未来への帰還リスト』が観たい」と強く思ったらしいよ、らしいよ。「餅五個」のほうがよほどIPPONだと思うのはネプチューン・ホリケンあるいはロバーツ・アキヤマくらいのものだろうか?

 遡ることメッセージ・イン・ア・ボトル週間前。
『黄帝内経』が『霊枢』九巻と『素問』九巻、計十八巻揃いで858年ぶりに改訂され、『黄帝内経ジャスト・ギンザナウ』として電子書籍のかたちでパブリッシングされた。パクリッシング太平天国の乱におけるヒットエンドラン戦法によって戦国の御代を統一したねるとん紅鯨帝国で海賊版がつくられ、即座に出回ったのは言うまでもない。
 先覚諸島視察中に前後不覚に陥った週一金瓶梅皇帝の元にも『黄帝内経ジャスト・ギンザナウ』のVer1.1.1が献呈された。朦朧困憊の週一金瓶梅皇帝には、早速に『黄帝内経ジャスト・ギンザナウ』四巻中の「未病」及び陰陽五行説による対症法が施されたが、薬石効なく、週一金瓶梅皇帝はおっ死んでしまった。まことに全人代(全宇宙人民代貸大会)恐るべしである。「長征ここに終わるべし」とのモーツォートン爺さんの余弦定理に基づく予言が現実のものとなったのだ。これにはコーセー・ケショーヒン(斌斌彬彬)を筆頭とする「4人グループ」が影で暗躍していたとの流言がまことしやかに巷間に伝わった。この事態には、「巧言令色鮮なし仁義なき戦い」を旨として生きてきたアキラ・パンクレアスをして深き絶望の淵へと追いやることとなった。アキラ・パンクレアスは「恐竜の中の島々」へ向けて無謀な航海に船出した。その旅の困難に比べればガジン・シンドロームによってもたらされるパンデミックなど取るに足らないものと言わなければならない。

 ガジンよ! わが友よ! いつまで沈黙をつづける気だ! そんなことでは「忘れられた臓器」「沈黙する臓器」としてパンクレアス・リバーに流されてしまうぞ!
 
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by enzo_morinari | 2013-06-13 09:23 | 恐竜の中の島々 | Trackback