カテゴリ:多次元ビブリオテカ( 5 )

多次元ビブリオテカ#5 ゴンザレス南とチチリアーノ西の読書に関する質問に答える。

 
c0109850_9314832.jpg

 
 世界中のすべての表現は疾走しろ! E-M-M
 世界中のすべてのテクストを解体しろ! E-M-M


 いまこの時間、ゴンザレス南とチチリアーノ西の放課後前の音楽室における早すぎ短すぎる昼食につきあうのは月曜の朝の決まり事となっているが、食後、二人そろってろくでもないこと、どうでもいいようなこと、日飛ハーフのクミちゃん調教中のガジンの午前2時なこと、マーチャノワの指先なこと、心的現象と共同幻想と真言とは甚だしくかけ離れたことを質問してくるのでほとほとピーター・ガブリエル&ブライアン・イーノ&ジェームス・ブラッド・ウルマーな吾輩である。
 本日の放課後の音楽室における短すぎる昼食のメイン・ディッシュである玄界灘産8kg真鯛のカルパッチョに紛れ込んでいたゴンベッサことシーラカンスの意志強固な小骨が下顎左路側帯第一臼歯と第二臼歯のあいだに挟まっているのをシーハーシーハーときどきヒーハー(ブラマヨ小杉系)しているときにゴンザレス南とチチリアーノ西は同時に尋ねてきた。
「普段はどんなような書物、テクスト、ビブリオテカ、メエルストローム、1.0×10のマイナス10乗メートル、南方郵便船、あらかじめ失われた庭、眺めのいいヘアドライヤー、彼女の午後の最後の妄想ベンチ、概念ペンチ、流行通行トリコモナス、ハルキンボ・ムラカーミ追悼文をアレアレモーモー偶蹄目しているアレですか?」
「非常にいい質問であると同時に2ちゃんニシムーラ・ヒロユーキのアヌースに物凄い勢いで突撃してしまいたくなるような憎悪と憤怒をも醸成させるアレだけれども、簡潔明瞭に答える」
「是非に是非におながいします」
「おながいしますって言った? 今」
「はい」
「橇は尾長鶏となにやらカンケーしてるアレなわけ?」
「その通りです! まったくその通りですよ! エンゾ先生!」
「やっぱりな。やっぱり、きみたちも尾長鶏の朝のアレにアレされていたわけか ── 。残念だ。非常に十倍返しで残念だ。マニラの工場にかっ飛びたくなるくらいに、ビル・エヴァンスとマイルス・デイヴィスが憑依したメイ井上こと井上銘の弾く『Blue in Green』のように魂に突き刺さり、蕩けさせ、おまけにメイ牛山ハリウッド化粧品詰め合わせ詰め放題を東京ドーム一杯分押しつけられるくらいに脱力だ」

c0109850_11165841.jpg

「わけがわからないですけどもが、いい感じですけどが、読書、テクスト、その他に関してのお答えを早いところお願い申しますけどが」
「うん。わかった。吾輩はいまや読書をまったくしない。テクストも読まない。吾輩が文字言語に接するスタイルは”単語拾い”といったようなターム、フェーズで行われている。早い話が世界、言語、イディオム、パラグラフ、センテンス、テクスト、人間に対して吾輩はドミナント戦略を展開し、完全五度、P5(Perfect 5th)、V度の和音としてこれらを文体化しているというわけだ。その具体例がこれだ」
 吾輩は最新にして最深の吾輩文体化をゴンザレス南とチチリアーノ西の鼻っつらに突きつけてやった。それがこれだ。

c0109850_1701270.jpg

 
[PR]
by enzo_morinari | 2013-08-13 06:26 | 多次元ビブリオテカ | Trackback

多次元ビブリオテカ#4 ガングリオン事態に見舞われた吾輩の右の人差し指にはグルジア系の顔が生えている。

 
c0109850_1754149.jpg

 
1人も殺さなかったらコメディ作家。1人殺したらサスペンス作家。5人殺したらミステリ作家。10人殺したらホラー作者。100人殺したらバイオレンス作家。1000人殺したらファンタジー作家。10000人殺したら歴史作家。人類を絶滅させたらSF作家。 NA-NA-ON-Twitter


007 表現者は表現の王国の王である。殺戮も冷酷非情も慈悲の雨も思うがままだ。表現の王国においてはなんらの慮りも遠慮も気兼ねも不要である。そうでないなら、表現する意味も価値もない。「身辺雑記」とライフスタイル自慢、暮らし自慢、センス自慢、仲良しごっこ、甘っちょろい認知欲求、親和欲求の類いは町内の老人クラブかゲートボール場ででもやるがいい。ただし、公的年金をすべて返上してからだ。そして、誰もいなくなったら灰色の脳細胞、エルキュール・ポワロの登場だ。後始末はアガサ・クリスティがやる。かくして、「女より軽いのは羽根。羽根より軽いのは空気。空気より軽いのは無」の極意がわかれば文豪。

c0109850_18285632.jpg

 
[PR]
by enzo_morinari | 2013-05-27 17:55 | 多次元ビブリオテカ | Trackback

多次元ビブリオテカ#3

 
c0109850_373968.jpg
c0109850_381783.jpg

005 語りつくせぬことについて沈黙するかぎりにおいて、沈黙は金である。「語ること」と「語られること」のあいだには、いかなる冒険者であろうとも征服しえない深い闇が広がっていて、その闇に光をあて、暴きだし、あらわにすることが言葉の祖国に帰還するためには必要だ。その意味において、"沈黙は金、饒舌は銀" なる言葉は語ることができない者の免罪符にすぎない。彼らは永遠に言葉の祖国には帰れない。語れ。まず、語れ。なにより自ら獲得した言葉で語れ。沈黙の話はそれからである。

c0109850_392829.jpg
c0109850_394090.jpg

006 誰も知ることのない「秘密の入江」で、風に吹かれ、風の歌に耳を傾け、RARE HAWAIIANのオーガニック・ホワイトハニーをたっぷりとかけた悪魔のフォルマッジオ、カッチョ・マルチョを肴にエコール・ノルマル・シューペリウールの1958年を飲み、アルチュール・ランヴォのいくつかの詩編を諳誦し、風向きにあわせてモーツァルトの『狩り』を口ずさみ、仕上げに極上の自家製贅沢オムレット・ライスを食す。これ以上を望むのは世界への宣戦布告である。

c0109850_3101195.jpg
c0109850_3152444.jpg

 
[PR]
by enzo_morinari | 2013-04-28 03:10 | 多次元ビブリオテカ | Trackback

多次元ビブリオテカ#2

 
c0109850_23245811.jpg

ひょんなことから手に入れた人生の日々が、日ごと消滅すべき新しい理由を提示してくれるとはなんと素晴らしいことであるか。E.M.C.

私が夥しいほどのテクストを読むのは自分の孤独よりも遥かに深く重い孤独にいつの日か出会えるのではないかと期待しているからだ。 E.M.C.

存在を続行するか。あるいは、存在を打ち切るか。お生憎様。どちらも御免蒙る。 E.M.C.

c0109850_23262853.jpg

001「方法的懐疑」というシロモノが吾輩は大嫌いである。もちろん、世界のすべてを疑いたいのだが、その面倒なお遊びは気が向いたときだけにしてもらいたいものだ。

002 アテナイという町は地獄だったろう。あんなちっぽけなところに世界の根本的な問題について激しく対立する人間があれほど多く集まり、おたがいに知り合いで、朝から晩までのべつ幕なしに議論し、喧嘩しなければならなかったのだから。吾輩ならさっさと荷物をまとめてサントリーニ島に永久バカンスに出かけて二度と戻らない。

003 民衆/大衆なる言葉を皮肉、嘲笑、反語を交えずに使う者はそれだけで愚者認定だ。民衆/大衆がどのような運命を辿るかはわかりきっているではないか! 歴史の気まぐれで残酷で容赦ない軛に苦しみつつ耐えること、自分たちを圧し潰す圧政に賛同し、媚び諂うことが民衆/大衆が生まれながらに持つ逃れようのない宿命である。

004 吾輩が世界の中でのたうちまわっているのではない。世界が吾輩の手のひらの上で手足をばたばたさせているだけのことだ。
 
[PR]
by enzo_morinari | 2013-04-27 23:26 | 多次元ビブリオテカ | Trackback

「三枝点」をめぐるいくつかの視点#1

 
c0109850_6513441.jpg


イラッシャーイ。宇宙人生構造力学上、もっとも重要な概念である「三枝点(SAEGUSA FULCRUM POINT, SAEGUSA SUPPORT POINT)」について述べる。「三枝点」は次の3点からなる。

1. 新たな自分への旅が、その刹那に始まる地点
2. 新たな世界への扉が、その刹那に開かれる地点
3. 新たな宇宙への時間が、その刹那に動き出す地点


三枝点について論及する前に、われわれは時間についての問題を共有することから始めなければならない。「時間は垂直に積み重なるのか。水平に連なり進むのか」というヘラクレイトス以来未解決の問題の前でわれわれは1指パッチンに65刹那の身悶えをする。このとき、われわれは「垂直に積み重ねられたはずの過去がワンクリックですべて水平に並列に現象化すること」を経験する。そして、次の声を聴くこととなる。

「そう、あのテラス席は確かにけやき坂だった。そして、レナウン・イエイエガールの祝福の吐息はマセラティ5台とフェラーリ3台よりも大きな富と悲しみを与えてくれるのよ。」

この声の主はだれか? 声の主はさらにつづける。

「そういえば、ガーデンプレイスで拾ったタクシーの運転手さんは、都内で一番、麻布十番界隈が嫌いだって毒づいてたわ。一通も多いし道は狭いし、なによりも今はなき旧地名の坂! 地図で探せない坂ばかりを行き先で告げられる!って。あなたは階段の坂の下のカフェでカプチーノなんて、ありきたりでバカみたいって思うでしょうけど、やっぱり傾く午後の陽射しは気持ちよくて、相手と半分こしたはずのケーキは、わたしの方が多く食べちゃって、やっぱりこんなのバカみたいって思うけど、そう思うことがバカみたいでバカみたいなのはわたしだと、ようやく観念してみたりするのよ。わかる?」
「わかるよ。」

だれだ? 「わかるよ。」と言ったのは。ダイアローグはつづく。

「なんだか、真夏の夜の夢みたいね。垂直に積み重ねられたはずの過去がワンクリックですべて水平に並列だなんて。」
「垂直に積み重ねられたはずの過去がワンクリックですべて水平に並列な件については、海南鶏飯食堂のウッドデッキでシュレディンガーの猫を膝にのせて撫でながら、六本木高校の壁の野郎、おもいっきり迫ってきやがるぜ! 小西! ガチャピン! 借景のつもりだろうが、そうは問屋制家内手工業だぞ! マッキャン・エリクソンに言いつけちゃうからな! と純粋理性の二律背反することでほぼ解決するらしいよ。らしいよ。」
「ふと思うのよ。そもそも時間というのは垂直に積み重なるのか、はたまた水平に連なり進むものなのか? って。やっぱり飼うなら、アビシニアンでもアメショーでもなく、シュレディンガー・キャットにかぎるわね。それともなければ、チェシャ猫。六本木高校の壁の上に、最後まで笑い声を残して消えていくの。ねえ、世界はこんなことでいいのかな?」
「いいんだよ。これでいいんだ。いつか、きっとどこかにたどり着ける。円環はまちがいなく閉じられる。だから、われわれは悠々として急がなくちゃならない。いいね?」
「うん。Festina Lente! ね!」
「そうだとも!」

c0109850_3442149.jpg

たとえば、検非違使忠明が障子に映った下女の影に怯えて押し入れの中に隠れちゃう。そんで、奴はぶるぶる震えつづける。1回震えるごとに「1ぶっさり」徴収するとして、10回震えたら10ぶっさり。このあたりは「ローマはなぜ滅んだか?」を因数分解するセットで習ったよね。X軸Y軸Z軸それぞれに「縁」がまとわりついているわけだから、もうひとつの軸は当然にLA VIE EN ROSEでなきゃならない。ということはつまり、21時57分にドイツ軍兵士が真空管ラジオに齧りついたのだってまんざら理解できないこともないし、「パリは燃えているか?」ってロンメルに直電したアドルフの気持ちもいくぶんかは汲んでやらなくちゃならない。そうすれば、午後のお茶の会だっても、きっと豊饒と親和と神話に満たされるはずさ!

と、ここまで私は自動書記したわけだけども、これこそが、イマ・ココの時間の連なり、換言すれば「遅延」「差異」の集積になるわけです。本来、ないはずの「時間」を現前化させる作業がディスクールすることにほかならないと言える。ブランショもデリダも言ってるんだから、まちがいない。エコール・ノルマル・シューペリウールの68年で乾杯するに値するくらい美しく危うく妖しい結論だ。だが、問いはまたすぐに産声をあげる。

ゆるいカーブを描いて並べられたドミノのように、教師の授業なんか耳に入らない学生が描いた教科書の片隅のパラパラ漫画のように、世界はまだ存さぬ、しかし確かな将来と延びた軌跡をなぞるものだなんて、そんなアフォーダンスまがいは神経症の学者の夢だった。

「指をパチンとはじいた一瞬に、刹那は65コも詰まっている。まだ見ぬ大陸の葡萄畑の午後、吹き渡る黄金色の風は豊穣そのもの。そしてオーパス・ワンのテイスティングは25$/1グラス」

声の主、夏服を着た女はクレープデシンのワンピースの裾を66涅槃寂静のあいだ摘んだあと、67無量大数分のため息をついた。

「ちがう。初めていっしょに観た映画は『グレート・ギャツビー』なんかじゃない。あの人はいつも肝心なところでまちがえる。」

夏服を着た女のまわりで淡い紫色の雲が踊りはじめる。夏服を着た女は思う。「人間」が打ち寄せる波によって消し去られて以降、都市には記号と仮説が溢れはじめた。いわく、おセレブさん。いわく、イケメンくん。いわく、ヒルズ族。いわく、ヤマンバ・ギャル。だけど、彼らのいずれもが「孤独の人」の住まう、中心が空虚なドーナツ・シティで踊っていることに気づいていない。だから彼らはイカさない。だから彼らは異化しない。他個どもに囲まれて蛸踊りに興じるだけだ。かくして、イカとタコの階級闘争は永遠につづく。

「それにしても、あの人はいったいいつになったら”本当のこと”を教えてくれるんだろう?」

夏服を着た女はコケモモのジュレをスプーンで掬いながら思う。

「どうでもいいことはいっぱい教えてくれたのに。」

夏服を着た女のまわりで踊っていた淡い紫色の雲が群青色に変わった。ブルカニロ博士がタリーズ麻布十番店のオープン・カフェの階段でつまずき、通りを挟んで向かいにある薬局のぽっちゃり女はサプリメントの陳列に余念がない。榛色のグレート・デーンを連れたタトゥー女は今日も不機嫌である。

c0109850_3444179.jpg

 
[PR]
by enzo_morinari | 2013-04-25 03:45 | 多次元ビブリオテカ | Trackback