カテゴリ:「千と千尋の神隠し」に遭う( 2 )

ジビエなジブリがいっぱいの春

 
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 ジビエなジブリがいっぱいの春とクマのカントリーロードごはんとアキない居酒屋キュイジーヌ

 人生の「横浜の銀狐のメリーさん、とっととゴーゴー&ラウンド黄金町スウェーデンして!」に翻弄されるとなりのトトロとときには昔の話をしようと決めたある晴れた日の散歩の帰り、崖の上のポニョめがけて空から降ってきた少女が教えてくれた風の通り道を海の見える街行きの猫バスが走り、風の伝説を伝えるテルーがあの夏へいつも何度でも帰ってゆくのをそのたびに見届けて、カントリーロードからやってきたアシタカとアリエッティの痛みと言葉を思いだしながら「世界の約束」を思う春の宵、君は僕に「愛は花、君はその種子。」とだけ告げて、青き異国の衣を着た者とともに世界の扉をひらき、金色の野を探す旅へと出発した。紅の豚ことマルコメXはなにを思ったか「おかーさーん。」と叫び、耳をすませば、その横では口のまわりを血だらけにしたもののけ姫が聞いてもいないのに「人間はきらいだ」と吐き捨て、僕が「ブランドちがうから。百億が一億になっても滅びではない」とたしなめるのも聞かずに「春野菜と世界の果ての和え物」を作り始め、ついには大宴会料理と見まごうほどのキュイジーヌを誂え、アドリア海の自由と放埒の海へ帰っていき、また僕はひとりぼっち。仕方ないので僕は「飛ばない豚はただの豚だ。カッコイイとはこういうことさ。人生はあんたが考えているより少しばかり複雑にできている」とつぶやきながらマルコメXのキュイジーヌを平らげた。おかげで尿酸値急上昇、社会的評価は急降下。思い出はいつだってぽろぽろのぼろぼろだが得意技は急降下爆撃だ。南麻布の今井美樹だって禿同だ。世界がやさしさに包まれたなら腹ごなしはもっといいのだが。さらに言うならば、コクリコ坂の登り下りダッシュ100本に耐えかねたココリコ遠藤のヘタレぶりについては安田成美の歌唱問題評論家である沼正三氏がその著『家畜人ヤプー』の序文において徹底的に論じているわけだが、沼氏の誤謬はココリコ遠藤にあっては「人的抗弁の切断」が適用されないという特約条項の存在を失念していることである。高等文官試験を突破した生え抜きの家畜人ともあろう者がお笑いぐさだ。そんなことでラピュタに乗ろうなんざあパズーのファルス攻撃によって春の盛りのハウルの動く城まで吹き飛ばされて火垂るの墓の墓守節子婆に顔向けができまい。東京地裁刑事23部において手加減なし容赦なしの訴訟指揮によって空賊たちを断罪しまくった沼正三氏に対してマンマユート団だって黙ってはいない。もちろん、マダム・ジーナもアドリア海の名誉にかけて徹底的に沼氏の過ちを糾弾してくるはずである。「ファルス。」のひと言でかたがつくなどと高をくくっている場合ではない。さて、おおいに喰い、飲み、愉しむことにしよう。アレ・キュイジーヌ!

 クマのカントリーロードごはん
「竹の子入り自家製とっから味噌のおむすび」
「クスクスを使った蓮根と鯛の変わりもちもち揚げ」
「塩麹でつくるふっくらアジの一夜干し」
「自家製の梅ネギ塩でいただく炙りマグロのサラダ」
「心が風邪をひいた日と疲れた日の夜のおつとめに効く鯖の野菜たっぷりケチャップ・ソテー」
「八丁味噌と梅酒を使った牛ほほ肉の和風ビーフシチュー」
「10分で完成するマグロとニラの本格ピリ辛ユッケ」
「15分で完成する洋風麹だれで和えるコゴミと新玉ねぎの春の美肌サラダ」
「お手軽アンチエイジング 木の実とドライフルーツのハチミツ漬け」
「カツオのたたきで作る菜の花と薬味の変わり手こね寿司」
「ジューシーさバッチリ♪ 手羽中スペシャルから揚げ3種盛り(醤油唐辛子・ニンニク胡椒・塩山椒)」

 アキない居酒屋キュイジーヌ
「いわきのサンシャインとまと&ブリカマで絶品イタリア~ン」
「たっぷりのトマト餡をかけていただく鱒と山ウドの磯辺揚げ」
「烏賊と大根の甘辛炒め煮と蕗とシメジとお揚げの甘辛炒め煮」
「熟成黒ニンニクでパワーUP! 蕗の薹味噌でいただく豚ロースとキャベツのミルフィーユ蒸し」
「ちょっとモダンな酒の肴 グリーンオリーブ入りの牡蠣とアスパラの昆布〆」
「季節のおつまみ 竹の子とセリの磯辺天ぷら笹塩とレモン添え」
「季節のおつまみ 竹の子の豚バラ肉スパイラル・ソテー餡かけ」
「絶品! お酒のおつまみ 金目鯛と竹の子と山ウドで季節の炊き合わせ」

 虹のコヨーテの歌う犬どものための弦楽四重奏クッチーナ
「冬眠を忘れた熊のジビエ あっと驚くタメゴロー・ソースで」
「苦悩するビーバー・カモノハシのスウィート&ビターな夜のために」
「呪われたアルマジロのピカピカ光る甲羅の塩竈」
「黄金のカエルのトトロトトロ蒸し 真っ黒クロスケ仕立て」
「ヨイトマケ白鳥カウンタテナーの丸焼き モロの”黙れ! 小僧! おまえにあの娘を救えるのか!”風」
「樽犬のタルティーヌ(ドルチェ&ガッバーナ)」

 スペシャリテ1/宇宙における地球の位置
地球 → 太陽系 → 局所恒星間雲 → 光世紀世界 → 局所泡 → グールド・ベルト → オリオン腕 → 銀河系 → 銀河系の伴銀河 → 局部銀河群 → おとめ座超銀河団 → うお座-くじら座超銀河団 → 観測可能な宇宙 → 宇宙

 スペシャリテ2/空と海と大地が出会う場所のリングイーネ(ORIGINAL)
 空飛ぶスパゲティ・マンマムート団との戦いのさなか、マダム・ジーナに入れあげた揚句に、あろうことかトロンボーン型の赤いカーティス・フラー号に便乗して最前線から戦線離脱したDE CECCO 7番弟子のスミジル・スミスが喰いそびれた物件

【物件名】
 空と海と大地が出会う場所のリングイーネ(Linguine alle Vongole Porco Rosso Con Pomodoro Costoluto Fiorentino)


 キクラデス豚桃色遊戯42号(Cerdo Pata Negra改)のガラ・ディナーと大粒極上のレクラム・スクラム・クラムによるダブル・スタンダード・ナンバー8からたんまり凶悪に法定利息超の金利付きでハウルの動く白い城と見紛うばかりの祇園の一番山車MP4/6をスカしてドライブドライブ中のアイルトン・セナ・ダ・シルバ出汁を搾り取り、骨の髄まで蕩かすほどの齷齪アクセル・ワーク&テクでアレアレ・モーモー・ベンガベンガさせてのち、ポモドーロ・コストルート・フィオレンティーノの粉砕物と青森産大蒜ならびにコート・ダジュールっぱたの貧乏な王家のプライベート・ビーチ一帯に自生するキング・オブ・ハニカム・バジリカム・バジレウス・バジリコを露わ味としてぶち込み、アドリア海産レクラム・スクラム・クラムを絶妙の火加減で加熱処理してコンフューズ。かくして、名作「紅の豚とあさりのアドリア海風”空と海と大地が出会う場所のリングイーネ”(Linguine alle Vongole Porco Rosso Con Pomodoro Costoluto Fiorentino)」は完成したのである。
「横着払い」でブツを送ってよこすようなセコセコ王であるスミジル・スミスはこれを永遠に食することはできず、まともな料理ひとつ作れぬポンコツ女の胸騒ぎの腰つきの呪縛から永久に逃れることはできないのである。134号線をどれほどロング・ドライブしようとも永遠に江ノ島の島影を見ることはできないし、『珊瑚礁』のビーフ・サラダと海老みそカレーはうまいし、強い南風が吹きつける七里ガ浜駐車場レフト・サイドはいつも気持ちいいし、ファイナル・ファンタジーは7が一番だし、アロハシャツ髭でぶ牛乳屋マスターのヒレル・スロヴァクはマスタードを塗りすぎたスロヴァキア風のレッド・ホット・チリ・ペッパーズ・ホットドックの食いすぎで心臓麻痺を起こして死んだし、島流しにされたチョビひげ月亭課長率いる伊勢志摩工作隊の『島うた』を聴くこともかなわないのである。DE CECCO No.7の名が泣くのである。C. ブラウンの『LIVE AT SWEET BASIL』とP. ブレイの『LIVE AT SWEET BASIL』のちがいもわからないポンコツにおちぶれるのが関の山、「今夜が山田」の中の一本足のマヤカシなのである。「マヤの暦」の件はもうたくさん、毛沢東はカンガルーの脚なのだ。かくも人生と世界と食は苛酷である。

 あー、お腹いっぱい。ジブリもいっぱい。プロデューサ鈴木にイタズラ電話してから三鷹のととろの森の奥の借り暮らしの家で寝よっと。

 All That Jazz - Ghibli Jazz
 All That Jazz - Ghibli Jazz 2
 
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by enzo_morinari | 2013-04-19 15:32 | 「千と千尋の神隠し」に遭う | Trackback

「千と千尋の神隠し」に遭う#1

 
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粉々に砕け散った鏡にも新しい景色は映される。Payao


世界が接続詞と前置詞でできあがっていることを知った朝、「千と千尋の神隠し」に遭った。「千と千尋の神隠し」は天井をまっぷたつに引き裂いて降りてきた。「千と千尋の神隠し」は榛色の布を体に巻きつけ、長押を担いでいた。そして、吾輩の両肩に無造作に左右の手を置き、「イマ、ココハ、戦場ダ。」とくぐもった声で言った。

イマ、ココハ、戦場ダ。

『千と千尋の神隠し』はたしかにそう言った。吾輩と『千と千尋の神隠し』のまわりを雪月花に彩られた戦争の犬たちが1指パッチンに65刹那の速度で舞っていた。長押の隙間から松岡正剛警視と世志凡太が胡乱な眼でこちらを見ている。

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『千と千尋の神隠し』に連れていかれた場所は強く青カビのにおいがした。両脇に音無草の生えた細い道を歩かされた。一歩踏み出すごとに音無草のあいだから緑色をしたひょろ長い腕が何本も伸びてきて、吾輩からひとつずつ「名前」と「名辞」を剥ぎ取ってゆく。

剥ぎ取られた「名前」たちはいったん宙空に放たれたあと、イグドラシルの樹上に数珠つなぎで並ぶ泥棒かささぎの一団から集中砲火を浴びせられ、次々に地面に墜落した。

名前や名辞が地面にぶつかるときの音はなんとも薄気味の悪いもので、吾輩は何度か吐いた。吾輩の吐瀉物はスライムだった。ここ数日、スライムを食べたり飲んだりしたおぼえはないのに。

名前と名辞たちは地面に堕ちてもしばらく身悶えていた。彼らが痛みと苦しみに悶える姿を目にするととても心が痛んだ。

ついさっきまで吾輩とともにあった名前と名辞たち。世界中が敵にまわっても、いついかなるときにも吾輩とともに炎の中心に立った名前と名辞たち。

虚無に追われ、命からがら手に入れた名前があった。ダブルアキュートとサーカムフレックスとオゴネクとセディーユとトレマとマクロンとコンマビローとブレーヴェとハーチェクとチルダの「チーム・ダイアクリティカルマーク」を相手に真夜中の新宿御苑で大立ち回りをして獲得した名辞があった。

涙とともにカビの生えたひときれのパン・ド・カンパーニュを食べながら見つけだした名前があった。フィネガンズのアポストロフィーのSを賭けてファルコンと完全無欠図書館の42階まで競争して勝利し、モモの銀河系宇宙の時間の謎を解く鍵となる尻こ玉とともに獲得した名辞があった。人知れず努力してつかんだ名辞もある。

彼らは吾輩の「生の歴史」の証人、いや、「生の歴史」そのものであるとも言える。彼らのむごたらしい最期を見るのはひどくつらかった。母親が名も知らぬ男に抱かれてあられもない歓喜の声をあげているのを見たときよりもずっとつらかった。

「目ヲ逸ラスナ。見届ケロ。」と『千と千尋の神隠し』は抑揚のない声で言った。

「この怨みは必ず晴らしてやるからな。母親を抱いた男たちにしたように八つ裂きにしてから王水で溶かしてやる」と吾輩は言った。吾輩が言うと、『千と千尋の神隠し』は「ウヒョヒョヒョヒョ」と耳を劈くような高い笑い声をあげた。

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by enzo_morinari | 2013-04-16 04:12 | 「千と千尋の神隠し」に遭う | Trackback