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Anonymous Revolution#2

 
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デス・タウン/イデア・シティ南部 UTC19時42分

ファン・ド・シエクル・タワーズ第9地区の南の一角に世紀末ホテルはある。地上126階、地下7階。居住者(不法占拠者)の平均寿命31.6歳。部外者の平均生存時間24秒。1日の殺人発生件数、平均4.2件。強盗同23.1件。侵入窃盗同80.6件。放火同14.2件。強姦同28.4件。傷害同186件。犯罪発生率の高さと治安の悪さから隣接する街の住民たちに蛇蝎のごとく忌み嫌われるデス・タウンの中でも、ファン・ド・シエクル・タワーズ一帯はきわめつきの無法地帯だ。とりわけ危険なのが第9地区。その中心が世紀末ホテルである。世紀末ホテルに足を踏み入れる者は死を覚悟しなければならない。

世紀末ホテルはアステカ・シティの紋章として描かれたテスカトリポカ・ノグチとケツアルコアトル・ノグチ兄弟の『制御された混沌/空を削る者』に強い影響を受けた非対称/非線形の外観を持つ。リーマン幾何学平面を積極的に取り入れた外観は過去の建築様式や装飾を引用するエクレクティシズムを強く拒否していることがうかがわれる。世紀末ホテルは建築の歴史軸の延長線上にはないのだ。

外壁を構成する直線が見る者の期待/願望を裏切るかたちで雲形に変化したあと、内部の混沌を暗示する「尖端の集合体」が不意に出現する。ひねられ、ずらされ、差異化され、遅延され、留保され、傾き、スパイラルする尖塔。鏡のようなガラスの平面を浸食する「ミトコンドリア型の異物」。そこには設計者の「表層/表皮」に対する並々ならぬ執着がみてとれる。建物の継目から縦横に伸びる無数の触手状のスティックは「身体なき器官」の象徴であり、それらを包み込むように「ホール」と呼ばれるオブジェが脈動する。「ホール」は「器官なき身体」の象徴であり、全体でひとつの有機体を構成する。

開業当初、世紀末ホテルは成功と富の象徴だったが、いまや見る影もない。近くで見るとその荒廃ぶりがよくわかる。外壁は落書きだらけで、あちこち崩れている。放火の跡が何カ所もある。正面玄関脇の壁には「自分の身は自分で守れ」とスプレーで大書きされている。電気、ガス、水道の供給はすべてストップ。電話回線遮断。クロークとおぼしきスペースの右奥に鋼鉄製の扉。扉には「Way Out!」の真っ赤な文字。「出口」ではない。「逃げ道」だ。

「ホテル」の文字が冠してあっても、世紀末ホテルはいまやホテルではない。死と退廃と絶望と虚無と欲望に支配された廃墟だ。ベル・ボーイはいない。ベル・ガールもいない。ベル・キャプテンもいない。フロント・クラークもコンシェルジュも客室係もバトラーもアシスタント・マネージャーも支配人もいない。ドアマンすらいない。いるのは死神と亡者どもだ。レストランもない。バーもない。カフェ・テリアもない。フィットネス・ジムもない。

ロビーはゴミ捨て場と化していて、強烈な悪臭が鼻をつく。5秒で吐きそうになる。実際に吐いた。つい今しがたのことだ。動物の死骸がある。切断された血まみれの人間の手や足や指が無雑作に転がっている。かつてブティックやジュエリー・ショップやフラワー・ショップがあったテナント・スペースは破壊され、ドアは破られ、ショー・ウインドウのガラスは叩き割られている。中庭にはベッドや椅子やテーブルなどの調度品が燃やされた残骸がある。中心部の「コア」と呼ばれる吹き抜けには投げ捨てられた大量のゴミが堆積し、7階あたりにまで達している。このまま世紀末ホテルを重犯罪者専用の刑務所にしようというプランまで持ち上がっている。

かつて、ファン・ド・シエクル・タワーズ一帯は成功と富と夢のシンボルだった。IT長者たちは競ってファン・ド・シエクル・タワーズにオフィスを構え、住人となった。それは彼らが成功し、富を手に入れ、夢を実現したことを意味した。ITバブルがもののみごとに弾け飛び、敗北者の一人がエントランスにシルバー・メタリックのメルセデス・ベンツ600SELを放置したのが荒廃化の発端である。最初にボンネットの上にセブン-イレブンの空き袋が置かれた。すぐに COKE の空き缶が並び、7UP の空きボトルが並び、未開封の Dr Pepper の2.5Lボトルが並んだ。そして、翌日にはフロント・ガラスが叩き割られた。

アンテナがへし折られ、サイド・ミラーがもぎ取られ、車輪とドアが持ち去られた。エンジン、バッテリー、バックミラー、フロア・マット、シート、ステアリング、シフトレバー、GPSシステム、カー・オーディオ 形のあるものは次々と奪われていった。1週間後には地べたに漏れたオイルの染みを残して、シルバー・メタリックのメルセデス・ベンツ600SELは跡形もなく消えた。「破れ窓理論」どおりだった。

崩壊に向けて走り出した世紀末ホテルを救うことは誰にもできなかった。暴走列車のように血煙を吹き上げながら世紀末ホテルは破滅に向かって驀進した。盗みが激増し、強盗が日常の一部となり、ついには支配人が惨殺された。犯人は13歳の少年だった。支配人の両目はえぐり取られ、顔はつぶされ、身ぐるみ剥がされていた。パンツや靴下の果てまでだ。警察は取り締まりはおろか、世紀末ホテルに足を踏み入れることすらできなかった。

殺人鬼、強姦魔、強盗、サイコパス、詐欺師、麻薬常習者、アル中、こそ泥、ヤクの売人、浮浪者。世紀末ホテルは凶悪なならず者どもの巣窟へと変わり果てた。打つ手なし。世紀末ホテルの経営会社は完全にお手上げだった。世紀末ホテルだけではない。ファン・ド・シエクル・タワーズすべてが無法地帯と化したのだ。ならず者どものせいで巨額の投資資金は泡と消え、あとには廃墟が残ったのみだ。経営はみるみる悪化して上場廃止、そして倒産。セブン-イレブンの空き袋が置かれてから7ヶ月後のことだ。天国から地獄へ。奈落の底へ。客室からはベッドやソファの調度品は無論のこと、金目の物は一切合切略奪されるか破壊されるか燃やされた。世紀末ホテルには憎悪と絶望と退廃が渦巻いている。略奪の中心となったのはルーンストーンズとロンゴロンゴ・ギャング団。デス・タウンを二分するならず者集団だ。

私はなんのために世紀末ホテルに来たのか? 私も犯罪者なのか? 私は犯罪者ではない。もちろん、世紀末ホテルの住人ではない。ファン・ド・シエクル・タワーズの近くを通ることさえ避けている。ましてや、第9地区などとんでもない。世紀末ホテルには金輪際足を踏み入れるまいと思っていた。ファン・ド・シエクル・タワーズ一帯が隕石の直撃を受けて消滅してしまえばいいとさえ思っている。では、なぜ世紀末ホテルに来たのか?

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ルーンストーンズのメンバーは胸にキース・ヘリングのイラストが描かれたTシャツを着ているのですぐにわかる。ルーンストーンズ以外にキース・ヘリングのイラスト入りTシャツを着る人間などこの世界には存在しない。庭やベランダにセイヨウトネリコの樹があったらルーンストーンズ関係者の家だ。セイヨウトネリコの樹はルーンストーンズのメンバーになったときに与えられる。

セイヨウトネリコの樹は生きているかぎり大切にしなければならない。傷つけたりすれば血の粛清だ。枯らせば惨たらしい死が待ち受けている。ルーンストーンズのメンバーは全員、用心棒がわりにルーンストーン・ナポリタン・マスチフを飼っている。ローマ時代、コロッセオでライオンと闘ったルーンストーン・ナポリタン・マスチフは正真正銘、折り紙付きの猛獣である。見た目も恐ろしげだが、ルーンストーン・ナポリタン・マスチフは犬の皮をかぶった怪物だ。

ルーンストーンズの大ボス、フライ・オーディンの広大な庭の中心には樹齢38億年とも40億年ともいわれる世界樹、イグドラシルが聳え立っている。冥王代に誕生した樹だ。年に一度、屋久島から縄文杉が子分の屋久杉どもを引き連れてイグドラシル詣でにやってくる。そのときは街をあげての祭りになる。ロンゴロンゴ・ギャング団とも一時休戦。デス・シティに平和が訪れるときだ。

フライ・オーディンはオーディン・オンディーヌ・クレモンティーヌ・カルペンティエールの弟である。3人兄弟の2番目。そして、一番下の弟が私だ。私の名前はストロー・オーディン。「麦わら」とはなんとも情けない名前だが、麦わらのように痩せこけているのだからしかたない。オーディン・オンディーヌ・クレモンティーヌ・カルペンティエールの本名はフェザー・オーディン。羽根とハエと麦わらの3兄弟。痩せっぽち3兄弟。死んだ父親は街一番の痩せ男だったらしい。

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ロンゴロンゴ・ギャング団の首領、ビッグ・タンガタ・マヌは空を飛ぶ。鳥人だ。ビッグ・タンガタ・マヌが飛行する姿はとても美しい。1000人以上の人間を血祭りに上げた凶悪な殺人者とはとうてい思えない。身長は2mオーバー。神出鬼没。いまルーシー・イン・ザ・スカイツリー・タワーの展望台でウィスキーをラッパ飲みしていたかと思えば、次の瞬間には水曜の午後の動物園のマンドリルと取っ組み合いの喧嘩をし、かと思えば記憶の劇場で『ゴドーを待ちながら』を観て首を左右に振りながら、「いつ来るんだ? ゴドーはいったいいつ来やがるんだ?」とつぶやき、そうかと思えばイデア・シティ一番のフレンチ・レストラン、『黄金のエイ亭』でグレタ・ガルボ似の絶世の美女とテーブルを囲んで「エイひれと春キャベツの蒸し煮シェリー酢バター・ソース」に舌鼓を打ち、はたまた、第2アレキサンドリア図書館でウェルギリウスの『アエネイス』とヘシオドスの『労働と日々』を古典ラテン語で朗読して号泣し、大笑いし、おっとどっこい、レーモン・ルフェーブル美術館秘蔵のルイ・イカールの『ミミ・パンソン』の前で立ちつくしながら涎を垂らし、休むいとまもあらばこそ、今度はヌーヴォ・キネマ・パラディーゾ・シアターで『再び十字架にかけられしキリスト』を観て他人の迷惑もかえりみずに「エリ・エリ・レマ・サバクタニ!」と絶叫し、返す刀でサタデー・ナイト・クラブ・ヤードバード・ランドでリインカネーションしたマイルス・ディヴィスとチャーリー・パーカーとディジー・ガレスピーとマックス・ローチとジュリアン・キャノンボール・アダレイとローランド・カークとビル・エバンスとジョン・コルトレーンとセロニアス・モンクとクリフォード・ブラウンとジャッキー・マクリーンとジャコ・パストリアスとアート・ペッパーとスタン・ゲッツとバド・パウエルとソニー・スティットとウィントン・ケリーとカウント・ベイシーとエリック・ドルフィーとミシェル・ペトルチアーニとハーブ・エリスとジェリー・マリガンとウェス・モンゴメリーとデューク・エリントンと高橋竹山とギル・エバンスとビリー・ホリデイとスコット・ラファロとアート・ブレイキーとポール・チェンバースとベニー・グッドマンとJ.J.ジョンソンとタル・ファーロウとワーデル・グレイとリー・モーガンとジョー・パスと日野元彦とジーン・クルーパとグレン・ミラーとエラ・フィッツジェラルドというもうなにがなんだかわからないメンバー構成のパフォーマンスによる『As time goes by』と『Now's the Time』と『Confirmation』と『So What?』と『'Round about Midnight』と『Kind of Blue』と『Memories of You』と『I Can't get Started』と『Kulu se Mama』と『津軽じょんがら節』を聴いてタテノリなのかヨコノリなのかハコノリなのかアジツケノリなのかハゲノリなのかさっぱり見当がつかないスウィングをし、この際だからとミナカタ・クマグス・トロトロの森博物館でチューリング・マシンとエニグマのあいだを行ったり来たりし、ついにはニッカーボッカー・ホテルの名物バーテンダー、マルティーニ・エ・ロッシーニに無理強いをしてバカラのカクテル・グラスの名品『ロング・グッバイ』に酩酊率100パーセントのカクテル『泥棒かささぎ』を注がせて悦に入り、おまけとばかりに究極のマティーニ、つまりはロンドン・ビーフィーター・ジン47度の扁平な瓶をグラスの横に置いて屈強な牛喰いと睨めっこしながら一気飲みし、ついでにマルティーニ・エ・ロッシーニが目を離した隙にブードルス・ブリティッシュ・ジン45度をくすねて盗み酒し、「タンカレー No.TEN」のボトルをオーバー・コートの内ポケットにちゃっかりしまいこむという具合だ。

そんなキュート&ファニー&ファンキーなビッグ・タンガタ・マヌだが、殺しの手口は苛烈で残虐きわまりない。単なる射殺や刺殺などはビッグ・タンガタ・マヌにとってはおままごとにすぎない。殺す相手を拉致することからビッグ・タンガタ・マヌの本当の殺人ゲームは始まるのだ。

生け捕りにされたからと安心してはならない。あとには地獄の責め苦が待っている。まず縛り上げ、手足の自由を奪う。口の中にボロ布を突っ込む。手始めに鼻を削ぐ。次に耳を削ぐ。舌を切り落とすのはまだずっとあとだ。手足の爪を一枚一枚たっぷりと時間をかけて剥がす。ところかまわずアイス・ピックで突き刺しまくる。ただし、あくまでも浅く。簡単に死なせてはならないからだ。

顔、胴体、手足に隙間がなくなるくらいに画鋲を刺す。画鋲人間だ。悲鳴を上げてもやめない。それどころか、ビッグ・タンガタ・マヌは大喜びだ。気を失うとバーナーで皮膚を焼く。手足は骨が見えるほど焼きつくしてしまう。

脛の骨を折る。大腿骨を折る。性器を切り落とす。目玉をくり抜く。相手が死を乞うてもすぐには殺さない。考えうるかぎりの苦痛を味わってからでなくては死なせてもらえないのだ。

苦しみと痛みは強く長く。それがビッグ・タンガタ・マヌの流儀である。仕上げにもいろいろある。コンドルに啄ませ、最後は飢えた野良犬に喰わせる。殺す相手の目の前で相手の家族に同じことをするときもある。これはビッグ・タンガタ・マヌから最大の怒りを買ったときだ。妻が子が親が兄弟が恋人が親友が目の前で嬲られ、切り刻まれる。これにまさる苦しみはない。発狂する者さえいる。地下の拷問部屋には世界中から集めた拷問具がある。鉄の処女、苦悩の梨、鉄仮面、魔女の針、祈りの椅子、看守の槍、野ウサギ、異端者のフォーク、スペインの蜘蛛、リッサの鉄棺、プレスヤード、エクセター公の娘、ハゲタカの娘、スケフィントンの娘、スパニッシュ・ブーツ、ゴーントレット、ファラリスの雄牛、クエマドロ、火責め椅子、ユダのゆりかご、魔女の楔。手足の骨を粉砕してから木製の車輪に括りつけるのはビッグ・タンガタ・マヌが好きな拷問法のひとつだ。

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デス・タウン/イデア・シティ南部 UTC20時42分

ビッグ・タンガタ・マヌ邸地下、拷問部屋。

「100億いる人間どもが100人になったって滅亡でもなんでもねえからな。もとは100匹いたのにいまは1匹しかいねえなんて話はこの世界にゃ吐いて捨てるほどもあるぜ。今度は人間どもがおなじ目にあうんだ。止めようがねえのさ。好きなだけ殺し合いやがりゃあいい。だれも悲しみゃしねえ。いいも悪いもねえ。おれが100人200人殺したところでどうってこたあねえのさ。だからおれは殺す。殺しまくり、殺しつくす。だれにも文句は言わせねえ。文句があるなら、おれを取っ捕まえて、ぶっ殺すがいいさ。なあ、そうだろう? そう思うだろうがよ? おまえさんにもぶち殺したい奴が一人や二人はいるだろう? え? ちがうか? おべんちゃら、きれいごとはどうでもいいんだ。なあ、そうだろう? いいか? この世界から人っ子一人いなくなったって、そんなものは滅亡でもなんでもねえよ。どうってこたあねえ過程のひとつにすぎねえんだ。人間どもがいなくたって太陽は昇るし、太陽は沈む。なにごともなかったようにな。つまり、おまえに言いたいことはたったひとつだ」

ビッグ・タンガタ・マヌはまっすぐに私を見る。ど真ん中を射抜かれる。動けない。ビッグ・タンガタ・マヌの次の言葉を待った。

「生きろ。だが、一度死んでおけ」

ビッグ・タンガタ・マヌは銀色に輝くクロノスの大鎌を振り上げた。

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by enzo_morinari | 2012-09-19 12:11 | Anonymous Revolution | Trackback

Anonymous Revolution#1

 
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記憶の岸辺/ミュトス・シティ東部沿岸 UTC17時42分

ミュトス・シティ唯一の砂浜に打ち寄せる波を数え終えたとき、呪われたアルマジロと虹のコヨーテと黄金のカエルがやってきた。
「冬眠を忘れた熊よ、いよいよその時が来たのだ。グレート・マザーに戦いを挑む時が」

呪われたアルマジロの言葉は簡潔で自信に満ちているうえに神々しかった。言葉のひとつひとつに神が宿っているのではないかと思えるほどだ。

呪われたアルマジロは母親の遺伝情報しか持たない固有半数体種だ。聖なるものの顕現者であり、宇宙を支配する巨大な意志の力から「言葉」を預かる者である。呪われたアルマジロは宇宙を支配する巨大な意志の力から「言葉」を預かり、世界に向けて解き放つ。

解き放たれた「言葉」たちは軽やかに翼をはためかせ、世界を自在に飛翔する。解き放たれた「言葉」はヨハネスブルグ・キッズの凍りついた心にさえ届く。北の国のコッチェビ・チルドレンにも。ロンゲラップ・ピープルとチェルノブイリ・ボーイズ&ガールズとフクシマ・ベイビーにも。世界中の、虐げられ、忘れ去られ、なきものにされ、再び十字架にかけられし者たちにも。彼らに届けられた「言葉」が彼ら自身の力で輝きを増して飛び立つまで、呪われたアルマジロは「言葉」を預かり、世界に向けて解き放ちつづける。

虹のコヨーテは孤高の戦士だ。世界を蝕み、貪り喰うすべての邪悪なるものと戦う。怒れるアメリカン・バッファローの一群を狡猾冷酷なスコティッシュ・ブラックフェイスから解放したのは虹のコヨーテである。誇り高きカリブーの群れのただ中から石をみつめる少女をたった一人で救い出したのも虹のコヨーテだ。悪意と憎悪に満ちた巨大な砂嵐の中で迷うアボリジニ戦士の12人のパックを導いたのも虹のコヨーテだ。3度の救出劇で虹のコヨーテは無惨きわまりない深手を負い、肋骨を7本骨折し、右目を失ったが、3度とも宇宙を支配する巨大な意志の力と妖精たちによって癒された。宇宙を支配する巨大な意志の力はまだ虹のコヨーテに戦うことを命じている。

黄金のカエルは宇宙を旅する者である。目的地も同行者もない旅は黄金のカエルを不安と孤独で四六時中苛むが、それもまた宇宙を支配する巨大な意志の力によって決められたことである。何者もその意志に逆らうことはできない。ミュトス・シティの西の果てにある嘆きの沼で日がな一日泳ぎまわっていた頃、黄金のカエルは目映いばかりに輝いていたが、旅のあいだにどこにでもいる緑色のアマガエルに変わってしまった。しかし、黄金のカエルがほかのカエルたちと決定的にちがうのは、いついかなるときにも緑色に輝いていることだ。太陽が水平線の彼方に消え、世界が漆黒の闇に沈んでも黄金のカエルは緑色に輝く。何者にもなりかわりようのない彼自身として。何者にもなりかわりえない緑色をした黄金のカエルとして。

それにしても、名前というのはしんどいものだ。名前のおかげでずいぶんといやな思いをしてきたことだ。そのことを思うと重く湿った疲労感が容赦なく襲いかかってくる。一時間ほど前ににわか雨に遭い、たっぷりと雨を吸い込んだドイターのポリッシュ・ブラックのメッセンジャー・バッグが肩に食い込む。名前さえなければ何者にでもなれたはずなのに。名前さえなければ樵の王として世界中の森に君臨することだってできたはずだし、世界中のありとあらゆる砂漠を旅する商人として、ゴビ砂漠に詩の王宮を建設することも可能だったろう。あるいは、一瞬のうちに巨大なブルーマリン・セイルフィッシュを手なづけてしまう漁師にも。名前さえなければ本当の自由をこの手につかみ取ることができたのに。

眼を上げる。沈黙の岬灯台がセイレーンに弱々しいシグナルを送っている。セイレーンは沈黙の歌で応える。ミュトス・シティはいまにも消え入りそうな瞬きを繰り返している。ゆうべ、ミュトス・シティの住人たちが「北の尾根」と呼ぶ細く険しい峠道を歩きながら、私は旅の間に起こった出来事のひとつひとつに腹を立てていた。すべてに腹を立て終わったとき、夕焼けを背に浮かびあがっていた私の影は深い闇に飲み込まれた。

ミュトス・シティの中心、アノニマス・ガーデンにたどり着いたとき、アノニマス・ガーデンの初代園長、呪われたアルマジロは死の床にあった。呪われたアルマジロが横たわるベッドのまわりには、市長、助役、財政局長、建設局長、保健衛生局長、環境局長、農政部長をはじめとする街の行政担当者、さらには警察署長、消防署長などの治安防災関係者、商工会議所の面々、市議会議長以下の政治家たちが神妙な顔つきで立ちつくしていた。

アルマジロの顔を覗き込む。眼窩は深くくぼんで影の中に埋もれ、頬はこけ、血の気のない唇は潤いを失ってひび割れている。「骸骨だ」と思う。そして、ロゴス・シティで最後に呪われたアルマジロと会ったときのことを思い浮かべた。呪われたアルマジロは静かに息を引き取った。部屋のあちこちからすすり泣きが聴こえる。だが、これは偽りの死だ。呪われたアルマジロは死んでいない。そのことを知る者は限られている。真実を知るのは私と虹のコヨーテと黄金のカエルだけである。市長も助役も警察署長も欺かれているのだ。

「冬眠を忘れた熊よ、ダイブの時間だ。用意はいいかね?」と呪われたアルマジロが言った。数え終えたはずの波の音がかすかに聴こえる。記憶海岸の入江を見渡す。マーカスの鏡のように静かだ。14番目のグレープフルーツ・ムーンが映っている。呪われたアルマジロに向かってうなずく。呪われたアルマジロは私の額に右の手のひらをそっと置く。呪われたアルマジロの手からイグドラシル・ストリームがゆっくりと流れ込んでくる。あたたかい。母親の胎内にいるようだ。流れ込む速度がいっきに上がる。意識がうすれ、世界が遠ざかる。記憶が音もなく消えはじめる。波の…音……が…………聴こ ──

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ヴァーチャル・リアリティ・タワー東棟42階/イデア・シティ北部 UTC18時42分

私はリコレクター、記憶士だ。記述士、分析士、修正士、計数士、管理士、消去士、統合士を加えた8人でチームを組んでいる。完全なSOHO。形式的な健康診断と思想調査を除けば、出社に類するものはいっさいない。すべてはネットワークを通じて行う。記憶士は宇宙のすべてを記憶する。それが仕事である。

ひたすら記憶すること。考えなくてもよい。答えは求めない。答えを求めようとするとデータに誤差がでるからだ。記憶は無数の忘却の集積である。記憶したデータは記憶の宮殿の最深部に鎮座するアレクサンドリア・ストレージ・サーバ(ASS)に送る。記憶をASSに送信するのは祈りにも似た行為だ。ASSはいずれ「神」と呼ばれて崇められるようになるのだから、私の考えもあながちまちがいではない。記憶士として仕事をしているときは常に頭部搭載型ディスプレイ(HMD)を装着する。3次元の空間性、実時間の相互作用性、自己投射性の三要素がともなってはじめて正確な記憶が可能だからだ。

メタバースの住人たちによって結成されたメモリー・ウォーリアーズから攻撃を受けることもあるが、そのときはアカシック・レコード・プログラムを起動してフラッシュ・クラッシュし、撃退する。メモリー・ウォーリアーズの攻撃を受けたときは3週間の休暇を取ることが認められている。大脳辺縁系を休めて冷却するためである。息が詰まるようなHMDから解放されるのは去年のクリスマス以来だ。ヴァーチャル・リアリティ・シート(VRS)に体を沈める。これで思う存分、自由放埒に「世界」を駆けまわることができる。

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モーツァルトのピアノ協奏曲42番を弾くローベル・カサドシュは、『野生の思考』の上で午睡を貪るソバージュ・ネコメガエルの処刑方法について宇宙を支配する巨大な意志の力と議論しつつも、最終兵器にして最終解答である「ダンテ・ブルーノ・ヴィーコ・ジョイス」というなりふりかまわぬ変則4拍子を繰り出しながらマジック・リアリズムな午後を待っている。

いっぽう、ロベール・カサドシュトとは縁もゆかりもない倍音世界に比類なきピアノ教師であるスーパー・カコは、ベーゼンドルファー・インペリアルの鍵盤蓋を担いで演奏会場から遁走中である。スーパー・カコは、ニーチェ爆弾によって破壊され、燃えあがるパリを夢想しながら乱暴者のリスト先生の長い指と田舎者のラフマニノフ先生の大きな手がいつか自分をポイント・ゼロに埋め込んでしまうのではないかと気が気でならかった。そんなスーパー・カコを『流出映像のフローズン・ナノ・プラネット世紀末なの? そうなの? 有働由美子はいつまた「セックス!」の連呼をやってくれるの?』の撮影スタッフが追う。スーパー・カコはつぶやく。

「パリは燃えているか? グラン・パレは燃えているのか? 市庁舎の正面玄関にかかる Fluctuat nec mergitur のプレートは破壊されたか? 木偶の坊土左衛門の野田佳彦と勘違い木っ端役人の勝栄二郎とゴム屋の小倅じじい米倉弘昌は死ねばいいのに。断固として不退転の決意で死ねばいいのに」

『流出映像のフローズン・ナノ・プラネット世紀末なの? そうなの? 有働由美子はいつまた「セックス!」の連呼をやってくれるの?』の音声担当アルバイトはスーパー・カコのつぶやきがちゃんと拾えたか心配でしかたがないようだ。そんな様子をグーグル・アースで見てにやにやしているのは、なにを隠そう、この私だ。

自殺した大金持ちのねずみが沈黙ノートに『風の歌を聴け』と『1973年のピンボール』と『羊をめぐる冒険』をルーン文字で書き写していたことを知るのは、『断層図鑑殺人事件』の捜査指揮官である松岡正剛警視に完璧な文章と完璧な絶望と完璧な自己療養が存在しないことを教わって42年も経ってからだったが、私はねずみの墓参りに行かないばかりか、いまだにボスフォラス以東にただひとつしかないと言われるハーモニクス・オーヴァートーン館の門外不出のクワルテット、「生命、宇宙、そして万物についての答え衒学四重奏団」を聴けずにいる。

いまも当時と変わることなく地軸の傾きと格闘する松岡正剛警視の千夜千冊400万字の健啖家ぶりに恐れ入っている私の元へ、ポトラッチ・トーテムポールを振りまわす石頭の彫刻家、カメンナヤ・モグリャ・ペトログリフがやってきたのは昼飯時である。

部屋に入ってくるや否や、細胞の魚こと幻の利己的虚数魚i = Cellfish にポトラッチ・トーテムポールの削りかすを与えるカメンナヤ・モグリャ・ペトログリフをいっさい無視して、私はテレビ受像機のスウィッチを入れた。森田一義アワー。まだやっているのかね、リータモくん。で、パス。ホンジャマカ恵、「ひるおび!」。恵のしゃべくりに虫酸が走り、一瞬でパス。ナンチャソ、「ヒルナンデス!」。浮気の虫湧いちゃって湧いちゃって家庭&人格崩壊南原はとっくのとうに終わってるだろうがよ、昼の日中にメンヘラおやじはごめんだぜ! で、当然、パス。奇跡の50歳までいくばくもない大下アナ。うーん、あいもかわらぬシャッター通りの午後3時的ファッション・センスにパス。テレ東。ナッシング。

仕方なくNHK。ん?報道特別番組?地デジカ音頭の民放はなにをやっているんだ?テレ東にいたってはテレビ・ショッピングだったぞ。ナショナル・ダイエット・ビルヂング(NDB)前から中継が始まる。魔法陣とファイストス円盤を組み合わせた不思議なピーチパイ型飛翔体が北の将軍様の空中分解ミサイル花火によって半壊したNDB上空に静止している。

あれは! あの空中分解寸前の飛翔体を操縦できるのはロックゴングの名手、オーディン・オンディーヌ・クレモンティーヌ・カルペンティエールじゃないか! インカ・マンコ・カパカパック国際空港で整備士をやっているんじゃなかったのか? 鷲の頭と獅子の体と鋭い爪を持つ者がとうとう動きだしたというのか? インディオとメスチソの怨念と怨嗟と恨みを一身に引き受けたアルゲンタビス・マグニフィセンスの追い込みがそんなに厳しかったか。それとも6泊7日女ったらしのエノキドに一杯食わされたのか? 非業の死を遂げたフンババの奴が復活したことだって考えられなくはないが。

オーディン・オンディーヌ・クレモンティーヌ・カルペンティエールよ、レバノン杉の仲買人として濡れ手に粟で儲けていた頃とは時代がちがうんだぞ。そして、ついに魔法陣とファイストス円盤を組み合わせた不思議なピーチパイ型飛翔体から浮動小数点式水槽脳爆弾がNDBに投下された。その直後、魔法陣とファイストス円盤を組み合わせた不思議なピーチパイ型飛翔体は空中分解した。

オーディン・オンディーヌ・クレモンティーヌ・カルペンティエールはロケット・マンさながらに脱出。生き延びてくれ。狂気を抱えながらでもいいから、生き延びてくれ。洪水がおまえの魂に及ぼうとも生き延びて、ピンチランナー調書を完成させてくれ。もちろん、私の願いはオーディン・オンディーヌ・クレモンティーヌ・カルペンティエールに届かない。

私はNDB前で中継するNHK記者の緩慢で跳躍力のない実況に舌打ちした。オーディン・オンディーヌ・クレモンティーヌ・カルペンティエールはいったん赤坂に進路を取ったが、すぐにシロアリ・ネスト・マウンド(旧霞ヶ関)方向へと滑空していった。イデア・シティの防災放送が日没後の灯火管制を告げると同時に、不吉な夢から誕生した運命のタブレットが『北欧神話』と『ギルガメシュ叙事詩』と『オデュッセイア』と『ぼのぼの』が無秩序に並ぶ書棚の一角でにぶく輝きはじめた。イデア・シティという閉ざされた世界で描かれた地獄絵図が現実になるのはもうすぐだ。

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アノニマス・ガーデン最深部/ミュトス・シティ中央 時刻不明

ミュトス・シティは隔絶孤立した街である。クリーン・ルームがそのままコミュニティになったと言っていい。隣町との境界にはΨとΦとΘとΩが不規則に刻まれた巨石が置かれ、外部からの侵入を拒んでいる。実際、外部の人間がミュトス・シティに立ち入ることは厳重に規制されている。

自然は徹底的に改造され、すべてのエネルギーの源であるアノニマス・ガーデンを中心にして個性のない街並が放射状に整然と広がっている。原子時計のように正確無比で、蜜蜂の巣のように規則的で統制された社会。よそ者はミュトス・シティを理想郷と呼ぶが、それは大きなまちがいだ。隣りの芝生が幸福と笑いと歓喜に彩られた緑にみえるのと同じである。彼らは庭の芝生の緑を見るのみで、凡庸と裏切りに満ちた閨室の寝物語の地獄を知らない。

ミュトス・シティはグレート・マザーによって設計された。グレート・マザーは量子型DNAコンピュータだ。演算処理速度は毎秒42ヨタ回。人類の知の領域を100年相当分拡張したといわれる超スーパー・コンピュータである。ミュトス・シティはエネルギー・コンサーベイションとトリジェネレーション・システムの社会実験場として誕生した。管理運営のすべてはグレート・マザーが行っている。ミュトス・シティは当初の目的をはるかに超える成果を上げた。誰も予想しなかった新しい「富のかたち」を生み出しはじめたのだ。

グレート・マザーはシビタスが莫大な債務によって数度のデフォルトを発生させていた最中に誕生した。ガバメント・シャットダウンが目前に迫っていた。

キャリア・ビューロクラットの猛烈な抵抗にも関わらず、キャビネットがグレート・マザーの開発に国家予算の8パーセントを費やす賭けに出たのは出口のない状況を打開したかったからだが、ローマ帝国の凋落を因数分解で解決できないのと同様に、グレート・マザーがシビタスの財政危機を解決する方策を編み出すとは誰も考えなかった。

疑念と不信は日を追うごとに深まり、大きくなった。グレート・マザーはキャリア・ビューロクラットとそれに雷同する者たちの無責任で根拠のない批判をよそに着々と計算をつづけた。数値解析し、仮想化し、仮説を立て、推論し、モデリングし、エミュレーションし、シミュレーションし、検証する。想定しうるリスクをひとつひとつ潰す。それを繰り返す。

グレート・マザーが最初にはじき出したのは「シビル・サーバントの身分保障の廃止」と「シビル・サーバントの大幅な人員削減」と「エージェンシーの全廃」だった。グレート・マザーは抵抗するキャリア・ビューロクラットとの対処のシナリオまでキャビネットに提示した。

個々のポリティシャンたちにも具体的な行動指針と行動計画を示した。中には既存の法令に抵触しかねないきわどい内容を含むものもあった。計画を実現するための新たな法案も次々と策定された。

グレート・マザーはこれらの計画のすべてを「内戦」「クーデター」「対キャリア・ビューロクラット戦争」「革命」と位置づけていた。グレート・マザーが策定した法案は過半数すれすれながらダイエットを通過した。

法案通過と同時にキャビネット・セクレタリアートとミニスターズ・セクレタリアートから次々とキャリア・ビューロクラットが追放された。最初に槍玉に挙がったのはセクレタリーである。セクレタリーはビューロクラット・システムが送り込んだ監視役だからだ。次はデプティ・バイス・ミニスターとカウンシラーとカウンセラー。罷免追放に際しては私物の持ち出しまで禁止された。

粛清は迅速に行われた。それはまさに「革命」と呼ぶにふさわしい。次に各ミニストリーのバイス・ミニスター、ジェネラル・ディレクターが追放された。予想通り、シロアリ・ネスト・マウンド(旧霞ヶ関)は大混乱に陥った。グレート・マザーの計画に協力的でない者は一人残らず追放されるか閑職に追いやられた。

「ミスター・シャドウ・プライム・ミニスター」とまで言われて恐れられ、権勢を恣にした財務省のバイス・ミニスターは罷免の翌朝、オフィシャル・レジデンスにほど近い神宮外苑の青山通りから12本目の銀杏の樹で首をくくった。だが、それはグレート・マザーの計画の始まりにすぎなかった。

ネットワークを通じて財務省のバイス・ミニスターの死の知らせがもたらされるとグレート・マザーはCPUの空き領域で考えた。「余の威光があまねきために」と。そして、トーキョー・スペシャル・プロスキューター・チームにピース缶 sengoku38、疫病神コシイシ、全ミニストリーのバイス・ミニスター、ジェネラル・ディレクター、デプティ・バイス・ミニスター、セクレタリー、カウンシラー、カウンセラー、外局の幹部職員、全エージェンシーの幹部を新設のシビタスとピープルに対する反逆行為の処罰等に関する法律」に基づいて一斉検挙するよう指令を発した。「憲法改正案」の起案が完了するのは42秒後だ。明日には金融システムの解体に着手しなければならない。グレート・マザーは再び考える。

「余の威光があまねきために」

Command Sleep,


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by enzo_morinari | 2012-09-19 05:09 | Anonymous Revolution | Trackback