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真言の音楽#36 また別の超絶ギター弾き/YouTubeはやはり大鉱脈だった。

 
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 もうひとつの3.11、もうひとつの「夏の思い出」、もうひとつの「少年時代」、もうひとつの「ふるさと」、もうひとつの「北の国から」、もうひとつの「Sweet Memory」、もうひとつの「涙そうそう」、もうひとつの「残酷な天使のテーゼ」、もうひとつの「天国への階段」
 
 またYouTubeで素晴らしい音楽表現者をみつけた。南澤大介。ギター弾き。1966年生まれ。知る人ぞ知るといった存在。
 ギター1本でロックやポップスの名曲を演奏した南澤のCD付き楽譜集「ソロ・ギターのしらべ」シリーズは累計35万部を超えるロングセラーを続けている。これは楽譜としては異例中の異例だ。
 南澤大介の音色はソリッドでありながらやさしく、あたたかい。人肌の温もりがある。あるいは、少年のひと夏の思い出のようななつかしさ。郷愁を誘う。その意志の中心には硬質なメタルがある。そして、南澤大介はなに食わぬ顔で、ときおり神業とも言うべき超絶技巧を放り込んでくる。しかも、外連味なく、自然体で。向うウケを狙ったような「臭さ」のないのがいい。それは、南澤大介の「音楽表現者としての良心」のひとつの現れでもあるだろう。それらはすべてギターを弾くための徹底した基礎技術に裏打ちされている。母親から受けた音楽的影響力はアコースティック、ポップス、ロックというタームに色濃く表れている。何者も母親=故郷から逃れることはできない。あるいは、母親=故郷を出発点とし、羅針盤とする者のみが生き残る。このふたつと激しく対峙、逆立するとしてもだ。
 3.11の悲劇の1ヶ月後には『いのり ~guitar』という鎮魂と慰霊の作品集をレコーディングする反応の良さも持つ。この『いのり ~guitar』は3.11を悼むためになされた数々のパフォーマンスの中でも出色である。隠れた名盤、必聴盤だ。「無人島音楽リスト」にまたひとつ宝石が加わった。マイケル・ヘッジスもギター天国でファンキーなアボカドを食べながら「俺も練習しよっと」と思っていることだろう。


【参考】
 南澤大介/Daisuke Minamizawa:音楽表現者。1966年12月3日生。作・編曲家として、プラネタリウムや演劇、TVなどのサウンドトラック制作を中心に活動中。近作に、NHK教育TV「しらべてゴー!」(作曲)、フジTV「ブザービート」(ギター演奏)など。
 高校時代にギターの弾き語りをはじめ、のちソロギター・スタイルの音楽に傾倒。マイケル・ヘッジス、ウィリアム・アッカーマンら、ウィンダムヒル・レーベルのギタリストに多大な影響を受ける。1992年、TVドラマ「愛という名のもとに」サウンドトラック(作曲:日向敏文)への参加がプロ・ギタリストとしてのデビューである。


南澤大介 - 夏の思い出 (いのり ~guitar/2011)
南澤大介 - 少年時代 (ソロ・ギターのしらべ vol.8/2006)
南澤大介 - ふるさと (いのり ~guitar/2011)
南澤大介 - 北の国から (ソロ・ギターのしらべ vol.11/2011)
南澤大介 - Sweet Memory (ソロ・ギターのしらべ vol.11/2011)
南澤大介 - 涙そうそう (COVERS vol.1)
南澤大介 - 残酷な天使のテーゼ (ソロ・ギターのしらべ vol.10/2009)
南澤大介 - Stairway to Heaven(天国への階段/ソロ・ギターのしらべ vol.4 官能のスタンダード篇)
 
by enzo_morinari | 2013-08-27 12:33 | 真言の音楽 | Trackback | Comments(0)
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