パリの空の下、うたかたの恋はやぶれ、この素晴らしき世界はバラ色の人生との逃避行の果て、カサブランカのリックの酒場に立ち寄り、スティング・バス「心のかたち」停車場を経由して、マギー・メイ号による愛の海セーリングを満喫色欲是空空前絶後放埒自在酒池肉林超絶堪能。最後は下町列車で青年トルコ党本部着。お別れはいつものさよならで。
ロッド・スチュワート。大英帝国第三等勲爵位保持者。イカす。ものすごくイカす。なりたい。ロッド・スチュワートになりたいんだ。いまにはじまったことではない。もちろん、吾輩がその気になればいつだってもロッド・スチュワートになれる。いまのところその気になっていないだけのことである。ほかにやらなければならないことが山ほどあるからだ。
年齢をかさねるごとにカッコよくなっていく男がいる。逆に、門松は冥土の旅の一里塚よろしく、老いさらばえていくばかりの者もいる。ロッド・スチュワートはあきらかに年をとり、おっさんになってからますますよくなった。若い頃のロッド・スチュワートには見向きもしなかったが、年を取り、齢を重ね、しわの増えたロッド・スチュワートには物凄い勢いで魅かれた。サミュエル・ウルマンの『青春』という詩がこのことを端的に表現している。
「青春」とは、人生のある期間をいうのではなく、心の様相をいう。
優れた想像力、たくましき意思、燃える情熱。
怯儒をしりぞける勇猛心、蛮勇をふり捨てる冒険心。
このような心の様相を「青春」というのだ。
歳月をかさねただけでは人は老いない。
理想を失ったときに初めて老いがやってくる。
歳月は皮膚のしわを増すが、情熱を失う時に青春はしぼむ。
苦悶や不安、恐怖、失望。
これらが人を老いさせ、
生気ある魂をも芥に帰せしめる。
70歳であろうと16歳であろうとその胸中に抱きうるものはなにか。
大空にきらめく青雲の志、事に処する剛毅な挑戦。
子供のごとく求めてやまぬ探究心、人生への歓喜と興味。
人は信念とともに若く、疑惑とともに老いる。
人は自信とともに若く、恐怖とともに老いる。
希望ある限り若く、失望とともに老い朽ちる。
自然や神や他者から、美しさや喜び、
勇気や力などを感じとることができるかぎり、
その人は若いのだ。
感性を失い、心が皮肉に被われ、
嘆きや悲しみに閉ざされる時、人間は真に老いる。
そのような人は神様の憐れみを乞うしかない。
というようなわけで、ロッド・スチュワートにはならないが、ロッド・スチュワートの歌を聴く。例の嗄れた声に酔う。音源は次の通り。
『It Had to Be You/The Great American Songbook Volume 1』
『As Time Goes By/The Great American Songbook Volume 2』
Go! Store! Go! Just Now! 損はさせない。それが樽犬クオリティ!