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Show-Do No Raku-Go/噺のほか#1 毛がなくて無病息災寿手練経。酢豆腐自慢は夢のまた夢

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新宿矢来町の老松が般若湯に酔いしれて芝浦の浜に一挺入りする話


(老松)

恋女房を町内の若い衆に寄ってたかって可愛がられた挙げ句、寿限無寿限無五劫のすり切れ海砂利水魚の雲行末風来末水行末食う寝る所に住む所藪ら柑子ぶら柑子パイポパイポパイポのシューリンガシューリンガーのグーリンダイグーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助と逐電した恋女房に恋慕する芝金杉町のぞろっぺい勝五郎。ぼてふり仕事もままならない。憂さ晴らしに大山さまへお詣りに出かけたまではよかったが、道中、悪戯好きの古狸権兵衛に魅入られてすっかりのぼせあがっちまった。てれすことすてれんきょうとばばくろうとおっきゃらまあの区別さえつかない。お餐の時分には愛宕山と穴子丼山盛りをまちがえて愛宕山を皿ごと平らげる始末。驚いた権兵衛狸が脇に控えていた禁酒番の役人に助けを求めても、時蕎麦すでに遅し。禁酒番が「この正直者!」と怒鳴ったので名を尋ねれば、「そも我が父は京都の産にして姓は安藤、名は鶴夫、字名を五光、母は千代女と申せしが、わが母三十三歳の折、ある夜、丹頂の鶴の夢を見てはらめるがゆえにたらちねの胎内を出でしときは鶴太と申せしがそれは幼名、成長ののち、これを改め忠雄と申しはべるなぁりいー」と口上しながらコンクリートの塊でスウェー・バック付きのトリプル・クロスカウンターを繰り出してきた。埒があかないこと千早振る垂乳根唐茄子浮世床政談ときたもんだ。

千早振る垂乳根トリプル・カウンターを喰らったついでに酢豆腐の竃に頭をぶっつけて気を失ったぞろっぺいの勝五郎。目が覚めるとひと抱えもある水カステラに首までつかっていた。冠木門の桟にとまっていた明烏がなにを思ったか幇間よろしく「でげすでげす」と鳴きはじめる。夜明けも日暮れもまだ遠い。日暮里は見当ちがいもいいとこだ。ましてや鴬谷はお呼びでない。最前より事の成りゆきを見守っていた孔子様と麹町様、押っ取り刀で駆けつけるが早いか、「臍で唄を歌うか足がなくって駆けだすか」と妙竹林な百家争鳴談論風発を始めちまったからさあ大変だ。すったもんだの尻も決らぬ先に今度は一眼国から鍵屋の印半纏を着た香具師がキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!! 「やいやい! てめえら! 大山詣りに行こうてえ御仁を前にいったいぜんたいどういう料簡だ! ただ生かしておいちゃあ世の中のためにならねえ! 調べは後回しだ! ふん縛ったうえに見せ物に売っ払ってやるから覚悟しろい!」と御大層な啖呵を宣う。そこへ今度は厩の火事で大はしゃぎの与太郎が来たものだから収まるものも収まらなくなってきた。

花魁道中よろしく戯けていた与太郎が突然泣き出したのを見咎めたぞろっぺいの勝五郎。

「やいやい与太郎。どうした? おれの身の上を案じて泣いたか?」
「ちがわいちがわい。おいらの寝床が浅草伝法院のお狸様に寝取られちまったんだい」
「なに! あのたぬ公め! ふてえ野郎だ! 実を言やあ、おれは正一位稲荷大明神の生まれ変わりだ。とっちめてやる! 駱駝引けい!」

それを聴いた船屋の徳兵衛が向こう鉢巻に出刃包丁の艶姿で鐘と木魚の衣ほすちょう天の香具山音楽を奏でながら貝紫色の駱駝を引いて現れた。お伴には紙洗橋で漉いたばかりの紙を冷やかしていたすっとこどっこいの三下奴が付かず離れず従っている。いざとなれば風を食らって逃げちまえばいいような瘋癲ばかりである。(おじゃんは鳴らない。火焔太鼓のお成りお成り)
 
by enzo_morinari | 2012-11-07 23:00 | Show-Do No Raku-Go | Trackback | Comments(0)
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